Singularity ショートレビュー

resize42348.jpg

ビアグラスにエールビールを注ぎ、その上から同量のギネス・スタウトを入れる飲み方をブラック・アンド・タンと呼ぶ。1つのグラスに2種類のビールを入れて飲むというのは、不思議かもしれないが、これが実に美味しいのだ。ここでエールビール選びのセンスが問われることになる。一般的にはバスペールエールを用いるのだが、これをエビスやベルジャンホワイト系列にしても悪くない。ある日、私はギネス - エビス - ドゥシャス・ド・ブルゴーニュ のトリプル仕様で飲んだのだが、これは不味かった。不協和音が凄まじく、個々の実力が別方向に向かい、何がしたいのか解らない味になってしまった。個性的な味は、出来る限り多く混ぜ合わせない方が美味しいと思う一方で、ブレンデッド・ウイスキーのような存在もある。Singularityは絶妙な失敗を繰り返すをブラック・アンド・タンなのだ。

resize41704.jpg

どこかで見た能力や良く見るシーン、予想するに素材となったタイトルは、Bioshock、Half-Life2、Call of Duty系列の3つ。それらを強引にシェイク ミキサーにかけて乱暴に提供されたFPSがSingularityなのだ。困ったことに混ぜ合わせる各要素が薄くて、とても安っぽく見えてしまう。例えば、主人公はBioshokばりの能力を使い分けて攻略をしていくわけだが、あまりにも反復作業が多すぎる。特定のオブジェクトに対して、時を進めたり戻したりできるのは面白いが、要は壊れた箱を元に戻すか破壊するかの2択しか用意されていない。一定範囲の時間を止める能力も、ほぼ使いどころが決まっており、折角のアイデアが空回りをしてしまっている。HL2のような物理パズルを目指しつつも達成されることは無く、CoDのような映画シーンは派手さよりもサスペンスのようなものになってしまった。

resize41965.jpg

有名作品を模る前提部分で失敗をしているため、混ぜ合わせても挽回は出来ない。しかし、この作品は決して不合格ではなく、絶妙な合格ラインに達しているのが理解できる、赤点ギリギリ、2級クラスの特待生、Bランクの首席、60点台の最高得点。(しかし70点は望めない)そうさ、これぞマイナーゲームの真骨頂。アクションもパズルも中途半端なのに、どれも激しく非難するほどの欠点は抱えておらず、退屈で切れる前に寸前にゲームEDを迎える絶妙なプレイ時間 - 7時間くらい。終わってみれば、そこそこの感想が捻り出せそうな内容の濃さで、序盤のホラーサバイバルから後半の時間停止無双アクションまで、万遍一通りに、かつ中途半端に体験ができるではないか。

resize41831.jpg

唯一、異彩を放っているのがストーリー性である。
主人公は1955年と2010年の2時代を行き来して、事態の収拾に奔走する事となる。本来なら死亡するはずであった人物の生存や新たな支配者が統治する未来世界などが物語に組み込まれていて、見ごたえがある。特に各所の"攻略ヒントそのもの"に関する種明かしは「ああ、そうなの!?まぁ、確かにそうだわな」と納得してしまった。ストーリーは練られているのだが、ゲーム側の設定でサブタイトルが表示できない仕様であり、ある程度のリスニング能力が必要である。FPSを作り慣れているはずのRaven Software にしては奇妙な失敗の仕方だ。ここら辺の海外PCゲームをプレイしている方なら特に問題は無いと思うが、私は戦闘中に無線が入ると聞き取れない事があった。

resize42215.jpg

Singularityに2週目プレイは似合わない。
初回プレイだけに意味があるFPSであり、大作タイトルに夢中なPCゲーマーにはお勧めが出来ない点が多い。アイテム集めはダルイし、武器のバランスも悪い。ARはCoD以上に優等生で、ついでにショットガンも強化しとけば全ての戦闘シーンで恐れることは無い。ミニガンも最強クラスの性能であるため、これだけで何とかなってしまう。こういったギクシャクした纏まりの無さもSingularityの特徴であり、不思議に愛おしさが溢れてくる。私は嫌いじゃないタイトルだったが、数年後にはその存在すらも忘却の彼方へと追いやられるだろう。だって義理立てするほどの価値は無いのだから。これより優れたFPSを発掘する方が健全なのでね。デジタルのゴミ処理場で、埋もれつつあるSingularityは、果たして君の目に留まるだろうか。重要なのはそこだろう?



Van Helsing: Final Cut その8

resize38663.jpg

前回Van1までのあらすじ
真面目に生きる主人公vanさんと攻撃的な幽霊カタリナさんの2人はモンスターを倒す旅に明け暮れる。時に村人を助け、アイテムを拾っては捨て、殴り殴られの日常。そしてモンスターを量産するアホ教授を撃破するも、基地の崩壊に巻き込まれvanさんは瀕死。焦るカタリナさん。どうなる、脳筋コンビ。

resize38667.jpg

謎の男に救助されたVanさん、ひとまず崩壊する基地からの逃亡から始まる。
カタリナがしきりに謎の男に対して暴言を吐くが、気持ちは解る。というか、明らかに裏切り枠がびんびんにします。助言をいくつか残して去っていくが、モンスター寄りっぽいんだよなァ。

resize38679.jpg

知らん間に総力戦争に突入していた模様。Vanさんはレジスタンスに入隊?しているらしく、当初の旅から脱線してきております。Van1は物語性はあまり無かったのだが、今回からは盛り上がっているのを感じます。

resize38680.jpg

こっから凄いことになる。
仲間NPCと敵軍が勝手に戦い始めるため、物凄くごちゃごちゃしたハクスラへ突入。とにかく動いているユニット数が非常に多く、見ていて楽しい。戦線があるようだが、RTSのように時間制限は無いのでゆったりできるのもGood。

resize38717.jpg

ゲーム性が変わってきている。
一本道ハクスラから戦況把握型ハクスラへと変貌をしているが、このイベントだけの特殊MAPだろう。流石に、これは変質的すぎるのだが、van1から続けてきた自分としては変化球的な面白さがある。レベル上げも楽そうだが、まずは先に進めたい。

resize38739.jpg

空爆で皆死ぬ。
体力馬鹿のvanさんだけは死なない。これぞ正義。

コラム:取り留めの無いゲーム小話(2017年3月)

resize37316.jpg

攻略記事のタグが20を超えた。カテゴリタグ1つで、シリーズを纏めてプレイしていることも多いため、当ブログで取り扱った攻略タイトルは相当に多い。それ故に苦労話も多く、閲覧側からは決して見えることのない舞台裏が当然に発生していた。中でも2012年から攻略を開始したRed Faction:Guerrillaは反省すべき点が多く見受けられる内容で、もっとゲームらしさを全面に出して書いた方がよかった。何せ5年前の記事なので、色々と粗さ溢れる部分が目立つのは許してほしい。このゲームの面白さは、強力な爆薬で辺りを解体する忙しさに明け暮れるプレイにこそある。爆弾を持って、ハンマーで、とりあえず無駄に暴れ回って走り回る内容に美学があった。想うのは、時間が許せばもう一度Guerrillaの攻略に取り掛かっても悪くはないかな、というちょっとした計画である。ブログでは完全に出番が潰えたゲームで、既に攻略記事は完結、レビューも書き上げているので、内心では禁じ手と考えているが、どうするべきか・・・

・・・

Agonyというゲームが気になって仕方がない。
開発はMadmind Studio、無名スタジオだから実力は未知数。ところが、公開されているゲームトレイラーやプレイ映像は非常に興味深い内容で、ぞくぞくする。調べてみると、発売まで多難の歴史があったようで、最初はスタジオ設立者Tomasz DutkiewiczがSacred Agonyというタイトル名でKickstarterでを実施したのが始まりである。ところが、その計画は途中でキャンセルされてしまい、以降音沙汰が無かった。2016年に入り、Dutkiewiczがスタジオを設立し、パブリッシャーにはPlayWay S. A.が付いたところで販売に現実味が出た。内容は地獄をさ迷い歩き、悪魔(?)に見つからないように隠れながら出口を目指すホラーゲームとなっている。映像は非常に大人向けのグロテスクさが満載で、リリースされれば賛美両論的なタイトルになると予想される。2017年は特にプレイをしたいタイトルが無かったのだが、Agonyは見事に私のハートを撃ち抜いてしまった。念のため注意をしておくが、トレイラー映像でも過去に類を見ない地獄さで、こういうホラーゲームが苦手な方は検索をしない方が良いだろう。日本人は幽霊だとか怪談が好きな民族だが、海外勢も負けてはいないように思えて仕方がない。

resize39671.jpg

20年前の作品であるにも関わらず、絶大な支持を集めるゲーム、Half-Life。
十分に時間が確保できればHalf-Life特集を掲載したいところだ。ただ、どうしても解らないのが、ネット上だとHalf-Life 2を賛美する声がとても多い事だ。別に悪いゲームだとは思わないのだが、全体的にゲームデザインがちぐはぐしているために、一体感がない。特にホバーに乗るシーンは明らかに不要で、これで3D酔いした方もいたのではないか。しかし、部分的には素晴らしいシーンが幾つかあり、グラビティガンによる物を積み上げて行けない所に行けるようになる等のアイデアは練られている。要はテスト的な作品群の集まりのようにも見えて、『1つの作品として賛美する』のには抵抗があるわけだ。とは言え、Half-Life2は1つのパッケージなので、こういった感情を排除して意見をしなければならない。そう言った意味で『意欲作だが、平凡な全体像』というのが私の意見になる。実験的なFPSと言えば、Portalも該当をする。そのゲーム性から当初はThe Orange Boxのオマケとして世に放たれた。やり手のValveも様子見するしかなかったような実験作だが、蓋を開ければEp2よりも面白いゲームである。続編Portal2も十分な出来栄えで、この時点でHalf-Lifeは役目を終えたと見なしている。例えEp3が発売をしたとしても古臭いシングルプレイのデザインでは世間は納得をしない。私はHalf-Lifeの続編を望まない、既に10年の時が経過している。この10年でFPSは進化したのだから、待つものも変えなければならない。

・・・

祝・星のカービィ25周年!!
PCゲーム主体のブログのため、家庭用タイトルの話はあまりしてこなかったが、私はカービィ・シリーズが大好きなのだ。お気に入りは3作品あって、星のカービィ3、スーパーデラックス、エアライド。純粋に正統カービィをプレイしたいのなら3一択だが、完全クリアまでの難易度がヤバい鬼畜カービィゲーとして有名。それに比べると、スーパーデラックスは非常にプレイしやすく、強力なカービィが可愛い敵キャラをボコボコにしていく様は微笑ましい?ゲーム性も豊かで、初心者にもお勧めできるカービィだ。唯一、ゲーム性が異なるエアライドだが、異様なやり込み要素に塗れた作品で、しかもレースゲームである。作品としては、かなり売れたカービィ作品であったが、何故かプレミアム化し価格が高騰。その上、DL販売やリメイクが一切に行われなかった哀しみのカービィゲーと言える。一番の原因は対応ハードであるゲームキューブがあまり売れなかったことで、これがPCゲームであったのなら私も思う存分に紹介ができたのだが・・・全く残念なことだ。現在でもソフトの値段は上がり続けているため、見かけたら即購入したほうが良い。
ともあれカービィ25周年という事は、私とカービィの付き合いも25年になるわけで。おっと、これ以上に語ると私の年齢がばれそうなので、今回はこれで終わることにするよ。Thanks Kirby.

Replay:Wolfenstein: The New Order

resize3016_2017031122081151d.jpg

FPSの教科書を作成するのであれば、私に一声かけてほしいものだ。
取り上げるタイトルは素晴らしいものに限定し、各タイトルをそれぞれが担当すればよい。各人が得意とするタイトルを選択しよう。そうなると、私は何を書こうか、そして、どのように評価しようか。Hallo:"Halo",Lose one's honor:"Medal of Honor",Do androids dream of "Deus Ex",and Return to New Wolfenstein"The New Order"

resize3026.jpg

このクソナチ公が!!と衝撃的なセリフと共に覚醒したB.J.Blazkowicz大尉は、自身が10年間の昏睡状態にあったこと、そしてアメリカがナチスに屈したことを知る。次に彼が為すべきことは銃を手に取り、クソナチ公をステルスキルしたり正面から特攻破壊する事だ。往年の名作Wolfensteinは様々な事情から制作スタジオが変わっており、FPSの産声と名高いid Software製Wolfenstein 3Dの後、迷走を開始する。Return to Castle Wolfensteinまでは問題が無かったのだが、Raven Software製のWolfensteinはあまり評判が芳しくない。W:ETとET: QWはマルチプレイ主体のゲームなのでシングルFPSを真剣に攻略したい私の心情とはかけ離れている。そうこうしているうちにWolfensteinブランドは忘れ去られていて、下手をすればUBIあたりにクソリメイクされていたかもしれない。幸いなことに新生の開発を請け負ったのはMachine Gamesだった。The Chronicles of RiddickならぬAssault on Wolfensteinが別の人物を主人公に、そして素晴らしい品質で開幕をする。

resize3085.jpg

FPSとして評価する - よりも1つのゲーム作品として眺めた方が断然に面白い。古典的なFPSシリーズとしての面影はなく、むしろRiddick作品のような、隠れて、戦って、アイテムを探して、物語を進める。その4種類が実に高品質な出来栄えで、特に物語性に引き込まれていく。序盤から.Blazkowiczはクソナチ公!!、このクソナチ公が!!と叫び、派手に銃をぶっ放す。しかし敵は強大で、一人では対抗できない。一匹狼から変貌をしていく様は、ドラマ豊かに描かれており、心情に訴えるものも多い。アクション要素も丁寧で、ステルスを行うか派手に特攻をするかの2選択があり、スキル制にしたことで作業感は感じないFPSに仕上げている。

resize3107.jpg

主人公を強くするために周回プレイをするゲームが多い中、この新生Wolfensteinは『もう一回、この物語を見たい』という原始的な欲求に従っているようにも見える。不満の無いFPS部分は、言えば不正解が少ないタイプのFPSに属し、野心的なアイデアでプレイヤーを引き留めてはいない。これより面白い銃撃戦が出来る作品は数多く、これ以上のステルス戦闘が、この上ないスキルで敵を一方的に蹂躙する作品は一杯にある。それでも、The New Orderは安上がりな大作よりも格上だ。どの要素もバランスよく纏まっているので、プレイ感覚に優れているのである。ロケーションも十分だし、日本語声優もキャラクターのイメージにピッタリだ。

resize3142.jpg

Replayもあっという間に終わってしまった。3年前の作品だが、新品にも劣らぬ力量で描かれており、とても楽しい体験になってくれた。欲を言えば、そろそろ新作を出してほしいことくらいだ。前日譚も悪くは無いのだが、The New Order続きが見たい。と、結論が出たところで、 Wolfensteinの紹介ページは私が担当したほうが良いのだ。

World Guide to Beer Modern Times hoppy citrusy wheat

resize38005.jpg

第87回 【技術革新4】

チェスター・フロイド・カールソンは最終的には大成することとなるが、それに至るまでの経緯は非常に険しい道のりであった。元々、物理研究者であったカールソンではあるのだが、研究所では主に特許部門で仕事をしていた。ところが世界恐慌の影響でクビになると、次の職探しは難航をした。ようやくニューヨークで特許の分析者として雇われると、次第に頭角を現し始め、どんどんと出世を重ねて管理職となった。それは、つまるところ毎日、膨大な特許申請を処理する日々であり、とてつもない激務だった。流石に優秀なカールソンでも特許書類をしっかりと確認・手作業で複写する職務の連続に、関節炎を患った。体は関節炎で痛いのに、毎日彼の机には膨大な審査書類が積み上げられ、どうしようもなくなってしまったのだ。「なにかズルは出来ないものだろうか?」彼は物理学の知識がある、前職は研究所だ。色々と考えていくうちに、電子写真術を考案した。これは現代のコピー機である。コピー機のカメラ部分から排出される静電気をドラムに帯電させる方法を思いついたカールソンは、これをドラムから紙に転写する機械構築を成功させる。このアイデアで特許を取るのは簡単だった、何ていったって前職は特許会社なのだから。次の命題は、コピー機を販売する事だったが、この計画は実に16年にも及ぶ挫折の連続であった。どこに行っても追い返され、馬鹿にされると、そのうち意気消沈をしていった。しかし、諦めない。最後の最後で必ず立ち直るカールソンは、ついにハロルド社によって見いだされることとなる。これが後のゼロックスである。カールソンの発明は、世界経済に大きな変革を起こし、多くの複写機が特許申請を行う人を救っている。もちろん特許申請とは関係ない人々も救っている。

ある意味、最もモダンな発明と言えるコピー機であるが、hoppy citrusy wheatは現代のビールと言えるだろうか。今回はウィート( 小麦) ビールなので、あまり近代的(?)ではないと予想されるが・・・

飲んでみよう。
なにこれ?なんだこれ?南国のパッションフルーツとホップを大量にぶち込んだ味である。しかし、麦の甘みを上手に生かしており、マンゴー的な甘みと喧嘩することなくミックスされているのである。まるでジュースのような感覚ではあるが、最後の最後にビールらしさが立ち上げってくるため、不思議なのである。苦さは少なく、味は程よい甘さに抑えてある。それでいて味は薄くないのだから、最終調整はばっちり決まっている。本当に、なんだこれは、と言ってしまう不思議さに溢れ還っている。思わず微笑んでしまった。

resize38006.jpg
飲んでみれば解る不思議さ

次回『技術革新5』
プロフィール

ばりー

Author:ばりー
PCゲームとビールを愛するおっさん
お気軽にコメントして下さい
なにかあれば返信します

カテゴリ
最新記事
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
リンク
QRコード
QR