雑記

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長門「ついに当初の目的である卓球試合をしようとする管理人。ファミリー溢れる体育館に現れた場違いな連中の結末が解るその5が始まるぞ」

始発の電車に乗って到着した未開の土地。
卓球をするために遠路三千里を旅してきた私にとって、体育館に張り出された張り紙『本日、演武のため全面コート使用不可能です』は、ある意味で言えば幸運であった。今日は卓球を練習し始めて4ヶ月か、もしかしたら5ヶ月くらい経過していたかもしれない。たった5ヶ月で何ができる?何も出来やしないよ、始めから解っていた。久しぶりに会った卓球メンツを見た瞬間に、一気に青ざめた。明らかに卓球をし続けているのが体格から解る。この5名で最も強い男は誰であったのか。質問が『高校生の時は』か『今現在か』で正反対の解答が出ても可笑しくは無い。だから今日は卓球をすべきじゃない。長いブランクが、凄まじい重りとなっていることに今更ながらに怯え始めた。まるで初ライブコンサート前のミュージシャン、初めて旅客機の操縦を任せられた新米パイロット、練習はしてきたのかもしれないが、それが実戦で幾つ役立つかは全くの不明だ。張り紙にケチをつける地元の"序列第2位"のUが怒りながらも、ハッキリとした口調で私に向かって言い放つ。
「おお、安心しろ(怒)。ここから遠くない場所に別の体育館がある。時間制限がクソみたいに厳しいが、そこで打つ(怒)」
マジですか。やっぱり打つんですか。というか、地元で2番目に上手というのは凄い事ですねぇ。いやー、強い人とは打ちたくないなぁ。私は最近になって卓球を覚えたんですよぉ・・・ホントですよぉ。直ぐに五月蠅いと怒鳴られた。

・・・

確かに体育館の使用時間は厳しいもので、1組1台で最長1時間半。週末のファミリーが卓球台でキャッキャ打っており、とても微笑ましい。体育館には8台の卓球台があり、そのうち7台は家族やカップルで埋まっており、好戦的な雰囲気は一切に感じられない。皆さん、どうか想像をしてほしい。どうぶつの森に5名のHitman 47さんが降り立った様子を。運が悪い事に、我々は体育館のど真ん中でソレを打ち合う羽目になってしまった。とても目立つし、さっきから燐台のお父さんが、ちらちらと意識しているのがハッキリと見て取れる。最初のうちは点数を競うような試合形式ではなく、単に10分間交代で自由に適当にやり合う卓球だった。ようやく真実が見えてきた。これは勝てない、私では連中に勝つことが難しい。私が台に入らずとも、横目で見ているだけで彼らの実力が明白になる。卓球上手な人に共通していることは何か - スイングである。非常にシンプルな事だが、卓球強者ほどスイングが美しい。どれだけ長時間打っていても、或いはイレギュラーな打球が返ってきたとしても、そのスイングが崩れることが無い。言ってしまうと卓球のスイングは腕を振るものではない。全身の運動能力を活用し、反応速度0.18の世界で、人間の視界から球を消す打ち方だ。お遊びでプレーをしないのであれば、台上の格闘技。実際は殺し合いに近い。とても人間が行える競技とは思えない、それくらいにえげつないテクニックが無数に存在し、それを0.18秒で打ち返す。その世界で綺麗にスイングを、正確に、正常に、冷徹さを持って対処する。それ故に上級者の戦いはラリーにはならない。鍛えられた運動能力を全開にしたとき、その勝負は大抵の場合で双方で5打数以内に決着を見るだろう。終了30分前になった時、突如としてUが試合をするとほざき始めた。かつてのダブルスの相棒と試合をしたいらしい。かつて自分が卓球を教えた人と試合をしたいらしい、かつての序列第二位と試合をしたいらしい。冗談じゃない、勝てるわけないだろう。

・・・

意外なことに私とUは接戦となった。
彼は古典的なドライブマンで、ループドライブからの返球から決め球を撃つ、或いはチキータ打ちで序盤から一気に攻めるタイプである。重要なのは、ループドライブから攻めるという手順が私には通用しないという事である。ループドライブの返球は一般的には、かなりの練習量が必要で、ケースバイケースで対応するしかない。しかし、スイング方法にコツがあり、例えばバック側にきたループドライブはラバー面をほんの少しだけ下に向けて、『振り下ろすかのような動作』と脇を締めるスイングで強烈な返球が可能なのである。尤もコレは表ラバーを主体としたものなので、これが万能なテクニックと言うわけではない。しかし、この打法はコーチにも注意をされなかったし、むしろ「いやー、ばりーさんは表ラバーの繊細な角度関係を理解されています(笑)。これで挫折する方も多いんですよ(笑)」と珍しく褒められたテクニックだった。使いこなせれば凶悪 - という一文がよく合うのが表ラバーだ。扱いが難しすぎるので誰も突き詰めて練習をしたがらない。ちょっとした返球でさえ、常に神経質な角度問題が発生をする。何度も主体にするのを諦めそうになったが、その度に思い留まった。裏ソフトが楽にドライブができるのは間違いない。しかし、それではUに勝てないことは間違いなかったので、どうしても神経質で扱い難い馬を乗りこなす必要があった。1セット目は私が負けた。12 - 10 絶望的な実力差は感じられない。次は勝てそうだ。いや、勝とう。Uは私の強フリックに怯えていた。私はUのチキータに怯える。お互いの銃火器は出ている。後は何方が先に引き金を引けるかの勝負になっている。撃てば命中する、放たれれば防弾は期待できない。

・・・

15 -15
大きく外れた球を拾いに行くと、燐台のオッサンから励ましのエールを受ける。見ず知らずのオッサンから球を受け取り、ふと冷静になる。赤の他人が全員、我々2人の行末を見ているような気がした。いや、そういう気がしただけだ。さっきのオッサンもお父さんも、やっぱり私を見ているような気がするが、気のせいだろう。自意識過剰と言うやつだ。残り3名は、何方が点を取っても拍手をするから目立つ事この上ないが、それでも注目を集めているというのは気のせい・・・という事にしたい。制限時間が迫っていたため、この2セット目の結果がどうあれ終わる。練習は嘘はつかないが、小言が多い。もっとフリックの精度を上げとくべきだったな、とかはまだマシで、終盤にはスイングの汚さが自分でも解った。疲れていた。疲労が蓄積をすると、正常なスタンスが保持できたとしても、綺麗に振れない。体の右側全てに力が入り過ぎていた。力が入ると手首が回せなくなる。つまるところ、致命的な状況に陥っている。タイムアウトの申請が通るとも思えない。汗の1つ1つが内臓の喪失のようにさえ感じられるくらいになると、この行為が紳士協定が通じないと実感する。ネット際、エッジ、リスキーなポイントへのライナーナックルでの謝罪は無い。当たり前だ、相手だって際どい反則すれすれのサーブ動作だ。謝罪しなくて良い、ルール上認められているから。傍から見れば、これらの行為に価値があるとは見えないだろう。青春の1/4を投入する意義があったのか。学校、ロック、水曜日の試合、そして卓球。1/3じゃねぇか。一体、何がしたかったのか。少なくとも今日のためではない。恐らく、これしか与えられなかったから、するしかなかっただけ。深い意味なんてない、だから意味のないものに意味を与えてはいけない。深刻な疲労困憊だが、気分は良好だった。

・・・

自動販売機で小銭を連続投入をしている男がいた。
後ろ姿から直ぐに卓球コーチだと解ったので声をかける。相変わらずの劇団員みたいな反応を返してきた。
「あ!!ばりーさん(笑)。こんにっちっわ(?)御友人との試合は如何でしたか?」
負けましたよ。それと当初の目的が一区切りしましたので今日が最後になると思います。
「え?そうなんですかぁ(哀)。それは・・・」
冗談ですよ(笑)。
高い授業料を払っているのだから、これくらいのブラックジョークには付き合ってほしいものだ。尤も彼は卓球が職となっている立場上、顧客を失う事への恐ろしさはシリアスである。このコーチが慌てるのは初めて見たが、それはそれで大満足をする。その日は試合形式で、実戦に近い形での練習となった。
「いや、でも!!その御友人はかなりの選手でしょう。何て言ったって、ばりーさんに勝利するくらいですから(笑)」
この人は余程の世間知らずらしい。そんな世辞を、このタイミングで言うかね?世界一のお世辞選手権・日本代表にでも転向をするつもりか。こういった、やりとりがまた1ヶ月続いた。卓球を再開してから既に半年が経過し、自分の失ったもの、得たものを天秤にかけ始めていた。


次回が卓球雑記の最終回です。

雑記

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Wheatley「かつて管理人の住んでいた田舎では社会人卓球クラブがあった。その思い出は輝かしい栄光か、それとも誇大妄想か。勝てば卓球が出来、負ければ台にすらつけない水曜日。その4、始まるぞ。」


水曜日はどれだけ急いでも地元の駅に着くのが19:15。この時点でいつも通りの遅刻である。ここから古びた体育館までは全力で走れば12分以内だ。水曜卓球の開始時刻は、正式には19:00だが、あのメンバー5人は18:30くらいから始めていたらしい。中学までは何もかもが一緒だったメンバーは、高校になると私だけ違った区域に進学をしたこともあり定時に集まるのが難しくなっていた。これでも随分と急いで高校を出てはいたのだが、イベントやレポートが非常に多い校風のため、帰宅はかなり遅い。だから水曜日は、どうにかこうにか言い訳をして・・・しないで急いで帰ることにしていた。変な話なのだが、高校の部活で練習する1週間よりも、この水曜日の3時間の方が圧倒的に役立った。大人が強いわけでは無い、かつての中学友人5名が高校生になると、この水曜日は異なった風景に染め上げていた。私の世代は歴代でも上から数えた方が早いほど卓球が上手だったため、目立っていたのである。尤も、勝てば目立つのは何処も同じであるが。

・・・

この場所で意見が出来る人間は限られていた。第一に毎週、来ている事。田舎に良くあることだが、暗黙のルールが強く出ており、だいたい10年間くらいは来ていないとダメという空気はあった。第二に、これが最重要なのだが卓球が上手い事。上手ければ大人の意見は排除できる。徹底された実力主義社会である。古びた体育館には1~7番台までの卓球台が置かれていた。最強と次席は1番台に入り、その次は2番台・・・最弱は7番台で打つ。卓球ができる人間は14名固定、しかし選手の数は30人を超える。ルールは単純明快。15分間で1試合を行い、勝てば上位台へ、負ければ下位台への降格。7番台で負けた場合、その日はほぼ打てないとみて良い。後に控えている人が入るからだ。普段から威張っている中年男性がいたのだが、卓球が上手くなかったので3時間で1回しか台に立つことが出来なかった。ここでは良く目にする光景なので、誰も同情はしない。大人だろうが小学生だろうが平等のチャンスが与えられている、勝てば打てるし、負ければ存在が薄れていく。私の世代は6名で、上位台を独占した。4番台と3番台の間には大きな壁があり、そして裂くようなカウンター音が1~3番まで響いた。正に雷鳴のような状態である。競争による成果が、ここまではっきりと見て取れるのは生れてはじめてだった。

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この卓球・雑記シリーズ第一回に登場をしたUは、私を卓球に連れ込んだ張本人である。メンバー間での実力は次席。最も早期に卓球をしだした男で、大変に器用な手先を持っていた。両利きで、ペンドライブとシェークハンドの何方も使いこなしていた。最終的にはシェークのドライブマンになった。初めて出会った時から2年間は歯が立たなかった。兎に角、台上での捌きが半端ではない。スマッシュやスピードドライブに託すのではなく、コントロールと回転に主眼を置いたプレイヤーに近い。特にドライブのエッジ周辺への着弾が恐ろしく、回転のフェイクも大変に上手だったので年上選手に嫌われていた。一般的に、卓球におけるテクニックでは力は不要である。余計な筋力を使用することで、狙いが数センチほどズレる。これが卓球においては致命的なので、腕筋力を用いらずに早く振る体勢が必要だ。この動作に、フェイントを使うことで様々な先読みを妨害することが可能なのだ。これがある程度のレベルまで達していないと、勝てないのが日常だった。ハッキリ言って、偽装すること自体は難しくは無いのだが、それを1試合にいかに盛り込むのかを考えると途端に難しくなる。Uとの試合は嘘を見破るか、見破られるかの勝負になる。残念ながら、読み合いのセンスでは常に私が負けていた。中学までは全く歯が立たなかった。常に教えてもらう側だ。

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序列が変わろうとしていた。
卓球における全テクニックをそつなく使う男に勝つために、正面からの撃ち合いに引きずり込む必要があった。相手に回数を渡してはいけない、3球目か4球目で終わらせれば良い。言っている事は単純だが、これを徹底させるとなるとしんどい。相手も十分に理解しているので、更に上を行く必要性がある。普通の力押しでは不可能だ、小細工を入れつつの力押し。単純ではない力押し、フェイクの力押し、ドライブもスマッシュも強打もバックハンドも7割力で良い。全力で振ってもラケットには当たらないし、『私の7割』が仮にでも手に当たれば激痛だ。エッジ?ネット際?卑怯でも何でもない。ルール上で全て認められている加点項目だ。水曜日の30数人が15分を過ぎている我々の試合にいちゃもんを付けることは無い。ここは序列2位を決定する第2番台。主審、副審が付き、フルセットの我儘が通用をした。"この場所で意見が出来る人間は限られていた"というのは、そういった部分で表面化する。私はUに勝利をし、17歳の夏に事実上の頂点に到達した。(実は順列1位は、上手だが来ない日の方が多く、私と予定も合わなかった)たかだか30数人のトップだ、井の中の蛙と言われても反論は出来きない。しかし、この田舎の30数人と言うのは、その世界そのものだ。
「卓球、上手になったじゃん」と他メンバーに言われても、中々に自分では理解できなかった。整理がついていなかっただけかもしれない。しかし、大学に進学をするために故郷を離れることになると、二度目の水曜日は永遠に訪れなかった。私は18歳以降、卓球はプレーしていない。正に実力が絶頂の時に潔く決別したのである。後はこのまま自慢話で墓に持っていくだけだとばかり思っていたのだが・・・

・・・

全く馬鹿げた早朝である。
日曜日の始発電車に乗り込んで、ゴトンゴトンと聞いたことも無い駅を過ぎていく。車両内に人気は無く、このまま黄泉まで連れていかれても不思議じゃない。ようやく目的の駅に着くと、トコトコと体育館を目指した。約束の時間まで30分も残して、体育館に入ると受付に不穏な張り紙が張りさせれていた。『本日、演武のため全面コート使用不可能です』。はぁ、そうですか。ここにきてまたトラブルですか。ここまで来るのに何時間、かかったと思っているんだクソ野郎。受付横にあるベンチに座って、Uに電話をしようとしたが、何となく気が進まず待つことにした。今日は卓球は出来ないな、そう思うと別の意味で安心感も出てくる。久しぶりに故郷の連中とあって、酒を飲んで帰るだけでも良いじゃないか。大人なのだから、そういう時間を過ごすのが大事じゃないか?
10分か20分か、それくらい経過すると聞き覚えのある声が受付10mに爆音で響いた。
「卓球できねぇじゃないか!!ばりーに電話で連絡しろ!!どうせ遅刻をしてくるはずだからな!!」久しぶりに会った3人ともお世辞ではなく、マジで若く見える。私も良く言われる方だが、それ以上に若く見える。声をかけようかどうか迷ったが、その瞬間にUに見つかってしまった。世間話無しの挨拶を終えると、別の体育館に車で移動するとかほざき始めた。本当に卓球をする気らしい。この様子だと、こいつらはマジでずっと卓球をやり込んでいる。5か月程度のリハビリでは及びそうも無いのが直感で分かった。

次回に続きます。

雑記

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紅莉栖「練習により少しづつ上達をみせる管理人。筋肉痛になりながらも、新たなラバーを張るために卓球専門店に向かう!!その3、始まるわよ」

実は卓球専門店には人生で一回しか行った事がなかった。当時、住んでいた場所は17世紀くらいの文明レベルで、街に行くには片道2時間半は掛かった。交通費も馬鹿にならなかったため、代表の人物が一挙に買い出しを行っていた。その人物は、仕事の関係で都会に通勤をしていたので、頼みやすかった。主にラバー、ボールや手入れ品は月に一度の感覚で入手できたはずである。生涯に一回だけ行ったときは、ラケットを購入する時だけ。流石にラケットそのものは自分の目で見て、握らないと解らないからだ。私は表ラバー(表面がデコボコしている)のを主体にしていたため、摩耗をすると直ぐに体感できた。飛びが極端に悪くなり、それが制球にモロ響く。当時のラバー代金は覚えていないが、最も高いものでも8千円くらいだったはずで、ラケットの裏表に張っても1万円くらいで済んだ。ラケット自体は頑丈なものが多く、1万円~2万円内で十分に高性能なモノが用意できた。時代は進んだとはいえ、ラバー1枚でフランス料理フルコースほどの金額は取られまい。店内に入ると、人が沢山にいた。最近は卓球が流行っているらしいと聞いたが、どうやら本当らしい。まぁ、私は流行りに乗っているわけではないのですが。

・・・

此処はレコード屋かな?
ラバーは棚一面に詰め込まれ、それはレコードを連想させる収納であった。見事に辺り一面がラバーによって占拠されており、他の客は店員とマニアックな話に更け込んでいた。ふと初めて街へ出たことが思い出される。確か洋楽CDを買うためだけに電車に乗り込んだと思う。昼前に電車に乗ったので、着いた頃には夕暮れ手前であった。帰りの事を考えると、ちょっとした絶望である。改札を出ると、沢山の大人が行きかっていた。行き先は人なりに聞いていたので、そこまで時間が掛からずに辿り着けたが、店内に居過ぎたため終電で帰宅することになった。電車内で遠ざかっていくビル群を今でも覚えている。現状、昼前なので常識的な人間が終電まで卓球専門店に居座ることは無い。それはそうと、この中から選ぶとなると確実に骨が折れそうだ。コーチの書いた、このファンシー字体で読み難い『お勧めラバーメモ』を取り出し、探し始めた。・・・え?無くね?いや、マジで見当たらない。これは写真整理のようなものだ。貴方は数千枚のデジタルデータをフォルダ毎に分ける作業をしたことがあるだろうか?きっと途中で嫌気が差すはずだ。どれを選んでも一緒のような気がするし、それは大したミスとも思えない。私は不真面目で狡賢いので、このような懇切丁寧な作業は出来ないよ。

・・・

このメモは役に立たない。ファンシーすぎて読めない。
そういえばコーチが球の規格がまた変わったことも話していた。卓球のボール規格と言うのは、大きく分けると3回変更になった歴史がある。従来の卓球では直径38mmボールが使用されていて、このボールは凄まじいスピードが出る上に、回転量も多い。つまり魔球し放題、弾丸打ち放題の世紀末状態であり、これが卓球界の日常となっていたのである。流石にヤバイと思ったのか、世界的に直径40mmボールになった。直径が2㎜増えただけで空気抵抗は信じられないくらいに大きな影響を与え、特に魔球的な回転系は難しくなった。更にスピードは落ちたため、ラリーの重要性が増したのである。しかし、これでもヤバイ変化球は出せたし、進化するラバーによってスピードも出せるようになってきた。そうこうしているうちに、また規格が変更になり、直径40mmボール(プラスチック製)となった。旧規格ではセルロイドを材質に使用していたため、良く燃えた。これが問題となったらしく、プラスチック製に変更となったわけだ。正直、ここら辺の規格から私は卓球から離れていたので、反応が難しいが、一般的には更に回転系のテクニックが難しくなったらしい。コーチが笑いながら、「A社さんのボールはマトモなんですが、外れ品を引くとダメですね(笑)」と語っているように、外れボールが混じることがあるようだ。それとラバー接着剤も規制されていた。まぁ、あれはトルエンだったし何れ規制される運命だったように思える。

・・・

未来商品をウインドウ越しに眺めているだけで話が一向に進まない。
教えてくれ店員さん。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。・・・程でもない。彼らはそれを商売としているわけだし、お客さんに手ぶらで退店してほしくは無いだろう。ラバーは購入していないものの、既に湿気取スプレー等は籠に入れていた。本当にラバーだけを購入していないのだ。ひとまず主体としている表ラバーだけはシッカリとしたラバーを張りたいものだ。あとは適当でも何とかなるだろう。「いやぁ、何を言っているんですか(笑)」と言われそうだが、関係ないね。色々と教えてくれた店員さんのお勧めは多いが、中でもハモンドというラバー名には聞き覚えがあった。確か昔からあったような、それでいて有名どころだった気がする。かつての卓球メンバーにも愛用者がいたはずで、彼らの実力から言っても納得の性能だったのだろう。正確にはハモンドFAというハモンド系の亜種らしい。意図的なナックルが非常に出しやすいらしく、スピードそこそこで、かつ回転系も捨てていない珍しい表ラバーなのだという。総合性能に惚れ込む選手も多いようで、"表ラバーを初めて使用する方にお勧め"とのこと。初めての表ラバーじゃないのだが、親切に教えてもらえるように卓球初心者を装ったのが逆に良かったようだ。値段も安く、2000円程度で購入が出来た。それはそうと、専門店はサービスが良い。代理人がラバーを購入していた時代は自分で切って張っていたが、そこら辺の作業も全て行ってくれた。楽で良いね!!ちなみにコーチのお勧めメモには『ハモンドFA』と書かれていた。どうみてもハモソドとしか読めないが。続くFが小文字hの上にプランク定数にしか見えないファンシーさで、Aに至っては小文字aがφである。よって、そのまま読むとハモソドプランク定数φとなる。他のラバー名を解読するのは疲れそうなので止めた。

・・・

「大会の申請を忘れた。大会に出れねぇわ、スマンな。」
久しぶりのUからのメールには、そう書いてあった。私を再び卓球の世界に連れ込んで何を言っているんですかね?この人は。
「マジで申し訳ないです。」
お前はクソだよ。ハモソドプランク定数φで撃ったスマッシュで顔面を穴だらけにしてやるよ。
「という事で、大会の代わりに旧水曜卓球メンバーだけのローカルな大会をしようと思う。ばりー、来てくれるよな?」

事態が悪化していた。公式の卓球大会に出場をするというのは負けても当然なので、心が揺らぐことは無い。私は卓球を生活の糧にしているわけじゃない。負けても別に問題ない。試合をする選手は、知らない赤の他人だし、気楽だ。しかし、旧友同士の試合となると話は変わる。捨て去れない下らなさ一杯のプライドが思い出として残っているからだ。生き残った思い出が誇大妄想であると判明をするかもしれない。私は長いブランクがあったとはいえ、旧友内では”強い”人間だったから、昔のままでいるべきだった。かと言って、逃げるわけにもいかなかった。ひとまず返信をして、風呂に入ることにした。何も考えが浮かばない、かつてのメンバーは連絡をしていないから現在の状況すら解らない。とんだ同窓会だよ。

次回の雑記に続きます。

4000拍手 記念

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皆さん、4000拍手記念記事ですよ!!
『4000』というキーワードで1記事を掲載しなければならないわけですが・・・何でしょうね。全く思い浮かびませんね。4,000円で買えるモノだと・・・オールドパーでしょうか。あれは良い酒です。しかし、バランタイン17年には劣るでしょう。カネマラ?渋いチョイスですが悪くはありません。白州を選ぶ人は無難ですが、ボウモアも捨て難い事でしょう。気分的には酸味と爽やかさが欲しいところなのでザ・グレンリベットに華を持たせましょう。出来れば12年ではなく、18年で。大幅な予算オーバーですが、これだけの文章を書いたことで記事が成立をしましたので許してください。

4000回の拍手を4000回の同意と捉えるのであれば、私の意見は中々の評価のようです。とは言え、私の力だけではなく、閲覧者や妖怪の縁あってこその数字でもあります。では、乾杯の音頭をお願いいたします。

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私に出来ることは決して多くは無いのです。
ゲームかお酒の記事を掲載することが主な目的ですので、流行りの動画作成なんかは出来ません。出来るかもしれませんが、私がゲーム下手なのが明白になってしまうのでしません。まずは出来ることに集中して、ブログ運営をしていくのが身の丈にあっております。割と滞っているゲームレビューですが、使用できる時間の関係で、一年に1本の掲載が限界です・・・短いレビューは継続していくので、これも良かったら拍手をしていただけると、やる気が少し増えます。ともあれ今年は忙しい月が多くなりそうなので、拍手が貰えるような記事が減るかもしれません。

相変わらず萃香さんが可愛いと思った方は拍手をしてください。貴方の家にも住み着いてくれるかもしれませんよ!!まぁ、妖怪に居座られるというのも可笑しな話なのですが。

雑記

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アイギス「卓球の大会に出場をすることになった管理人さん。プロに教えてもらおうと教室に通い始めますが・・・その2です。」

コーチの経歴は華やかであった。それこそ企業団の選手として活躍をしていても何ら問題の無いほどの勲章の数々。どうして職業選手にならなかったのかは不明だが、私が気にするようなことでもない。ただ、私に卓球を教えてくれさえすれば良い。お友達は募集をしていないんでね。もとい全くの卓球素人というわけでもなかったのでスイングくらいは可能だが、かつて出来たことが出来なくなっているだろうとの不安はあった。特に動体視力は20代半ばを境に急激に低下をするものだ。そうなれば球に当てる角度やタイミング等の瞬間的な行動に制約が出ることは確かだった。卓球台の前に何年ぶりに立ったのだろうか。ラケットを持つ手が急に弱弱しくなり、足が妙に不安がっていた。深呼吸をしても大した改善はしていない。そもそもにして他人に何かを教えてもらうというのは久しくなかった。

「ばりーさんは、卓球について知っていますか?(笑)」
ルールくらいは知っています。
「そういう方は多いですから。まずはラリー30回を目指しましょう。(笑)」

今の私なら30回も出来ない可能性があるかもしれない。何が出来たのかさえ思い出せないのだから。いざ打ち始めると、ラケットに球が当たり、しっかりと相手に届いた。不思議な感覚である。初めてではないのだが、懐かしさは感じずに奇妙なラリーは100回を超えても続いた。コーチがミスをしたのか、或いは私の制球ミスか、思い出せないがラリーは突然に終了をしたのである。コーチはノートに書かれた"ばりー練習メニュー"に大きくバツ印を書くと、独特の(笑)をしながらに説明をする。
「他に何かできる事があれば見せてください。例えば・・・ドライブとか"出来ましたか?”(笑)」

・・・

最初の月は確認作業に充てられた。その殆どは基本的な事柄 - 例えば足の動かし方から、ラケットの振り方の再確認。ラケットの面の何処に当てて、どのように返すのか。力の入れ加減に、タイミングを思い出す作業である。実に地味だった。そのくせ、やたら肉体的な疲労が溜まり、文字通りのクタクタ状態である。予想通り、動体視力は使い物にならなくなっていた。そのためライジング(バウンド直後の球を打つ事)が絶望的な状況である。攻め側としてライジングが出来るかどうかは、初心者と中級者を分かつ分岐点の1つと言える。勇気あるテクニックを日常的に行えるかどうか、リスクを背負ってまで前に出て攻めることに不安を覚えてはならないはずだった。しかし、そういった不安を深刻化させる以前に、このコーチが本気を出し始める。ある程度の基本を続けていく内に、今日から多球練習をしましょう!!フォア前(フリックで返してね)、バック、回り込みフォア(強打で返してね)、フォア(強打で返してね)、フォア(スマッシュで返してね)、5分×3セットでお願いしますね。じゃあ今すぐ行うので台について下さい(笑)」大丈夫じゃねぇよ。現役時代でも5分×3セットやったらクソ疲れるんだぞ。当時は、この倍近く行っていたが、そうなると私は私自身に尊敬の念を抱かずにはいられない。前に動いて、左に動いて、回り込んで、右右。腕だけではなく足、腰、目、肩、股関節、右足の親指、手首を全て連動させる必要性があった。自信がなくなる程に、下手に成り下がっていた。

・・・

午後の会議(とても重要)に出席しようと椅子から立ち上がった瞬間に、凄まじい痛みが太ももに流れた。多分、20mAくらいは流れている。既に右腕は上がらなくなっていたが、これは気合で何とか出来た。しかし、足が動かないというのは非常にマズかった。まるで潜水深度を超えた潜水艦のように筋肉が軋む。会議室まで約12m、階段やエレベーターに乗る必要性は無い。この席から直線上に行くべき会議室があるのだ。数メートル歩いたところで、洒落にならない激痛のため通路に座り込んだ。大丈夫、もう一度立ち上がって・・・立ち上がれない・・・嘘だと信じたい。ふと近くにいた女性社員と目があった。非常にマズい、この娘は非常にヤバい。10秒以内に私が健全であることを証明しないと、本気で通報しかねないからだ。彼女がスマートフォンを取り出して何処かに連絡をしようとしたのが目に入ったので、必死に弁明した。それはソクラテス並みに。顔色が-、呼吸が-、痙攣を- もしかして心臓麻痺なのかも- 不必要に人が集まってくる。冗談じゃない、私は心臓発作や脳梗塞じゃないんだ。こんなことで救急車を呼ばれたら末代までの恥だぞ。ここ最近では最も無謀な行為をするしかない。勢いをつけて立ち上がると、ほら、大丈夫だからね、安心しなさいよ。笑顔が引きつっているのは自分でも理解をしていた。その場凌ぎ検定があれば私はマスタークラスかもしれない。会議室まで辿り着くと、別の人間がやってきた。人事部だ、この会議には一切に関係のない役職である。誰かが病院ではない所に通報をしたのだ。ばりーが死にかけている、と。念のため病院に行って下さい。人事部はややキレ気味に説教をかました。筋肉痛です、と言ったが信じてもらえそうもない空気だ。社内で75日の噂になることが確定した。ばりーさんは何かの病気を患っているらしい!!

・・・

素敵な笑顔で鬼畜な発言しかしないコーチに時々は腹が立ったが、感情を抜いて冷静に考えればコーチの言い分は正しかった。私は長時間、打ち続けていると、不必要に指と手首に力を入れてしまう悪癖があり、これは若い頃にも散々に注意をされていた。インパクトの瞬間だけに筋力を使わねば、上手に手首を捻ったりすることが出来ない。卓球は細かい操作が非常に多く、その直前までに力を込めることは滅多にない。その一瞬だけで良いのだ。しかし、疲労をしてくるとスイングが汚くなってくる。そうすると、どうしても無理に力が入ってくる。特に私のような前陣速攻(台から離れずに勝負をするスタイル)は、動体視力を酷使する。短時間に神経が焼き切れるくらいに使い込むと、ある瞬間に強烈な疲労がやってくる。まるでダンプに押しつぶされていくような強烈な重さを伴うもので、それは足と連動する。一気に重力加速度が跳ね上がる。足が働かなくなるのだ。動けない特攻選手など、足を怪我したガゼルと同じくらいにハンターに狙われる。何せ左右に振るだけで、相手は追い付けないことが確定をしている。スマッシュやエッジを狙う事無く、リスクを背負わずに楽に仕留められるのだ。
思い出してきた。少しづつ確かに - 新しく覚える必要は無い。かつて出来たのだから『取り戻す』だけだった。多球練習は何時の間にか4セットになっていた。昔は苦手で捨てていたバックハンドドライブも練習に加わった。もしかしたら今の私なら出来るかもしれない。しかし常に制球精度や成功率に問題は感じられ、反省すべき点はとても多かった。

・・・

「ばりーさん、このラバーは死んでいるので新しい奴を張ってください(笑)」
爽やか笑顔で『死んでいる』と発言するコーチに、何となく慣れ始めている頃だった。
「最近のラバーは高性能ですよ。これはボクの書いたお勧めラバーの一覧メモです。参考にしてください(笑)」
何だよ、この女子小学生みたいなファンシーな字体は?兎に角、現在のラバーは状態が宜しくないらしく、新たなモノを購入する必要性があった。中学生の頃、よくよく聞いていたRun Through The Jungle(Creedence Clearwater Revival)をイヤホンから流すと、気分は高揚をしていた。Rising Storm 2でも流れていた大好きな曲を聴きながら、卓球専門店に向かった。

次回の雑記に続きます。
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ばりー

Author:ばりー
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