The Stanley Parable レビュー

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発売 2013年
プラットフォーム PC
開発 Galactic Cafe

我々、プレイヤーはゲームを選ぶことが出来る。仮に貴方がゲーム雑誌のライターで無い限りは、或いは広告で金銭を得ようとしなければ、商品を自らの手で選び取り、そしてプレイするかどうかの選択をする事が出来る。当たり前だ、金銭を支払うのは消費者なのだから、ゲーム会社は『自分たちを気に入ってもらえるように』アピールをする。このゲームの開発費は数百億円が投入されただの、2007年から開発しているだの、有名デザイナーが参加している、など等のアピールを馬鹿らしいほど行う。良い印象を持ってもらわなければ、消費者は靡かないから懇切丁寧に。でもWould you kindlyでお願いされる筋合いは無いよ。ここは海底都市じゃないんだ。良くあるオフィスの一室で、一人の男がゲーム開発者に立ち向かう壮大な旅が始まる!!・・・なんじゃ、そら!?

【概要はよく読むこと、いいね】
Galactic Cafe開発の一人称視点アドベンチャーゲームで、大変にゲーム内容が異質なため話題になったタイトルである。元々はHalf-Life2のModからスタートしており、そこから幾つかの要素を加えてリリースされた経緯がある。後述するが、このゲームの問題は、過去に例を見ない自虐セルフパロディだらけの構成に加え、ゲームをプレイする事への本質的な疑問をプレイヤーに投げかけていることにある。ゲーム内に於いてプレイヤーが何かを選択する事への言及をしたタイトルとしてはBioshockがあるが、これはストーリー上の分岐点として描かれるに留まっている。ところが、The Stanley Parableはそれ自体がテーマとなっており、かつゲーム進行を司る語り手が登場をする点で、相当に変わっているタイプのゲームと言える。ゲーム内で出来ることは、一部のイベントを除けば移動だけであり、敵との戦闘などのアクションは殆ど無いと考えてよい。プレイの大部分は語り手がプレイヤーの選択した行動に対する評価や感想を垂れ流しているだけであり、純粋なアクションを楽しみというよりかは、語り手の反応を見て笑う色が相当に強い。現時点で日本語版は販売しておらず、ゲーム内容から言っても英語を聞く力がそれなりに必要。恐らく、ゲーム内容の異質さから考えても、日本の代理店が絡んだり、パッケージ版が発売される可能性は低い。

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誰も居なくなったオフィスを探索するというのが目的だ

【Stanleyは正しい選択を行いました(私に従え)】
プレイヤーが操作するのはオフィスに取り残されてしまったエンジニアであるStanleyで、彼を無人オフィスから脱出させることが当初の目的となっている。Stanleyが喋ることは無く、何かしらの性格付けやキャラクター性は持っていない。これが重要な要素で、プレイヤー自身がStanleyという意味がある。更に重要なのは、Stanleyをゴールまで導いてくれるナビゲーターがいることだ。このナビゲーターに関しては一切に素性が解らず、特に名前は決まっていない模様(ここでは語り手とする)。主にゲーム進行は、何かの選択が用意されている→Stanleyが選ぶ→語り手が評価や感想を言う、流れになっている。これを繰り返していき、複数用意されているEDに到達していく事となる。選択は非常に多く、右ドアか左ドアかという簡単なルート選択から、中にはバグを用いた通常のゲームでは考えられないようなルートも存在している。1つのEDに到達する平均時間は約10分程度だが、これも例外が多すぎるので何ともいえない。初回プレイでは、多くのプレイヤーは10分程度でEDを迎えられる程度くらいに考えておこう。

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選べ

【左ドアに入りました】
右ドアと左ドアの選択をしなければならないシーンが作中にある。が、ここで注目すべきは語り部のセリフで『he entered the door on his left』(彼は左ドアへ入った)、つまりプレイヤーが選ぶ前から勝手に行動を決めていることに在る。事実、正規ルートは左であり、語り手が用意したベストEDの最初の一歩は左ルートから始まる。仮に右ルートに入ると、語り手は「Stanleyは間違えました」程度のコメントだが、何回も正規ルートを外すと次第に怒り始め、本性が現れてくるようになる。このゲームの面白さは、正に語り手を怒らせることにある。と言うのは、語り手は最初のうちは紳士的な態度で接してくれるのだが、間違いを連続する度に口調が悪くなっていく。更に正規ルートから外れていくと、悲観的なったり、プレイヤーに対して文句非難を浴びせたり、と感情豊かに怒ってくれるのである。この語り部を困らせる方法は、かなり多く、むしろ正規ルート以外の間違ったプレイを探すことが醍醐味である。個人的に面白かったのは、プレイヤーが物置倉庫に何回も入ると見せるリアクションで、これは語り手が可哀想になってくるほどの行動である。その結末は自身の目で見て欲しいが、私がこのEDを始めてみた時は大笑いしてしまった。「お前もかよ!!」と的確なツッコミを入れる語り手もセンスがある。

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五月蝿い!!私は好きなようにプレイをするのだ

【Stanley、君は私を怒らせたいのか】
この語り手は、実に興味深い行動を起こしてくれる。この語り手がゲーム開発者の代弁をしていることは明白であり、その一端はプレイヤーの行動に対して、強行的に行われることが多々ある。語り手の目的は、プレイヤーをベストEDに導くことであり、それ以外の行動を取ったプレイヤーには制裁を加えることを良しとしている節がある。さらに付け加えると、語り手はゲームの大部分を掌握しているので、プレイヤーが間違った行動をしても何かしらの対応方法を持ち合わせているのである。例えば、あるエリアでは正しいパスコードを入力しないと先へ進めないシーンがある。ここで語り手は正解のパスワードを丁寧に教えてくれるのだが、プレイヤーがそのコードを入力せずに間違ったパスを入れ続けると痺れを切らして勝手に先へ進めるような段取りをしてしまうのである。これはまだ平和な強硬手段で、時にはプレイヤーの自由を奪う等の、快適性を奪うような事もしてくる。この表面的な紳士口調と、腹黒さを両立させたキャラクター性は大変に評価が出来る。ブラックジョークやメタ発言も多く、解る人には壷にはまるセリフも、他ゲームでは見られない特殊性がある。その一方で、正規ルートを忘れるといった初歩的なミスを犯すこともあり、完璧主義者になりきれていないお茶目さも可愛らしい。

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悪役に徹した語り手はノリノリです

【おい、そっちへ行くな】
全EDの自力到達は非常に難しいレベルである。というのも、幾つかのEDへ進むルート分岐に、ゲーム内のバグ、グリッチを用いたものがあり、これを自力で見つけるのは間違いなく強運が必要。実を言うと、私が自力で到達できたEDは11個ほどで、あとのEDは動画で確認をしたというのが実情である。バグを用いたEDは気づく人はいるのだろうが、チートを用いて見るEDは、そもそも普通のプレイヤーはそこまで考えないというのが率直な感想である。そのため1つや2つのEDを見るのは簡単だが、全ルートED到達は極めて難しいレベルであり、そういった意味ではハードコアといっても良い。さて、複数のEDが用意されているゲームであるが、以下に記述するのが私の好きなED一例である

一部のEDネタバレがあるため注意

・・・

最初は、Museum Endingである。ここでは語り手よりも上位クラスである開発者による解説が行われ、最終的にゲームを中断する事でクリアが出来ることが明かされる。このルートに到達する過程でもESCAPEと書かれた道なりに行くことになるので、一見すると語り手の支配から脱出できたようにも見える。しかし、ゲームクリアが、ポーズメニューから行うというのは、ブラックジョークすぎて本当に開発者がこれを伝えたかったか疑問が残る。ただし、真剣に考えると、プレイヤーがゲームを止めた時点でクリアと言うのは何となくだが解る気もする。

第二はLaunch Pod Ending。このEDではドアの開閉を利用して語り手を部屋に閉じ込めるバグを用いることになる。どうやら語り手はゲーム内の全てのセクションにアクセスできる権限が無いらしく、完全に部屋に閉じ込められ、以降のプレイヤーに干渉できなくなる。道を戻ると、ロケットが用意されており脱出する。その後、ゲームを語る者がいなくなるのでStanleyのその後は解らなくなる。完全に語り手をやっつけたという意味では、プレイヤーの目的を達している。しかし、考えようによっては誰かがロケットへの道を用意し、そのためのバグも修正しなかったわけである。語り手より上位の存在の手の中で躍らされただけかもしれない。

第三はReal Person Ending。数あるEDの中でもゲーム進行とプレイヤーの存在について強く言及がなされており、私の中でも納得が出来る内容であった。つまるところ、いくら語り手が懇切丁寧にプレイヤーを導こうが、邪魔をしてこようが、プレイヤーの入力がなくなってしまった以上、どうすることも出来ないのである。毎回、毎回に間違った選択をして困らせていたプレイヤーが突如として動かなくなった。語り手は考える - どうしたんだ?ははぁーん、そうやってまた私を困らせる気だろう?いいかい、私に立ち向かうなんて無駄なことは止め給え。さぁ、早く右ドアか左ドアに入るか選びなさい。 … … … しかしプレイヤーは何時まで経っても動かない。ゲームを中断するわけでもなく、そのまま動かなくなってしまったプレイヤーに次第に語り手も慌て始める。ここに来るまでの過程が重要で、その直前に完全に怒ってしまった語り手(あまりにもプレイヤーが無能すぎるため)は、ついにプレイヤーに対し激しい非難を始める。ところが、プレイヤーにとっては、その非難自体が理不尽である。そしてプレイヤーはついにStanleyの操作する権限を奪われる。ゲームにはプレイヤーの操作介入がなくなった主人公が1人、語り手は何とかしようとするが、プレイヤーを追い出したのは自分である。

所謂、開発者がプレイヤーを思うがままに出来ると信じ込み、自分たちのエンターテイメントを押し付けたために、誰もプレイする人が居なくなってしまったというBADEndである。(というか、開発者自身がプレイヤーを追い出した)
このEDはやけに印象深く、そして想像を絶する終わり方である。ある意味、一番やってはいけないゲームの終幕かも知れない。

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操作入力の無くなった主人公を永遠と待つはめになってしまった

【どうして無能なプレイヤーしかいないんだ】
大切なことだが、ゲームを遊ぶ上での主役はプレイヤーである。我々が入力をしなければ、展開は訪れない。しかし、このゲームではStanleyが喋れないため、ほぼ語り手が主役級の活躍をする。ゲーム開発者が、プレイヤーの行動に対して説教を繰り返し、時にゲーム進行の妨害を行うような強硬手段に出るとすれば、プレイヤーは従わざるを得ない。開発者が望んでいるのは、バグを見つけて楽しむような輩でもなければ、間違った遊び方をするようなプレイヤーではないと伝えてくる。しかし、The Stanley Parableでは、そういった開発者たちに、『プレイヤーの選択(例えそれが変であっても)を尊重しろ』と訴えている。一部のEDでは、あまりにもプレイヤーが暴れすぎたためにゲーム自体が崩壊してしまうシーンもあったが、そこまでするプレイヤーは現実にはまず居ない。開発とプレイヤーの溝はある一定の距離が必ずあると思うが、あまりにも酷い場合だと、課金システムでプレイヤーを縛ったり、ゲーム品質を根本から勘違いして、売れない責任を消費者のせいにする会社もある。そういった問題提起を、ブラックジョークで塗りたくった本作品の存在意義は非常に高いと感じるが、やはり人を選びすぎている
ゲームは、例えばドリフトでライバルを抜き去ったり、或いは敵キャラを銃で倒す、仲間を増やすといった、欲求を叶えてこそエンターテイメントなのである。そこからエンターテイメントとは何か?と哲学的に示されても、余計な迷惑である。このゲームのレビューが難しいのは、本質的にThe Stanley Parableが楽しさを追求するよりも、楽しさ、選択する事で得られる価値の存在について明らかにしようと努めてしまったことにある。キワモノゲーム好きなら大喜びだが、普通のゲームがしたい人にとっては説教臭くて仕方が無い

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違うゲームが始まっているんですけど

【私を評価しなさい】
あまりにも常軌を逸したゲームデザインであり、ゲーム上級者向けすぎる。ゲームプレイの殆どが語り手のセリフを聞くことであり、そこに楽しみを見出せないと厳しいタイトルである。だたし、語り手のリアクションやセリフは見ていても楽しく、間違ったルートを見つけるのも楽しいことは事実。過去に類似するゲームも無く、世界で唯一つのオンリーワンなゲームである事も確かである。ED総数も多く、1プレイが短くとも総量で考えるのであれば十分な水準といえる。私としてはオリジナリティ溢れるゲームは高く評価をしたい。また、テーマとしてもプレイヤーvs開発者という爆笑もののセンスであり、他会社も易々と真似が出来そうもない。そういうことで、キワモノゲームではあるが、かなり大甘な評価をしてしまったことを許していただきたい。


99点 … … … こんなレビューで満足ですかね、語り手さん。

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Syndicate レビュー

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発売 2012年
プラットフォーム Xbox360,PS3,PC
開発 Starbreeze Studios

私はElectronic Artsを救いたいのだ。
かつて皆が愛したゲーム会社は、今や多くのユーザーを失望させている。
過去作品の版権を買い漁って全てを台無しにしたり、小さな開発会社を買い込んで最終的にはスタジオ閉鎖、マニュアル通りにも満足に出来ない。一体、何時からChallenge Everythingをしなくなってしまったのだろうか。
よって私がCEOになるしかない。
独裁経営下での新体制は、大規模なLockoutで幕を上げ、私に逆らう連中に明日は無い。
スキップまじりの鼻歌で発せられる最初の命令は「さっさとノルマンディー上陸作戦をするんだ!!」
仮にプロディーサー達が嫌がっても、トンプソンの銃口を向ければ仕事をするに違いない。
しかし経営者は時として、どこからか大金を持ってこなければならない。
ケチな投資家は私をボロクソに叩くだろうから、まっとうな方法での集金は不可能だ。
しかし、この問題はカンタンかつスマートな方法で解決をする。
世界中の銀行頭取を会議室に集めて、こう言えば良い。
「私共は明日の会見で、脳に直接ゲームデータをダウンロードする技術を公開いたします。皆さん方には、その技術に少しばかしの先行投資をしていただきたいのです。我々と一緒に『都合の良いデータ』を管理しようではありませんか」
1つの巨大企業が脳内チップを独占し、シンジケートが国よりも強大な権力を振るう近未来。
あちらこちらで企業間戦争が勃発し、持たざるものと権力者達の格差が広がった時代に、貴方はサラリーマンとして仕事をこなさねばならない。

【概要】
Starbreeze Studios製作のアクションFPS。
同スタジオはこれまでにもFPSを製作してきており、その多くに特異なデザインが見て取れる。
有名なのはThe Chronicles of Riddickシリーズだが、本作品もそういった個性の強い作品となっている。
元々、Syndicateは1993年に発売をされたシュミュレーションゲームであり、PCゲーマーの間では評価の高いタイトルであった。それを2012年にリブートしたわけだが、資料を見る限り、オリジナルとの繋がりは無いように思われる。
よって、完全な新作タイトルとして開発されることとなったのだが、売り上げは15万本しかなかったことが後に公表された。
売れなかった理由は、幾つか考えられるが、ゲームの質が悪かった、というよりは知名度の問題が大きい。
そもそもPCゲーム界隈で有名であったとは言え、1990年代のゲームを、FPSでリブートするというのは例が無く、旧作ファンからそっぽを向かれ、同シリーズを知らない人にとっては、マイナータイトルとして捉えられたため、それが売り上げに繋がったようである。
今回のレビューではオリジナル版とは比較せずに、純粋に新作タイトルとして評価をする。
またCoopは搭載されているが、プレイ人口の問題から未プレイである。

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近未来での仕事は過酷だ

【戦うサラリーマン・戦闘偏】
サイバーパンクな世界を舞台としたアクションFPSであり、プレイヤーは巨大企業Eurocorpのエージェントである主人公Miles Kiloとなって数々の依頼をこなしていく。
最大の特徴は、ハッキング能力にある。
ブリーチと呼ばれる3種類の能力が備わっており、これがアクション部分に対して非常に良い印象を与えている。
この世界では多くのオブジェクトに対してハッキングが可能であり、例えば敵タレットのハッキングに成功すれば自身のために働いてくれるし、敵自身もハッキング可能だ。
以下、紹介をするのは敵に対して行える特殊なアビリティーである。ただしこれらの能力は強力になれば、その分だけ多くのゲージを使用してしまう。ゲージは敵を倒すと回復をするものの、各能力によって回復能力に大きな差がある

Suicide
最初期から実行できるブリーチで、敵単体に対して自爆を強要させるハッキング能力。
自爆した敵は、近くの敵を巻き込むために、使い勝手は優秀な部類。
またハッキング成功時に、必ず敵が即死するというのも魅力的である。
ただし、中ボスやイベントで現れる敵に対しては無効である。

Backfire
敵の銃身に入っている弾丸を爆発させ、その間無防備にする能力。
敵に与えるダメージは少ないものの、初期の段階で同時に2体までハッキング可能。
この能力の魅力は、安全な時間帯を生むことにある。後の詳しく述べるが、後半戦が難しいゲームなので、お世話になる機会はそれなりにある。またハッキング成功をすると、この間に与えるダメージ量は2倍になるため、攻撃的に使うこともできる。
この能力も一部の敵には効果が無いのだが、ストーリーの関係上、この能力だけで進むシーンがある。

Persuade
敵単体をハックし、その敵を一定時間味方にできる強力な能力。
ハックされた敵は一定時間後に自殺するため、使いようによっては相当に凶悪である。
ただし、その分だけゲージ管理が難しい能力で、あまり連発できない。
当然ながらボスや一部の敵には効果がない。

この3能力はバランス的にも、かなり練ってある印象で、上手く機能をしている。
例えば、敵が多数正面から向かってくるシーンでは、Suicideで複数の敵を爆殺しつつ、有利な展開に持っていけるし、仮にSuicideが空になったとしても、他の2能力とはゲージが別なので、Backfireで、或いはPersuadeで凌げる。
肝心のゲージ回復量だが、そんなに神経質にならなくとも勝手に満タンまで貯まっている事が多く、バンバン使用するくらいが丁度良い。
このバンバン強力な能力を行使できる楽しさは快感ですらある。

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ハックゲージは敵頭上に現れており、完了すれば即発動。

【恐怖のハイスペック新入社員】
先のハック能力とは別能力として、DART Overlayと呼ばれる強力な戦闘能力が備わっている。
これはシーン、敵種類に関係なく任意に発動できる能力で、自身の反応速度が高速化し、時間がスローモーション化、10パーセントの与ダメージボーナス、10パーセントの被ダメージ軽減ボーナスが付与される。
能力使用中は、ハック可能なモノが鮮明となるのも魅力。
Overlayは使用中はUI内にある青ゲージを消費するのだが、これは時間回復をする仕様
どちらかといえば、F.E.A.R.のSlow-Moに近く、ハック3能力と組み合わせると強力。
壁を透視することも出来るため、辺りの様子を伺う際にも使用する。
Overlayが面白いのは、壁撃ちを容易にしている点だろう。
ライフルなどの貫通力の高い武器はコンクリート壁を貫通して敵にダメージを与えることが可能で、これにより一方的な攻撃をすることも可能だ。
本来、FPSにおける壁貫通攻撃は、運が絡むことが多く、有効に活用できるシーンは限られていた。
しかし、SyndicateのOverlayは、そういった問題とは無関係にストレスなしに、かつ戦略的に壁撃ちが可能なため、趣向そのものが面白い。
アクション性は、このOverlayによって、大きく引き上げられているため、戦闘スピードは速い。

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隠れていても、敵は丸見えだ。

【スピード感あふれるお仕事】
敵に干渉するハック能力と自身を強化するOverlayにより、戦闘はプレイヤー有利なアクションが揃っており、アクションを行使する自由度もあいまって、戦闘の質は相当に高いといえる。
それと深く関係をしているのが、敵体力が多めに設定されているデザインである。
各能力を使用しないと難しくなる難易度であるために、常に何かをしていないと敵に押し込まれてしまうシーンが多い。このゲームの戦闘は質も高いが、考え方も優秀で、敵を倒す手順を考えるのが楽しいのも好印象だ。
特殊能力を出し惜しみ出来ない、という事は強制的にではあるがハックする攻撃の楽しさを理解してもらうことと同義であるし、さらに付け加えるのなら銃弾をあまり多く持てないために、最後の最後で頼れるのは能力というモノになっている。
強敵が一定数存在するが、これはやや単調に感じられた。
というのは中ボスクラスの敵はシールドで守られており、まずシールドをハックして無効化して撃ち込む手順が必要になる。これが割りと時間を食うため、他の通常戦闘よりもスピード感は落ちてしまっている。
もう少し体力関係を調整する必要性を感じるものの、逆に通常戦闘はセンスがある。
敵の数も多く、突っ込むと直ぐにやられてしまうのだが、Overlayで障害物から障害物へと移動しつつ、という緊張感も素晴らしい。これを実行できるロケーションも十分に作りこんであるため、本当に戦闘をするのが楽しい。

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戦闘狂にこそお勧めしたいアクションがてんこ盛り

【ハイスピードぶん殴りゲーム】
特殊能力関連で付け加えるのなら、アップグレードの出来がある。
これはハック能力やOverlay、体力などをアップグレード出来るのだが、これも良く出来ている。
アップグレードは全17個中9個しか取れないが、その分、各強化は非常に有用なものが揃っている。難易度は高めなゲームなので体力関係は揃えた方が楽になるのだが、アップグレードした近くのアップグレードを取得すると、若干だが上限体力が増える。これは重要な知識で、あまり好き勝手に取得をしていくのと、計画的にアップグレードしていくのとでは相当に体力差が出る。
気になったのは、ハック能力の強化はあまり使えない印象で、とにかくOverlayを強化する意義が大きすぎる
これは能力がシーンによって自由に使えるかどうかが大きく影響しているためで、もう少しブリーチ・ハックを優遇しても良かったように思える。敵を倒してゲージを回復させるという趣向自体は面白いのだが、対するOverlayは時間回復なのも拍車をかけている。使用回数に差が出ることは明白だ。
また接近戦はアップグレード次第では、凶悪になるため別ゲームのようになる。
敵の体力は多目なゲームなのだが、接近攻撃は体力に関係なしに即死攻撃になる。
コレに加え、後半のアップグレードでは接近戦で敵を倒すと体力が回復する強化があり、Overlayで一気に敵に接近して即死させ、直ぐに次の敵に突っ込むプレイも可能。しかも強い。

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悩める選択

【テンポの悪いストーリー】
アクション性は抜群だが、それ以外の部分での問題が多い。
序盤に各種ハック能力に関しての練習シーンが入るのだが、これがあまりにも丁寧すぎてテンポが悪い。
能力の概要だけを説明してくれれば良いものを、長い時間をかけて体感させるので、アクションシーンとのテンポの差が激しいアンバランスな序盤になっている。
中盤戦はさらに失望させられる。
ストーリーの関係上、BackfireとOverlayの2能力で進むのだが、何にも面白さに繋がっていない。
このゲームは、強力な能力を使用して、敵をバンバン打ち倒しに打ち倒していく快感にこそ、魅力があるのだ。
それを一時的に奪ったばかりか、急に難易度も落ちて手ごたえが全く無い、非常に普通なFPSになってしまっている
さらに強力な武器も使用できなくなってしまうので、派手さも減少、この制限された詰まらなさは割と長いシーンとなっていて、ゲーム全体を眺めても失敗していると思う。
武器の選択肢が少ないというのも問題だ。
性能が高い武器と低い武器の差がかなりあるために、プレイヤーが選べる武器は最終的には少ない。
ボス戦闘における退屈さも深刻なレベルまで達している。
最初のボスは正面から戦える面白さがあるのだが、以降、特殊な手順を踏む必要性があったりで、単純に面倒。
それと移動中の無意味なQTEが多すぎる。ダクトを開けるのにいちいち連打するのだが、血管が切れそうになるくらいにイラついた。戦闘中のせっぱつまったQTEならまだ理解できるが(勿論、戦闘用のQTEも大嫌いだが)、こんなにも無意味なQTEはこのゲームくらいしか搭載されていない。
だが、これらのマイナスが可愛く思えるくらいの悪い部分は、ストーリーの出来だ
SFとしてのビジュアルは優れているのだが、肝心の見せ方が下手で、終盤があまりにも想定内すぎる展開なので、素材が全く生かされていない。
せっかく企業間戦争やチップ問題を取り上げているのだから、Deus Exばりに頑張って欲しかった。

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退屈な中盤戦

【グラフィックス】
単純な感想としては、非常に綺麗。
特にSFモノとして見れば『ストーリーを除けば』、デザイン性は極めて優れている。銃器のデザインやSFモノにあるべきステルス機能、戦闘機も割りと作りこんである印象で、中々に楽しい観光ができる。
ただし、アクションFPSとしては視覚効果が過剰な印象で、激しい戦闘中の画面がやや見にくい問題がある。
これは慣れれば気にならない人と非常に気にする人で分かれると思うが、個人的には気になった。
BGMは聞こえにくい問題がある。
そのため、評価自体ができない。

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見難い。実際だと眩しくてよく解らない

【総評】
とにかくアクション性がずば抜けて素晴らしいFPSなので、激戦であればあるほど白熱できる。
戦闘の根幹がしっかりとしているし、能力を行使したり、アップグレードする楽しさも標準以上だ。
問題点は、それ以外の部分で多く見られる。
しかしながら、センスは一級品なトコロは、流石はStarbreezeといった感じか。
最終的な私の評価だが、これは先に述べておくと、
『私はFPSとは敵を倒す面白さだけあれば良く、後は付加要素程度でしかない』という考えがある。
こういった戦闘重視のFPSは、近年少ないこともあり、高く評価をしたい。

80点

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Metro 2033 レビュー

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発売 2010年
プラットフォーム Xbox360,PC
開発 4A Games

その男は一歩、一歩としっかりとした足取りで地上ゲートへと近づく。
まるでカミソリのように鋭い眼、肩幅は広く長身な男は、自身が優秀であることを十分に証明するだけの軍上級士官服を着こみ、かつそれが表面上だけではなく中身も伴っていたのである。
でなければ、首都モスクワの地上と地下を結ぶゲートの責任者は務まらない。

-2013年.モスクワ 晴れ-
素晴らしい快晴に空襲警報が鳴り響き、首都が混乱した日でさえ確実に軍務を遂行しようとする。
我先にシェルターへと急ぐ市民をしっかりとカウントし、規定数に達したためゲートを閉めようとすると、避難できなかった市民達は暴徒と化した。
制御不能な事態に部下達は四苦八苦し、ゲート前で飛び交う暴力は『眼の前にいる軍人のせいだ!!』に変化をする直前、男はAKを空に向けて発砲した。
完璧なタイミング、的確な判断に市民は驚き、物言わぬ上級仕官が冷酷な責任者であると瞬時に理解した。
次は威嚇射撃ではないぞ、と言葉以外の方法で別の死因に怯える全市民に警告した。
警告が完了した一瞬、ほんの1秒以内、名も知らぬ女性が自身の赤子を男に手渡そうとする。
暴力の渦巻くゲート前まで必死にやって来たであろう若い女性は、赤子の命を見知らぬゲート責任者に預けようとしている。
しかし、男は軍務に忠実な経歴を持っており、ソレが軍規違反であることは知っていた。
赤子を受け取れば軍歴に傷がつくだろうし、何よりも彼は"そういう"性格ではない。
彼は強制的にゲートを閉める冷酷な命令を発し、機械の力でゆっくりと最期の扉が閉まろうとしている。
女性が最期に見た光景は、軍人アレックスが我が子を抱きかかえながら安全な地下シェルターへ一歩一歩とゆっくりと進む様であった。
その数分後、汚れた光が地上を綺麗に焼いた。

-2033年.モスクワ 天候不明-
これは人類が今日を生き抜く事さえ困難になった未来のお話。
Fear the Future,Future is …

        Now


【概要】
ウクライナにある開発会社4A Gamesの処女作。
同社の創立メンバーは、かつて同国に存在したGSGGameWorldに在籍をしていた経歴を持ち、複数人で立ち上げたとの事。
会社が設立してからMetro 2033を発売するまでに長い期間が存在し、何度か延期がアナウンスされていた。
同名小説が原作であり、この原作はロシアで40万部以上の売上に加え、国内で非常に高い評価がなされている。
2007年にはヨーロッパのサイエンス・フィクションの協議会Euroconにて奨励賞を受賞する等、ヨーロッパでの知名度は高く次々に翻訳版が出版をされた。
日本語版は一時期、販売するのかどうか不明だったのだが2010年にようやく発売をしている。
原作者ドミトリー・グルホフスキー自身がPCゲーマーであることから作品のメディアミックス化には慎重であったらしく、所謂『ゲーム化における世界観の崩壊』を恐れていたようである。
経緯は不明だが、4A Gamesスタッフがグルホフスキーを説得し、彼がゲーム制作に強く関わることで本作の製作が進んだ。
原作者曰く、元より小説版を綺麗になぞる事は考えておらず、ゲーム化されたMetroを最初から考えていたようである。
後に詳しく述べるが、確かに小説版とゲームとでは多くの事柄が異なっており、上手く2つのMetroを創作できたとする意見も多い。
発売後、メディア、ユーザーの評価が真っ二つに分かれた作品としても有名で、家庭用ゲーム機ユーザーは総じてスコアが低い一方、PCゲーマーは高い評価を下している。
一般的にはコアゲームに属するタイトルであるため高難易度であることが各評価に大きく影響をしているようである。

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地上は核の影響により放射能汚染が進んでいる

【地下、絶望、死】

プレイヤーに非常に多くの行動制約を設けている珍しいタイトルであり、そこが本作の最大のポイントにもなっている。
まず第一に地下で行動をするシーンが全体の8割を占める稀有な状況にあるということ。
そのため暗闇が異様に多く、視認性は最悪といえる。
この暗すぎる世界は、そのまま難易度に直結してしまうのがFPSであり、近年のハリウッド・シューターの定説から考えても時代から逆行している。
FPSにおける『暗い』が持つデメリットは数知れない。
まず最初に考えられるのは銃を用いた戦闘で、プレイヤーに余計な負担が増すことだ。
スピード感ある撃ち合いが近年FPSの有るべき姿であり、暗いと視認性の悪さから速度の遅い戦闘になりがちである。
実際、2007年以降、この傾向は見られないことからも解る。
またデザイン上、ハリウッド・シューターのような過剰演出は暗闇とそりが合わない。
派手な演出劇場には、それ相応の舞台・状況が必要であり、地下世界を中心に描いてしまうと、それは重要要素である演出を自ら捨てる行いであり、それは売上にも直結する。
視認性の悪さは、迷子誘発をひきおこし、アイテム発見は当然のごとく強く影響を受ける。
昔のFPSをプレイされていた方なら大方で納得されると思うが、FPSに於ける害悪要素は大抵『視認性』が原因であり、迷子FPSなんて物は真っ先に駆逐されるべき障害でもあった。
そこで多くの開発は、スクリプト演出によってプレイヤーをゴール地点まで誘導をし、一本道にするだとか異様に優れたインジケーターを設ける工夫で、丁寧な娯楽を重ねてきた。
中にはインジケーター、常時MAP表示、かつ一本道に加え、ヒント表示機能まであるので購入者が間違いなくEDまで見れるように親切さで埋め尽くされたタイトルも有る。
このデザインにより昔ながらの雑なFPSは見事に破壊され、初心者は皆救済されたのである。
暗いということは初心者を置き去りにし、難易度も異様なほど上昇をし、開発者のセンスを活かしづらい、つまり致命的なデメリットなのである。
とは言え、メリットも少数ながら存在する。
暗いエリアというのは未知情報が多すぎて、プレイヤーが不安を感じる。
そこでの感情は、恐怖であり、これは暗くないと成り立たないことが殆どだろう。
なにせ何も見えない状況ではプレイヤーが圧倒的に不利であり、これを上手く言い換えるのなら一線を越えた『ある種の演出』とも考えても良いはずだ。
メトロは終始、これを上手に利用した。
まず、光源関係を明確にすることで暗い事をプイイヤー有利にした発想にある
このアドバンテージはステルスFPSに多く見られるが、メトロは一歩進んでおり、ステルスへの強制はあまり感じられない。
正面から敵に突っ込んでも難しいがクリアは出来るので、純粋な暗闇ステルスゲームではない事が多くのシーンで実感できる作品となっている。

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暗いことはプレイヤーに多くのデメリットと少数のメリットを与えるが…

【光と暗闇の合間で】

ステルス面でメトロが行ったことは、プレイヤーが現在どの程度の光量を浴びているかを確認させる事で、より一層の没入感を高めたことであろう。
本作はHDレスが徹底されており、あまり画面上に余計な表示はされない。
そのため光量関係を確認するには、腕時計に見て確認しなければならず、他タイトルと比べても一手間必要な点で変わっている。
光量は腕時計上で、赤いと多くの光を浴びている状態、つまり非常に発見されやすい状態であることを示し、反対に緑なら発見はされにくいという状態だ。
面白いのは、光源を破壊してプレイヤーに有利な環境を作り出せる点だ。
例えば、多くの敵がパトロールしているエリアではステルスプレイで進めた方が良いだろう。
そこで光源であるランプを1つ1つ破壊していkれば、そこに暗闇が生まれ、そこがプレイヤーにとってはオアシスとなる。
勿論、敵に接近されすぎると発見されてしまうが、ステルス中のナイフ投擲が強く、暗闇内での主人公は比較的に強い目といえる。
この主人公アルチョムの強さ設定も見事で、通常戦闘では苦戦するような弱さなのだが、環境によっては敵と対等かソレ以上に力があるというデザインも素晴らしい。
ステルスを面白くしている2点目は環境音だ。
ガラス破片を踏めば大きな音が鳴り、敵がすぐさま駆けつけてくる、と書けば感の良い人なら『環境音利用』をすぐさま思い浮かべるだろう。
敵は音に敏感な印象で、特に銃声に対して過敏に反応をし、これもステルスプレイを楽しませるのに一役買っている。
背後からナイフ攻撃や暗闇からの投擲ナイフは凄まじく緊張をするし、暗さを味方につけながらも不安を感じさせるような戦闘シーンは見事だ。
何度も言うが、メトロはステルス色は強いが、ガチガチのステルスFPSではなく、ステルス要素を持ち合わせているタイトルとして捉えたほうが良い。
しかし、ここまでステルスを造り込むゲームも滅多にない。

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眩しい!!

【息をするコスト】

第二の制約は呼吸にある。
メトロでは地上や地下のエリアは放射能に汚染されており、ガスマスクを着用しなければ死ぬ状況が多い
ポイントとなるのはガスマスクを使用するのにフィルターが必要な点であり、このフィルターによる制約は大変に上手な印象。
このガスマスクはフィルター交換で呼吸をする時間が伸ばせるため、長時間ガスマスクをして行動することになる地上戦はフィルターの所持数が大問題となるのだ。
フィルター交換が必要になるとアルチョムが苦しそうに息をし始め、その状態で放置すると死亡をする。
又、フィルターの交換時期は腕時計からも確認できる。
プレイヤーが直面する不安は、この大切なフィルターがどれだけ必要なのか、或いはどれだけ入手できるのかにある
私もプレイ中、このフィルター所持数に関しては常に不安があり、ギリギリで何とかなったのだが、恐らく多くのプレイヤーも私と同じ状況になったと思われる。
この独特の呼吸コストからくる焦りは開発によって計算されていると知った時、私はそのロジックに驚いた。
地上での行動は難易度的にも高く、慎重に移動をしないといけないのだが、それでは長時間分のフィルターが必要になり、場合によってはカンタンに詰む。
しかし、たっぷりとフィルターを用意すれば折角の緊張感も台無しになる。
説明をすると、ガスマスクのフィルターは自身の所持数で、これから入手できるフィルター量が調整される仕組みになっている。
例えば、そのエリアを通過するのに必要なフィルター数が2つだったとしよう。
しかし、プレイヤーは1個しか持っていない、よって何処かでフィルターが手に入るように調整が必ず入る。
NPCがくれるとか、なぜかフィルターが落ちていたりとラッキーが続くようになっているのだが、それは大量に用意されておらず、誰もがギリギリの残量になるのである。
補足をすると、実は調整されないフィルターが各所に存在しているため、所持個数に関わらずたっぷりと持ち運ぶことも可能なのだが、1周目で気づくのは難しい。
さらに地上行動はMAPが秀逸で、フィルター残量からくる焦りから強引では突破できないようなシーンが極めて多く存在する
慎重に、しかし急がせるようなシーン、だが冷静になって考えるとスタッフが見えないトコロで助けている配慮が有るのは優れている点だ。
メトロは難しいと過酷であることを別次元で考えている節があり、それは特にガスマスクに現れているように感じる。

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ガスマスク自体も壊れるが、そのたびに『都合よく』入手できることも多い

【アイテム探し】

フィルターに関しては大甘なメトロだが、弾薬に関しては非常にシビアである
入手できる弾薬量が圧倒的に少なく、しかも敵が硬いことも相まって非常に厳しい進行を余儀なくされる。
先にも述べたが暗いことでアイテムの発見率は低くなりがちなメトロでは、フィルターの事で面食らったプレイヤーが、
「ギリギリだからもう駄目だ!!」
と焦りながらも何となく進める状況に、誤解をしてしまう。
この何とかなりそうな論は、少なくても中盤以降の弾薬に関して言えば、全く存在しておらず、フォーラムでも本作屈指の問題点に挙げられている。
最悪なのが、弾は少ないのに各所で散財させるような戦闘シーンがあり、もう少し優しさを見せても良かったように感じる。
フィルターの時だけ『調整されたギリギリ』を見せておいて、弾薬だけシリアスなのは矛盾しているし、私としても後述するミサイル発射場での戦闘には疑問を感じた。
アイテム関連で考えられる項目としては、MAP探索にもある。
基本的には一本道なのだが、幾つかのシーンでルート選択を求められる
このルート選択は、ゴールまでの道順や難易度が大きく変わる印象で、それによる周回プレイの意義は結構あると感じた。
それに付随しているのが各ルートにおけるアイテム探索で、これをどこまで徹底するのかで雲泥の差が出る。
詳細に調べたわけではないので憶測になってしまうが、メトロに存在する全弾薬総数は『決して少なくない』かもしれない。
それは探索によって得られるチマチマした弾薬量が比較的に多く、徹底した捜索を敢行すれば弾薬は困らないとの声がフォーラムでも見受けられる。
実は私も結構な時間を探索に費やしたため、弾薬は困ったシーンと全く困らないシーンとの差が激しかった。
その内訳は、探索しやすいエリアと探索に困難が伴うエリアとで見事に関係が一致しており、私もそうなのではないかと感じている。
プレイ感覚が解った2周目で実験をしてみたが、確かにゴールまで一直線に向かうプレイをすると弾薬は全くと言っていいほど入手できず、体感的にもクリアが出来ないと強く思った。
さらに困るのは、この世界では弾薬を通貨としているため、独特なアイデアと難易度の兼ね合いが弾薬に重くのしかかっている
弾薬は高性能な戦前ミリタリー弾薬と戦後生産の汚れた弾薬の2種類があり、通貨としての価値が高いのはミリタリー弾薬である。
勿論だが弾薬なので戦闘に転用が可能なのだが、入手量の関係で買い物専用と割り切ったほうが賢い。
この通貨システムはシステムとしては面白いのだが、アイデア倒れな面がある。
せっかく貴重な弾薬を使用して新武器を調達しても、次のエリアで拾えてしまう物も多く、かと言って消費アイテム類は割高である。
買い物をしなかったとしても弾薬不足を招く大きな要因は、銃器の性能の低さにもあるだろう。
兎に角、アサルトライフルが低性能で、はっきり言って弾薬の無駄使い銃器と化している。
少々意地悪なデザインがあり、貴重な弾薬を大量に使用させるシーンが大抵に難所であり、そういう箇所に限ってケチれない難易度である。
つまり通常シーンでの弾薬節約術、或いは探索テクニックがとても大切なのだが、『これから訪れる難所』対策をする初見プレイヤーは少ないのである。
個人的には、メトロは懇切丁寧なゲームではないのでマイナスはしないが、このフイルター甘さと弾薬シビアの差に激しい嫌悪感を持つプレイヤーが存在するのも無理は無いだろう。

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ナイフ一本でのクリアは極めて難しいと思われる

【戦って死ね】
戦闘は人間とミュータントとの戦闘があるが、人間戦闘は良く出来ていると感じる。
光源関係におけるステルスプレイは十分に真価を発揮しているし、被弾が重く設定されているだけあり通常戦闘でも緊迫した空気感が味わえる
基本的には接近戦が多いのだが、これがまたよく出来ているのである。
体力は自動回復するが、この回復速度が異様に遅いことで、1つ1つのダメージが非常に怖い。
一応、回復アイテムもあるが、これがクセのある仕様で回復アイテムを使用してから徐々に回復をするタイプなため、アイテムによるゴリ押しは全く出来ないと思ったほうが良い。
またガスマスク着用時のダメージは、マスクが壊れてしまいフィルターダダ漏れになってしまうペナルティーも発生し、見た目的にも焦らせる。
近年の作品の中ではダントツにダメージを受けるデメリットは大きい
特徴的なのは、低性能な銃器であり、これにより嫌でも接近しないとならない。
緊張感というスケールで測るのなら、1つ1つの銃撃戦は質が高く、リアルシューター好きなら高評価を下せる。
一方、ミュータント戦闘は面白さが感じられない
対人戦闘はステルスと緊張感の両立がなされているのに、ミュータント戦はあまりステルス出来ず、強制化された戦闘は退屈である。
動きも固く、主人公に向かって一直線に突っ込んでくるアホAIと無駄に堅い体力が合わさりイライラさせられた。
後半戦で面白いと感じたミュータント戦闘もあったが、全体を眺めると7割が退屈なミュータントなのは勘弁して欲しい。
もっと動きに多様性を待たせるか、戦闘をする環境を丁寧に整えて欲しかった。

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ステルスは楽しい

【死世界とアルチョム】
原作と同様に、極めて優れた世界観を有した作品である。
核戦争後の世界を舞台にしたアポカリプスなのだが、人類がおかれた状況が酷く絶望的で、アルチョムの旅路には常に悲惨さが漂っていた。
各メトロが自立した国家のように成り立っているので、各文化色も強く、本当に旅をしている気持ちになれるのはスゴイことだ。
また、啀み合う人間の地下世界、死世界の地上を行き来する光景も、大変に心に残る。
オンボロ銃器やバラックは、生活感とともに種族としての終焉感が撒き散らされており、画的な成功は素晴らしさを感じる。
地上は地上で高難易度がさらに拍車をかけて絶望したシーンを見事に描き、慎重に旅をする楽しさも加わる。
この在り方は、小説とゲームとで多くの相違が見られる事が大きな要因と思われる。
例えば、小説版ではアルチョムは比較的にお喋りなキャラクター(ただしお調子者ではない)であったが、ゲーム版では無口である。
また小説版では地上に出るシーンや印象を語るイベントもあるが、ゲームではそういったイベントを体感させる事に注力をしており、よくある原作モノゲームとは異なった品質である。
よって原作では丁寧に説明されていた重要な事柄が、キレイに消滅しているのが問題となった。
あまりにも説明不足なゲームであり、多くのプレイヤーが素晴らしい世界観に『画』で理解をしてもソレ以上は分からないことが多い、というより大半は説明がされなかった。
気になったので私はゲームをクリアした後に、小説を読んだが、原作者の気持ちは痛いほど解る。
ネタバレ無しに説明するのは難しいが、要は体感を文字で説明をしてしまうと、あまりにも野暮な事柄が確実に発生する。
それもメトロに関しては体験主義に徹すると、どうしてもアルチョムの在り方を根底から変える必要性が有り、仮に原作準拠でゲーム化したとするならば失敗した可能性があるのだ。
それならば、プレイヤーにアルチョムの体験をしてもらう事で世界を旅する楽しさだけを伝えたほうが、よりメトロらしいと感じる。
説明不足なのは間違いなくマイナスだが、ここらの兼ね合いは難しい。
あまり言及すべきではない要素かもしれない。

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荒廃した空気が凄まじい体験を与える

【終わる人類主義】
これまで様々な要素を述べたが、本作の長所はグラフィックスと音からなる独特の空気感にある。
グラフィックスは独自の4A Engineであるが、これがまた美しい。
こればっかりは幾つかのSSで見てもらおう。

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廃墟に差し込む光、時代が違えば観光地になったかもしれない

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地下廃墟戦闘シーン

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終盤の某メトロ

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来いよ


概ね好感の持てるグラフィックスだが、処女作でこれだけの力があれば十分だろう。
音も気合が入っており、特に風が地下を這うような不気味な環境音は本当に素晴らしい。

【短所は…】
機能していないショップシステムや単調なクリーチャー戦闘は、まだ許そう。
しかし、後半のミサイル発射基地は難しすぎである
恐らく、詰まるとすれば間違いなくココであり、元より高難易度であるメトロの中でも頭1つ抜けて難しいシーンである。
凄まじい敵量に、恐ろしくアホな味方AIがどうしようもなくクソであり、テストプレイをしたのかどうかさえ疑わしい。
またこのミサイル発射場は探索しても弾薬が少なく、中盤までに節約していなかったプレイヤーは初めからやり直す以外に道がない。
それとオートショットガンがぶっ壊れて強力過ぎる。
使わなければ済む話だが、これもシビアなゲームにしたい趣旨とは大きくかけ離れている。
主にこの2点を大きくマイナスにするが、総じて高難易度なゲームであるため長所も短所も人を選びすぎている印象
この手のコアゲームの宿命だが、開始3分で肌に合わないと感じたら即刻、プレイをしないほうが賢明である。

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何考えているんだよ!?

【-2033年、モスクワ、地上、曇-】
大変に素晴らしい空気感と、幾つかの空回りしているアイデア、シビアな進行は死と隣合わせの体験を描ききり、やや説明不足な後半は、原作を読んでも解りづらい箇所があるので仕方がないか。
プレイはスムーズではないが、決して安い演出や白けるような場面はなかった。
むしろ先へ進みたい気持ちで一杯になる地上戦や魅力的なメトロ文化、荒廃した建物の多くはプラスマイナスで上手く評価が下せないだろう。
個人的にはこのようなゲームは好きだし、もっと増えても良いと感じる。
よって本作は、プレイするに値し、同時にコアゲーマーなら体験すべき地下世界だろう。

89点

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Overlord レビュー

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発売 2007年
プラットフォーム PS3(日本未発売),Xbox360,PC
開発 Triumph Studios

最初に言わせてもらうが、私はOverlordに高得点を与えるつもりは一切にない。
問題点が多く存在する本作は、いくらでもマイナス点を与えられる。
ゲームとして見ると劣悪さが際立つ作品なのだが、どうにも忘れられないような雰囲気も確かに存在している。
こういうゲームをレビューすること、つまり多くのレビューサイトが見捨てたタイトルを紹介するということは、『誰も求めていないレビューを公開する』というあまりにも非生産的すぎる行為だ。
私だって大人気FPSをレビューしたいと思う時もあるのだが、それは他の人に任せることにした。
人気サイトが"そういう人気タイトル"ばっかり扱えば、私の存在価値も少しは上がると感じている。
だからこそ、このOverlordは本ブログでも価値が有るのだ。
何処もレビューしていない、レビューする価値すら無いと思われたタイトルかもしれないが、よくぞ当ブログに来てくれたと感謝しているくらいだ。
もう一度言うが、私はゲームとしては低評価を与えるが、その存在価値に関しては点数以上のモノを感じている。
ありがとう魔王サマ、貴方を操作できたことは私のゲーム人生において誇りであります。

【概要】
オランダにあるゲーム会社"Triumph Studios"開発によるアクションゲーム。
この会社はゲーム開発における経験が少ない会社で、本作で4作目なのだが、それまで創っていたタイトルがAge of Wondersである。
このAge of WondersはPCゲーマーからは高い評価を受けているターン制ファンタジーストラテジーでありアクションゲームの開発は初と思われる。
私はAge of Wondersシリーズは未プレイなのだが、コアなファンにとってはTriumph Studiosという名はそれなりに知られている模様。
Overlord単体の他に追加DLC『Raising Hell』が存在するが、未導入でのレビュー。
この手の洋ゲーには珍しく日本語版が存在し、タイトルに副題がついての発売となっている。
日本語パッケージは『OVERLORD:魔王サマ復活ノ時』。
プレイしたのは海外版なので、日本語版に関しては詳細不明だが、ネットを見廻しても『そんなに悪いゲームではない』との評価が多いように思える。
続編『OverlordⅡ』が2009年に発売。
コチラは日本語版が無い。
続編に日本語版が無い理由は不明だが、噂によると前作が日本市場で売れなかったことが大きく影響したらしい。
またPC版と家庭用版での差異も特に無いようである。
ゲームクリアに掛かる時間は人によって大きく変わるタイプで、どの程度でクリアするかによっては30時間以上掛かる人もいるだろう。
私の場合だと、"ほどほどにプレイ"で約20時間掛かってクリアをした。
難易度設定は不可なのだが、一筋にクリアを目指すだけならカンタンなタイトルに属する。

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主人公は魔王サマ。でも悪人ではありません。

【ミニオン軍団の長】

一言で言うのであればピクミンのパクリである。
主人公である魔王サマは部下のミニオンに命令を出しながら、敵を倒していくデザイン。
ただし、ミニオンだけが戦闘できるのではなく魔王サマ自身も戦闘能力を持っている
ミニオンについて述べていくと、ゲーム序盤はブラウンしか操作することが出来ない。
しかし進行させて行くと個性豊かな3種のミニオンが仲間になってくれる。
全4種のミニオンはそれぞれ異なった能力も持っているため、それを生かした戦闘やパズルを解く楽しさはある。

ブラウン
全ミニオン中、最も高い体力があり、かつ数を揃えやすいタイプ。
正面からの攻撃を得意としているが、一体一体が弱いため数で勝負する運用が必要。
本作でもメインになる事が比較的多く、チーム全体でも7割がブラウンで固めないと厳しいシーンも多い。
攻撃力、防御力は装備依存だが、どの装備でも好き嫌いなく使用するため使い勝手は非常に良い。

レッド
遠距離攻撃が出来る唯一のミニオン。
全ミニオン中、最も体力が少なく接近戦は絶望的に出来ない。
また体力が少ないと言うよりは、異様に低いと言うレベルのモノなため運用に関しては難しい。
火耐性があるため、火消し要因として一定数が必要になるケースもあるので少数をチームに入れると何だかんだで楽になる。
本格的に運用する場合は、とにかくチームの後方での支援攻撃が基本となる。
意外に高い火力を保有しているため、10体以上がチーム内にいると真価を発揮できるケースが多い。

グリーン
背後からの攻撃が得意なミニオン。
体力はブラウンに次ぐのだが、ブラウンの約半分程度しかないため低体力ミニオンとなる。
グリーンが真価を発揮するのは、背面からのバックスタブであり、コレが決まると非常に強い。
そのため瞬間火力はチーム一なのだが、状況に左右されることも多く最も安定感のないミニオンである。
毒耐性を保有し、毒ガスを消し去る能力がある。
ダンジョンが毒ガスで進めない場合はグリーンが必須だが、通常戦闘では重要性が低く、数も揃えづらい。

ブルー
死んだミニオンを復活せさる能力を持つ特殊なミニオン。
水耐性持ちで、唯一泳ぐことが出来るため移動能力は高い。
体力火力は最低レベルだが、非常に強力な能力があるためチーム内に一定数は絶対に必要。
補充の難しいミニオンで、数を揃えるのは困難を極める。

Overlordでは敵を倒すと色のついたオーブを落とし、このオーブに対応したミニオンを1体補充することが可能。
例えば、黄色オーブ1つならブラウン、赤オーブならレッドという風に対応している。
ただしオーブには入手しやすさが設定されており、黄色オーブは直ぐに集まるのでブラウンには苦労しないのだが、水色オーブが入手しにくく結果としてブルーは貴重なユニットとなっている。
また面白い要素としては、ミニオンは好きな場所では召喚は出来ず、各種ミニオンに対応した召喚ゲートがないと召喚はできない。
どのミニオンも1体では弱いのだが、幾つかの種類を運用することで強力なチームを編成し、集団で戦うのが本作の基本となっていく。

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皆で戦わないとクリアは難しくなってしまう

【戦う最弱魔王軍】
プレイヤーキャラクターである魔王サマは初期状態では弱く、特に体力が少ない性能であるためミニオンを盾にして戦うスタイルで攻略していくことが多い。
ただし、ミニオンの命を引き換えにして魔王サマの武器と防具を強化することが可能。
強化するには鋳造釜が必要で、3種の鋳造釜がゲーム内に存在する。
上位のモノになればなるほど、より強力な装備を開発でき、最終的にはゲームバランスがぶっ壊れる
そのため魔王サマは全編を通じて弱いキャラクターではなく、本作の最強キャラクターとなっている。
ミニオンに下す命令コマンドは少なく、基本的には『突撃(攻撃)』か『戻ってこい(撤収)』、『待機』の3つしかない。
4種のミニオンは性格が異なっている設定のため、戦闘中に起こすアクションも固有のモノになっている。
面白いのはミニオンの性格付けであり、攻撃的なブラウンだと敵に向かって一直線に突撃をするが、体力の低いレッドはその場で攻撃をする。
戦闘自体は大味なのだが、中盤以降になると対策を練らないと被害が大きくなるシーンも多く、それなりに考えるアクションゲームと言える。
個人的には、やはり命令コマンドが少ないというのが気になる
特に、ミニオン個別に命令コマンドが与えられない仕様なので、複雑な地形に引っかかって戻ってこれない迷子ミニオンが多発するのに解決できないという問題がある。
一応、時間が経つと戻ってくる場合もあるが、即座に対応できないという点が非常に痛い。
命令をして操作するアクションも後半戦でも面白みはなく、雑な印象を受ける。

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命令コマンドの不足がゲーム全体に悪い影響を与えている

【パズル…?】
クリアするまでに多くのパズルシーンが存在するのだが、パズルのセンスが絶望的に無いのが本作の特徴である。
問題なのが、パズル総数は多いがパターンが少ない点にある。
一番多いパターンが、ミニオンで手回し歯車を回すタイプ。
これだけで相当の時間を割かねばならないし、バリエーションの乏しさが後半まで続くため精神的な苦痛の方が大きくなっていく。
中盤以降では、パズルに使用するパーツ集めが異様に面倒くさく、兎にも角にも作業感が非常に強いパズルである。
レッドは火消し、グリーンは毒消し、ブルーは泳ぎでのパズル解放は最初は面白いのだが、後半まで全く同じバリエーションしか存在しないというのはセンスが無いというより、明らかな手抜きを感じさせる。
また、全体から見てもパズル総数があまりにも多すぎである
少し進んでは似たようなパズルを解き、戦闘。そしてまたパズル…とコレがEDまでサイクルとして続くのには流石に怒らざるを得ない。
パズル総数が多いことと関係しているのが、パズルの副次的な難易度にもある。
特に後半のパズルは、テクニカルな操作ばかりを要求する類しか無く、頭を使わないパズルしか無いのである。
私は、このテクニカルなパズルがあまりにも苦痛であり、何度も中断をした。
センス、質、量とも酷い出来であり、開発者が何をしたいのか意図さえ掴めないシーンも見受けられる。

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運ぶ系も多いが、全く面白みがない

【悪ですが善人でもあります】
幾つかの場面で、プレイヤーに判断を委ねることがある。
困っている人(又は種族)と助けると善人値が上昇し、それに準じた成長となる。
これは意外に面白い試みで、ステータス以外にも助けたキャラクターが何かしらの形で魔王サマ一行を助けてくれるシーンがある。
例えば、食料の奪還を人間に依頼されたとしよう。
食料を見事に奪還した魔王サマではあったが、そこで本当に返すのかという選択を強いられるのである。
キチンと食料を人間に返してあげれば村からの援助や助力もあるのだが、魔王軍は食料を失うことになる。
返さないという選択をするのであれば、悪人値があがり、それに準じた成長になるし、食料も自分達のモノになって裕福になっていくメリットもある。
しかし、人間達からは嫌われてしまい、村に入ったら罵声を浴びせられる事にもなるのだ。
ステータスが善人か悪人かでは覚えられるスキルに影響があるため、何方か一方しか取得できない。
この悪人か善人になるのか、というプレイヤーに魔王サマの性格を決めさせるかのようなシステムは中々に楽しく、特に人間達の反応が露骨に変わるのは笑える。
また少しネタバレになってしまうが、ゲーム中に結婚するイベントがあるのだが、コレも非常に笑える。
というのは浮気が可能なため、浮気するのかしないのかでもステータスが変わるからだ。
少し考えて欲しかったのは、悪人プレイでのバランス。
クリアを目指すとなると悪人プレイの方が圧倒的に楽な印象で、もう少し善人プレイでの恩恵を大きくしても良かったと思う。
特に魔王サマは、初期では凶悪な悪人というイメージが全く無いため、気を使って欲しかった部分はある。

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実は人格者な魔王サマ。あまり魔王に向いていないような…

【魔王城は金欠気味ですので…】

宝箱や村を荒らしたり等をすると金が手に入ることが有り、これで魔王城の修繕が出来る。
このゲームは独特の雰囲気が上手く働いていることも有り、魔王城の変化はアイデア的には面白い。
城の変化は外部と内部で可能で、最初は寂れていた廃城が、金の力で豪華になっていく様子は気分が良い
城自体には武器防具の製造所、闘技場、ミニオン保管庫の3施設が整っており、オーブを稼いだり出来るのも便利だ。
特に闘技場は効率よくオーブ収集できる数少なき場所。
とても重宝するのだが、逆に言えば闘技場でないとオーブの収集は面倒すぎるのである。
それと金の使い道が無さ過ぎる
極論すると金の使い道は魔王城の修繕くらいにしか無い。
魔王サマというキャラクターは、全編を通じて苦労人キャラクターであるため、もっと貧乏であった方がしっくりくるのだが、金持ちになったら使い道がないというのは…
仮に魔王城に対して投資できるシステムが他にも有り、投資金額によって還元される仕組みがあったのなら面白くなったと感じる。
このゲームは大筋でも気が利かない箇所が多いが、こういう小さな面でも損をしている事が大変に多い。

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金持ち?な魔王サマ(ただし嫁は怖い)

【魔王サマと美しすぎる世界】
本作の特色ある世界観には終始驚かせれた。
世界征服を目指す魔王サマ一行ではあるが、行く先々で歓迎されてしまったりする様子は可笑しさ一杯だ。
序盤からブラックジョークに溢れた空気感も癒されるし、ミニオン達の会話も笑える。
何より可笑しいのが魔王サマが一言も喋らないキャラクターなのに対し、部下たちがお喋りな点だ
また英雄によって世界が悪い方向に向かっているというテーマも素晴らしい。
これまでの古典ファンタジーだと、魔王は悪いキャラクターであり、それを英雄が倒すというのが通例である。
しかし、Overlordでは深いテーマを扱うように見せかけて、内容はジョークで笑い飛ばすという良質な演劇のようなストーリー展開がある。
さらに最高なのがミニオン達の仕草が、あまりにも可愛らしい事だ
先にも述べたが魔王サマは一切喋らないのに、ミニオン達が元気いっぱいにアクションしたり、ドジを踏んだりしている光景はとても『世界征服を企む悪い集団』には見えない。
魔王サマは必死に悪いことをしようとしているのだが、結果的に世直ししてしまっているのである。
勿論、悪人値が大きくてもである。
魔王サマと敵対する英雄たちもキャラクターとしては頗る濃くて印象的な奴らだ。
本当にロクでも無い英雄しかいないために、正義とは悪とは何なのか解らなくなってしまうテーマを、賑やかな空気で上手く包んだ功績は大きい。
私が一番に驚いたのはストーリ展開である。
当初は、『魔王サマとドジな部下たちが力を合わせて世界征服、もとい世直ししていく痛快なお話』で終わるものと思っていたが、終盤で大ドンデン返しがある
脈拍も無しに、突然シリアスなストーリーに投入していくのは、良い意味で裏切られたし、こういうストーリーであるがゆえに世界観に関しては高い評価を与えられる。
世界を平和にしたい救世主しかいない昨今、この魔王サマは色々と進んでいる。

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世直し、ではなく世界征服のために戦え!!

【最大の欠点】
3人称視点のゲームでも上位にランクされるほど、操作性が劣悪である
この操作性はキーボードでのプレイか、Xbox360コントローラーでも変わるが何方にせよクソである。
私はキーボードでのプレイでクリアしたのだが、この形態だと一部のパズルシーンで変に難易度が上がる。
そもそも変にテクニカルな操作を要求するクセに、操作性が全て悪いというのは問題がありすぎる。
アクション、命令コマンドに関しても反応しているのかしていないのか分からない事が多々ある。
そこで途中からXbox360コントローラーを使用したのだが、今度は視点変更がクソすぎてプレイする以前の問題になった。
信じられないのが魔王サマ操作をしているはずが、ミニオン操作に勝手に切り替わるトラブルがあると、苦痛過ぎるパズルと組み合わさって病気になるんじゃないかと思うくらいに苛ついた
追い打ちを掛けるのが、オーブ集めが作業すぎてしまい、ゲーム進行をするのに作業が大前提というゲームバランス。
クリアするだけならカンタンなのだが、それはオーブ集めという作業時間あってこそのモノなのだ。
このゲームバランスに比べれば、MAPがクソすぎて迷子誘発ゲームだとか、ノーヒントなのにも関わらずキーアイテムの場所が無駄に難易度が高かったりする等、欠点にすら入らない。
ある意味で恐ろしいのが、詰まったプレイヤーに対する救済措置が無い点にある。
私が強く感じたのは、こういった欠点が『スタッフだけが楽しめるようなデザイン』になっているのである。
考えれば、不親切な欠点の数々はプレイヤーが先に起こる事を何1つとして知らないのに対し、開発スタッフは全部知っている事柄から始まっている。

変な箇所に超重要アイテム→でも開発した僕達なら知っているから迷わないよ
無駄に時間が掛かるゲームバランス→でも開発した僕達なら攻略法を知ってるもん
MAPが変に複雑→知ってるもん

だから、ここまでノーヒントにしたとしか思えないのである。
むしろ、開発者の僕達がクリアできるからプレイヤーも出来るよね?という考えがあるからこその欠点しかない。
我々は、このゲームに関しては初心者なんだぞ?
もう少しゲーム市場というモノを学んだほうが良い会社である。

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次に何処に進むべきかのヒントすら無い。これは通常のゲームでは考えられないデザインである。

【グラフィックスと音楽】

グラフィックスは評価しにくい部分があるのだが、そこまで非道いゲームではない。
少なくとも発売した年を考えても、十分な質であろう。
評価すべきはフィルムノワールな画であり、世界観やストーリーとも調和がとれている。
やや光源関係が変な箇所もあったが、それは少し厳しすぎる指摘なので特にマイナス面はない。
音、特に声優は中々に憂愁であり、色のあるキャラクター造形ともマッチしている。
BGMはもう少しバリエーションが欲しい所だが、逆に適当さ溢れる音楽は魔王軍らしいというか…
皮肉過ぎる例えかも知れないが。

【まとめ】

無駄に時間の掛かるデザイン、意味不明な操作性、センスのないパズル、やる気が感じられぬ創意。
しかし、私が怒っているのは、あまりにユーザーを無視したデザインにある。
開発スタッフが身内でプレイする分には楽しいかもしないが、これは商品である。
不特定多数のゲーマーが遊ぶタイトルにも関わらず、一切の配慮をしない、考えない。
そしてプレイヤーはある地点で気づいてしまう。
「このゲームはプレイヤーに快適に進んで欲しいとは願っていない。だから進めなくなったら他のダンジョンに行こう。全くヒントもないけど、それが正解だ」
結果、本当に何も脈拍のない場所で、突然に解法が登場する。
これで怒らないゲーマーがいたとするのなら、ソイツはTriumph Studiosの人間だ。
一方で、素晴らしいキャラクターや世界観も存在していることも事実だ。

惜しむべきはOverlordという作品をゲームで表現してしまった事。
絵本やアニメでなら輝けたかもしれないだけに、残念な素材だ。



とは言え、私はOverlordは決してクソゲーだとは思わない。
「これだけ悪評しといて何を言っているんだ」
と思う方もいるかもしれないが、不思議に最後の最後で『悪く言いたくない作品』なのがOverlordである。
それはきっと、このゲームに出てくる心優しき魔王サマが必死になって世界征服する事に共感を覚えたからに他ならない。
それほど、魔王サマは素晴らしい征服者であったし…いや、失礼。
魔王サマは英雄を無残に殺した悪い悪い悪い、最悪の征服者なのだ!!

40点

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XCOM: Enemy Unknown レビュー

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発売 2012年
プラットフォーム PS3,Xbox360,PC
開発 Firaxis Games

                   求めすぎているプレイヤースキル
                         -TrackMania-


                       全力で殺してやるよ
                      -Serious Sam 3: BFE-


                     信じないということを信じろ
                        -King's Field4-


                        対策できない
                       -怒首領蜂大往生-


                      もはや死因すら解らない
                     -RAIDEN FIGHTERS JET-


                      お前が指輪を拾ってこい
                          -超魔界村-


                   考えうる最悪の状況
        -XCOM: Enemy Unknown-


【概要】

プレイヤーは地球侵略に来た宇宙人を撃退する組織Xcomの司令官となり、組織運営や戦闘をこなして勝利を目指すターンベース・シミュレーションゲーム。
1994年に発売されたオリジナルのリメイクであるが、本作を担当したリードデザイナーのJake Solomonによると、往年のファンと新規のプレイヤーも同時に楽しめるようにデザインしたとのこと。
オリジナルの出来が非常に高かったこともあり、発売前の期待度はメディア、ファン共に注目をしていた。
発売後の評価も高く、特にゲーム評価が厳しいとされている1UP.com評価はAを始め、各ゲームメディアが軒並みに高評価を連発した。
またMetascoreも89を獲得したため、2012年を代表するタイトルとして名高い。
ついにはVideo Games Awards2012においてBest PC Gameに選ばれたため海外での知名度は高い。
一方で日本国では話題にならず、盛り上がらなかった印象。
DLC『Slingshot Content Pack』未導入、マルチも実装しているが未プレイでのレビューとなります。

【司令官】
Xcomの司令官となったプレイヤーは数多くのトラブルを解決しなければクリアすることが出来ない。
大まかなゲームの流れとしては、まず世界各国から指令が来る。
この時、指令が複数の国家(最大3カ国)から来る場合があるが、プレイヤーはその指令の中から1つしか選ぶことができない。
指令を受諾するとターンベースによる戦闘パートが行われ、失敗/成功に関わらず組織運営パートに移行する。
この一連のサイクルをクリアまでこなしていくのだが、各国にはパニックゲージが設定されており、ゲージが一定値を超えてしまう、もしくは該当ミッション失敗で当該国がXcomプロジェクトから脱退。
これが7カ国になるとゲームオーバー。
近年発売されたタイトル中でも、指折りのマゾゲーとして知られ、決して楽をできるようなシーンはない。
難易度に関しては個別に述べるが、非常にシリアスなゲームデザインといえる。

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絶対に油断はできない

【ターンベース】

戦闘パートは全てターンベースで行われ、プレイヤーは4人~6人のチームを指揮することになる。
まずはユニットが1ターンで行動できるアクションを覽ていこう。

①ダッシュ
…該当ユニットを遠くまで移動させるアクション。
ユニットが移動できる範囲は色分けされており、青で表示されている範囲外まで移動させると自動的にダッシュとみなされ該当ユニットの1ターンは終了する。実は非常に危険なアクションの1つで、この1アクションからチームが全滅することも珍しくない。

②移動+1アクション…最も基本的な1ターン行動。
該当ユニットが移動範囲(青)内で移動し、移動先でアクションを1つ行い1ターンを終える。
アクションコマンドの総数が多いために全てを書くことは出来ないが、最も多く使用すると思われるシーンは『攻撃コマンドを移送先で使用する』こと。
つまり、短い距離を移動し、敵を攻撃すれば該当ユニットの1ターンは終了する。

③1アクション…その場でアクションを実行すると該当ユニットの1ターンは終了する。
②に比べると見劣りするかもしれないが、実はこのアクションを行うタイミングを考えるのが本作の楽しみの1つ。
この③でしか行うことの出来ない特殊アクションが総じて強力で、また本作の難易度から考えても積極的に使用することが求められる。

④終了…何もせずに強制的に該当ユニットのターンを終わらせる行為。
沢山の使い道があるのだが、分かりやすい例としては『待ち』や『先手を取る』ために使用する。
一部のアクションはクールダウンが設定されているため、単純にターン稼ぎのためにも利用することがある。

戦闘は自軍ユニット/敵ユニットが全て行動し終えると、相手ターンへと移行する。
ただし例外があり、敵が発見されていない場合は無限に自軍ターンを行使することが出来る。
戦闘の流れとしては、接敵を繰り返しながらMAP探索をし、敵を発見し尚且つ攻撃可能範囲内であれば攻撃コマンドを実行できる。
攻撃コマンドもユニット特性や状況により複数コマンドが選択肢にあるが、攻撃が当たるかどうかはパーセンテージで攻撃前に表示される
命中率や威力も状況によって変わるために一概には言えないが、このパーセント表示はあまりアテにならない印象
命中率に関しては解析がされてないために私は大きく言えないのだが、武器によるプラスマイナス値が大きいような気がする。
武器タイプは少なく、ピストル、ライフル、ショットガン、ガトリング、ロケットランチャー、スナイパーライフルの6つしかない。
ユニットには扱える武器がクラスによって決まっているため、例えばスナイパークラスがロケットランチャーを撃つことは不可能。

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1ターンを大切に考えよう

【深い戦略性】
MAP依存による高い戦略性が素晴らしいゲームだ
戦闘が行われるMAPは起伏に富んでおり、ユニットが身を隠せる障害物も多い。
ユニットが隠れる障害物は敵からの攻撃危険度によって色分けされる
障害物の色が青が一番安全で、基本的には青い安全度であれば攻撃は絶対に当たらない。
ただし、この安全度に関わらない特殊攻撃が幾つもあるため過信はできない。
安全度は青→黄色→赤野順に危険になっていく。
例えば上のSSでは自軍3ユニットの安全性は黄色、敵2ユニットは赤なので、単純に考えればコチラが有利といえる。
この安全な場所は敵からの角度によって変わるために、その時々を考えるのが重要だ。
高度という概念も面白い要素だ
敵と撃ちあった時に、高所から射撃したほうが有利なようにデザインがされている。
またユニットスキルによっては高所からの攻撃に大きなボーナスが入るため、重要な戦略の1つだ。
本作の最大の魅力が、この2つが上手にミックスされているデザインにある
MAPがとにかく憂愁な出来で、1ターンで何が最善手なのかを考えるプレイは中毒性が高く、この部分を高く評価するユーザーが多い。
いかに有利な位置取りができたとしてもXCOMは安心できない。
『例外的な攻撃』が凄まじいために、常に敵の例外手を考えねば全滅してしまう。
そのため1プレイにおける重要な判断を下す回数は多く、慎重さが求められる楽しさは格別だ。
また敵ユニットもよく動くのも非常に良い。
積極的に回り込み行動をしてくるし、例外手も惜しまずに使ってくる。
1プレイで高確率に遭遇する不測の事態に、いかに対応するのか。
なんという素晴らしき体験なのだろうか。

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位置取り+高低差が楽しさの底上げをしている

【ユニット】
自軍ユニットは基本的には4タイプに分けることが出来るのだが、正確に記述するのならロボット2種類を含めるために6タイプだ。
ただしロボットユニットは使うプレイヤーも少ないようで、私自身も例外的すぎるユニットと感じた。
ユニットは敵を倒したり、戦闘に勝利すると経験値が得られ階級が上がる。
それぞれのクラスには固有スキルが設定されており、階級が上がるごとに1つだけ入手することが可能。
スキルに関しては悩める印象で、安易な決定は危険なように感じた。
初期ユニットは弱いが、大佐クラスになれば強力なユニットに成長するために隊員の命は大切にしていきたい。

アサルト
…このゲームの攻撃の主軸を担当する重要なユニットがアサルトだ。
単純に考えると、このユニットが持つ総火力は4クラス中最大で、移動も強力なスキルが揃っているため偵察行動も得意。
ゲームの展開を大きく左右するユニットなために、戦闘序盤で死亡すると一気に辛い展開になる。

サポート…育て方によって役割が大きく変わる。
衛生兵タイプに育てると、回復薬を強力にするスキルと死亡した味方を条件付きだが復活させることが可能。
援護タイプはリアクションショットを強化するため後方支援タイプになる。
攻めより守りに特化したユニットといえるだろう。

ヘビー…大きなガトリングガンが特徴的なヘビーはチームで唯一の銃火器使用ができるユニットだ。
ロケットランチャーによる障害物を無視した攻撃が強力だが、スキル自体も特殊なモノが多い。
特に対ロボットスキルを持つため、後半戦におけるヘビーの価値は高い。
そのため特殊タイプの敵や強敵相手に特化したユニットだ。

スナイパー…チーム内で最大の有効射程を誇るスナイパー無しでは戦略は組めないといっていいだろう。
火力も高く、後方からの支援射撃は頼りになるのだが、移動は最低クラスのユニット。
また接近戦が壊滅的に出来ないために、他クラスより位置取りが重要。

戦闘バランスが特徴的なゲームで、戦闘が長引くと不利になっていく。
これは倒すべき敵ユニットの数が多く、また敵火力が非常に高く設定されている事が大きい。
例え大佐クラスまで育てたとしても、1ミスで死ぬことは日常茶飯事である。
仮にセーブ&ロードを禁止すると、新兵から大佐まで育てるのが難しく、育てても些細な不注意から死亡するという絶望が待っている。
1ミッション失敗くらいでは大したことはなにのだが、1ミスから起こる負の連鎖がトンデモナイレベルのゲームで、詰みを防止するような仕組みは存在していない。

ここまで慎重に読まれた方はこう考えるかもしれない。
「仮に戦闘中にユニットが死んでも衛生兵がいれば蘇生できるから問題無いだろう。」
甘い、甘すぎて開幕3ターンで全滅するような考えだ
Firaxis Gamesはそういった考えをプレイヤーがすると踏んで、安易に蘇生できるようなシーンに辿りつけないようなレベルに意図的にしている。
現に海外フォーラムでも、サポートユニットを入れることでチームの総火力が格段に落ちるために、最も必要のないユニットと結論付けている程だ。

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チーム編成は悩める問題だ

【組織運営】
ゲーム内時間を進めることで次のミッションを発生させたりすることができる。
ゲーム内時間で1ヶ月毎に評議会から資金提供がされ、この資金を元手に組織運営していく。
得られる資金は、Xcomプロジェクトに参加している国が多いほど多くの金がもらえる。
また地域ボーナスが設定されているため、1カ国でも抜けると途端に資金が枯渇する。
元々資金に関してはシビアなバランスではある。
組織運営は『建設』と『運用』の2つに分けることが出来る。
まず建設だが、これは組織に必要な施設を建設する作業だ。
建設は地下を掘っていくことで建設場所を拡大していくことが可能だが、施設が増えればそれだけで莫大な建設費が掛かるし、なにより毎月の施設管理費がプレイヤーを苦しめる。
全体としては簡素なデザインで、簡略化されているが自由度は確保されているので悪くない。
仮に施設建設で費用を枯渇させてしまうと、もろにターンベース部分に響くため悪循環に陥る。
そのため失敗は危険だ。
運営は其れ等を管理したり、活用したりすることでプレイを有利にしていく作業だ。
例えば、建設が慣用した人工衛星リンクがないと人工衛星を生産工場で作っても配備できない。
また研究移設では捕獲した宇宙人を尋問することで、何か兵器に変化を与えられることが出来るかもしれない。
生産工場では新武器を生産したり、強力な防具、その他の多くのアイテムを生産できる。
このゲームは生産であれ、研究であれ、簡略化されているとはいえ優著にしていられない。
中盤から厄介な敵ユニットが登場していくのに対して、此方側も新兵器を投入しなければならず、ある程度順調な組織が保たれていないとお先真っ暗だ
またどのように組織運営していくかのアドバイスが一切にないため、単純に考えてもマゾゲーである。
普通、ここまでプレイヤーを苦しめるようなデザインを採用している場合だと、何かしらの救済措置が用意されているモノなのだが、そういった期待は捨てたほうがいい。
しかも本作は序盤から全力で殺しにかかってくるため、簡略化されているとはいえ油断が1ミスに繋がり、恐怖の連鎖が始まる。
この貧乏組織を遣り繰りしながらも、少しずつ強化されていくプレイがとても楽しく、成功すればキチンと還元されるのも嬉しい。

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寂しいお財布と相談する組織運営ゲーム

【凶悪すぎる難易度】
戦闘で全滅→次の戦闘も全滅する可能性が高い
資金がなくなる→戦闘に必要な武器が配備できない
研究してない→中盤以降クリア出来ません
人工衛星って何?→お帰り下さい

兎にも角にも負の連鎖が凄まじすぎる
死にゲーなため完璧主義者でない限りは必ず、負の連鎖からの脱却を求められる。
そのため、序盤から終盤まで辛いシーンが多く、難易度ノーマルでも近年発売されたタイトルの中でも屈指といえる高難易度。
特に終盤から登場する敵ロボットが異常すぎるため、あっさりと全滅するプレイヤーが多い。
私もこの敵の強さに最初は絶望したのだが、この敵がボスではなく通常の敵キャラクター扱いなことに気づき、さらに絶望した
さらに厄介なのがマインドコントロール能力持ちの宇宙人で、私はこの敵があまりにも強すぎるためにボスだと思ったのだが(以下略)
そのためチーム全体で1体の敵ユニットに対して総火力をもって、敵に1ターンも渡さない覚悟で挑むシーンが多くなる。
言うのは簡単なのだが、実際意識したとしても行うのには障害があるため、さらに高難易度化に拍車をかけている。
それと相互関係にあるのが、味方ユニットを失うことのデメリットが大きすぎること
頑張って新兵を育て上げたとしても、後半のレベルは育っていることが前提の敵レベルなので、決して楽にはならないばかりか全滅した後が絶望しか無い
後半になって新兵を育てることは可能だが、これがどんなに辛い戦闘になるのかはプレイヤーにしか理解できない体験だ。
「これは特殊な状況か、私がゲームが下手だから、そういう状況になったんだろう?」
そう思った人は、このゲームのフォーラムを覗いてみるといいだろう。
海外では、ノーマルを楽勝でクリアできるプレイヤーでも、クラシックにするとクリアが出来なくなる人が多数いる。
そのため難易度調整が難しい方向で作用していることも有り、運ゲーとまで言われるほどだ。
私も正直、クラシック・アイアンマンはクリアできる気がしない。
むしろクリアできる方は攻略を教えてほしい。

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笑えるほど強い敵

【バグ】

ゲーム進行を妨げる重大なバグが多い。
まずバグは大きく分けて2種類あり、視点関係のバグかフリーズによってプレイが妨げられる
視点関係で一番多いのが天井視点のバグで、天井によってユニットが見えなくなってしまう。
解決方法はあるため、進行にはさほど影響しないが、ゲームテンポが非常に良いゲームなのに視点変更をいちいち変える作業は気分が悪い。
また敵を倒した時の演出が変になることが有り、これもバグの発生率としては高い。
突然視点変更自体が出来なくなることもあれば、ユニットのモーションが変になることもあり、全体的に視点関係のバグは非常に多く、かつ発生しやすい。
2つめの大きなバグはフリーズで、これが最悪レベルのバグといえる
特定条件がそろうとリアクションショットでフリーズするし、敵ターン中に突然フリーズする。
自軍ターン中のフリーズは知識があれば回避できるが、敵ターン中はオプション画面が開けないクソ仕様なため強制終了しか解決策がない。
なぜ、こんなにもバグが多いのか理解できない。

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クソ視点なう

【UI議論】

UI自体はシンプルに纏まってはいるのだが、PCゲーム用にデザインされていないため使いづらい。
一応、キーバインドをすれば改善されるのだが、それでも限界があるのでもう少し意識して欲しい項目だった。
ただ、カジュアルなUIにした開発の意図は非常によく分かる。
操作に迷わないようにする工夫があるため、難易度との兼ね合いは上手く機能している印象。
ココら辺は、プレイヤーによる所が大きいかもしれない。
もう1つはプレイヤーを救済しなさすぎる点。
難易度の項目でさんざん述べたが、ちょっとアドバイスしてくれても良かったように感じる。
時に人工衛星に関しての知識があるかどうかで、ゲームの進行が大幅に変わるゲームなため説明をするべきだったと強く感じる。
この人工衛星の配備が厄介で、重要性に気づいたとしても配備するのに条件があり、かつ配備するのにも時間が掛る。
この事を知っていないと、非常に辛いのだが一切教えてくれない。
開発スタッフの主張が解りやすいゲームで、
「何も知らないのなら死んで当然ですよ」
と言わんばかりのデザインだ。
研究にしても、今行なっていることが将来的に何の役に立つのか不明だし、判明するのにも時間が掛るため試行が必要だ。
ただし試行のしすぎで重要な研究を後のばしにする可能性があり、初回プレイで運が無いとカンタンに詰む。
勿論、このデザインが全て悪いわけではない。
発見する楽しみが即クリアへの道のりに繋がるとも言えるため、この説明しないデザインに関しても意見が別れると思われる。
個人的には、プラスにとるが人を選びすぎているゲームなのも事実だ。

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逆に考えれば知っていることで楽になる

【グラフィックスとBGM】
アンリアルエンジンなため、やはりアンリアル特有のバグ問題はあるが、純粋なグラフィックスは良好だろう。
眼を見張るべきは、豊かな敵キャラクター造形で、溢れるB級エイリアン・センスが堪らない。
安っぽいとも捉えることもできるが、不思議とゲーム内容とマッチしているため悪い気もしない。
ストーリーは弱く、引き込まれるものがないが、ストーリー・演出重視ではないのでマイナスにすべきではないだろう。
音楽関係はマイナスだ。
耳に残るような音楽は無く、B級センスに合うようなBGMがあれば素晴らしかったのだが…
そこまでは悪いBGMも無いが、良い曲が無いというのは勿体無い。
個人的には大きな不満はないので、余程のグラフィック信者でなければ満足できるだろう。

【まとめ】
海外で高く評価されただけあり、1つのパッケージとしての完成度は非常に高い。
足を引っ張るのはバグ問題だが、中毒性は高く、差し引いてもオツリがくるほどだ。
確かに万人向けの難易度ではないが、ゲーム全体に流れる空気は心地よく、緊張しながらのプレイは血を焼くには十分すぎる体験だ。
苦しい戦いの連続、絶望するような状況、ありえないほどの不運、完璧だったはずのプランなのに…
そうして得た知識はどんなに小さくとも、嬉しいものなのだ。
その発見は必ず意味がある。
そこまで考えられるのなら、貴方は絶対にクリアできる。
祈るだけではクリアは遠いが、考えながらも信じ続けれたプレイヤーなら話は別だ。

Xcomはそういった人達のための1つの解なのである

96点

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ばりー

Author:ばりー
PCゲームとビールを愛するおっさん
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