雑記

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紅莉栖「最も優秀なヒロイン」
アイギス「最も優秀なロボット」
Wheatley「最も個性的で天才なAI」


近所に非常に美味しい珈琲を提供してくれる喫茶店がある。コンビニで淹れたて珈琲が100円のご時世、一杯800円もするのだが、これが瞳孔が開いてしまうくらいに美味しいのだ。軽い酸味と強烈な苦さ、異様な濃味ながらもバランスが良い。オーナーは客の無駄話に付き合うほど愛想は良くはないし、店員もなんだか気が利かない。だが、それでも飲む価値があるのは、ココでしか『コノ味が』飲めないと確信が持てるから。ある時、オーナーに「美味しい珈琲の淹れ方を教えて欲しいなぁ」と言ったところ、即座に断られてしまった。謎の間が2人を包み込んだ後に、オーナーは理由を語った。
「当店では特別な淹れ方で提供しております。そのために色々と考えてきたつもりです。その秘密を全てお教えしてしまったら、きっと貴方は我々を廃業に追い込むでしょう(笑)」
普段、冗談を言わない人だと思っていたので、この発言は意外だった。思えば、この店はオーナーや店員をはじめ、客ですら個性的な方が多い。この普通ではない平和は実に心地が良い、だから貴方方を廃業に追い込むなんてとんでもない。
ただ、時々、乗っ取りたいなぁ、とは思うけれどね。



独創性のある人間が組織にいる場合、優れた製品やサービスが提供されることがある。今年だとリコーイメージング株式会社がそれに該当をするだろう。この会社は光学機器を販売しているが、その中にデジタルカメラがある。しかし、カメラと言いますと、キャノンが国内では最大手。2番手にニコン、それ以降は知らなくて良いレベル。昔からキャノン、ニコンは優秀な、どちらかと言えば優等生カメラやプロ用カメラを製造・販売してきた実績があり、他のメーカーよりも安心できる。(実のところ、私はニコンが大好き)ではペンタックスと聞いてイメージする単語は?地味、何そのマイナーメーカー、そもそも知らない。しかし、独創的な製品を作らせたら、キャノンやニコンを超える。PENTAX 645Zは販売価格80万を超える高額な玩具だが、手にとって見ると驚くほど素晴らしいギミックが満載だ。80万円が安く思えてしまうくらいに、凄い描写能力だ。コレに限らず、ペンタックスは考え方が面白い。利益を上げるための言い訳として独創性を用いているのではなく、優れた品質の上に独創性を築き上げ、そこから利益を上げようとしている。どうも宣伝が下手な会社のため、マイナー色が強いが、頑張って欲しいと思える会社だ。



当時、その飛びぬけた独創性は宇宙船のように思えた。ポケットの中に数千、数万の音楽を持ち運ぼう!!キャッチーな見出しを忘れてしまうくらいに、皆がiPod classicを買い求めたのだ。Appleは音楽の在り方をアナログからデジタル世界へと変換しつくし、まるで恐竜のような一時代を築いた。まるでエンターテイメントを乗せたエンタープライズ号、これを保有していることが時代の最先端であったし、女の子からキャーキャー言われる事も可能だった。特徴的なターンテーブル操作も未来的だったが、音楽をデジタル管理する概念も、最初から完成をしていて、これ以上に改良の余地が見つからなかった製品だ。第六世代は160Gもの容量があり、純粋なPDAとしても珍しい大容量。ヘビーユーザーなら必須と思われる製品であったが、今年でiPod classicの生産が終了した。次の時代に求められたのは、クラウドサービス、古ぼけた中古の宇宙船はお呼びじゃない。



今、我々はクラウドに移行する過渡期にいる。電話やOS、アプリケーション…何もかもがインターネット上で保管され管理される。先のカメラだって何時かは、『撮影されたデータをカメラ本体に保存せずに、クラウドサービスを利用して別の何処かに、誰かの手で保存管理される』のである。これはSF世界の話ではなく、現実に進化している技術であり、この様子を見ている限り、今後5年以内で日常生活に欠かせないものとなるだろう。だから次の宇宙船に乗る人は幸福だ。自分自身で煩雑な管理をしなくても済むから、作業が効率的になる。そして何よりユーザーに管理権が無い、つまり手出しが一切に出来ないということは企業にとっても安心な要素(或いは都合の良い)になるだろう。私は新しいモノが大好きなのでクラウドも好きになるだろう。ただ今回は珈琲を飲む無駄な時間のせいで、宇宙船に乗り遅れてしまうかも。まぁ、たいしたことじゃない。いずれは私も時代に飲み込まれるのだから。



今年も当ブログを読んで頂き感謝いたします。当ブログは批判的な言い回しやブラックユーモアが多いと思いますが、日常的に多くの方が閲覧してくれることが、記事掲載の励みになりました。来年もビールやPCゲームの記事を中心に、『たまに』雑記を掲載する今まで通りのスタイルになると思います。では、また来年も宜しくお願いします。

Insurgency ショートレビュー

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この作品の前作、無料Modであった『Insurgency: Modern Infantry Combat』をボロクソに叩いた事があった。実際、MAPがあまりにも練られておらず、プレイしていてもギクシャク感があった。この開発New World Interactiveはセンスが無いと判断しての記事内容であったが、どうやら私は彼らの実力を見誤ったらしい。 この作品に関しては、確かに荒さが目立つ部分も多い。弾薬はあまりにも持てない仕様だし、拾った銃器は1マガジン以下しか装填されていない、敵AIが全員スナイパーレベルの射撃をしてきて、謎過ぎる敵のリスポーン…でも悪くない。近代リアル系FPSとして考えれば、軍事シュミレーターっぽさが一切ないアクション寄りなデザイン。ある意味、どこぞのWW2歩兵戦死シュミレーターに通じる部分もある…いや、ないな。

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対戦プレイよりもCoopとして熱いゲームに生まれ変わった。難易度は非常に高く、各人がしっかりと役割を完遂しないと、すぐに全滅してしまうようなバランスなので、一瞬も気が抜けない。仮に死んでしまったとしても、1人でもプレイヤーが生き残ってチェックポイントを取れば全員復活するので、待ち時間が長すぎてイライラすることもない。先にも列挙したが、荒さが目立つために、文句は1プレイごとに増えていくが、協力する楽しさを完璧に確立しているデザインで、本質的には素晴らしいと言える。このプレイでも建物に迫ってくる大量の敵を2階から攻撃している。一階では何人かの味方が戦っているため、我々が敵数を減らさないと詰んでしまう。しかし、残り弾薬は少ない。どうする!!

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ここは俺が援護する、先行してくれ!!といったような掛け合いが非常に大切なゲームで、毎回、結構盛り上がる。リアル系なのでFFは危険行為だ。だからこそ、味方を意識する楽しさが抜群なのだ。さらに面白いと感じたのは、各人に与えられたポイントによる強化システム。これは最初に10ポイント(サーバーによってポイント数が異なる?)が与えられ、その中から銃器を改良したり、防弾ベストを買ったりしてやりくりをするシステム。これが中々に考えさせてくれて、私は弾薬をより持てるようにしつつ防弾ベスト、残ったポイントは少ないが、これで銃器を改造するようにしている。

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リアル系FPSには珍しいCoopを備えているInsurgencyは、万人向けではない。やはり一撃死が横行すると、カジュアルゲームに慣れたプレイヤーにはキツイものがある。対戦プレイはまだしていないが、海外でもあまり人気が無いようだ。もう少しだけプレイをしてみようと感じさせるマイナーFPSは久しぶりかもしれない。

午後のPCゲーム of the year 2014

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2014年に発売をしたPCゲームの中から最も優れたタイトルを決定します。私の考える基準としては、第一に作品の方向性が明確、かつ完成度が高いことを必要条件としています。これに加えて、十分にユニークであること、その存在が一定期間(少なくとも3年間は)私の記憶に留まれる様な作品であれば文句ナシです。毎年、同じ注意文章を書いていますが、このコラムは私の判断で書かれていますので、全ての方が納得できるモノではありません。



まず2014年の全体を眺めてみますと、思った以上に大手タイトルが目立たなかった印象があります。EAが大々的に宣伝をしていたTitanfall(RespawnEntertainment) は発売直後は人気を保ってはいたものの、現在では燃え尽きた感がある。ただ開発にとっては処女作であるし、元CoD開発の中核メンバーが多く在籍する実力スタジオなので、今後の作品には興味が持てる。大作タイトルの中でも突出して優れていたのはMiddle-earth: Shadow of Mordor(Monolith Productions)。大変に素晴らしい世界観を演出できたオープンワールド・アクションゲームであり、中盤までは引き込まれるものがあった。今回のコラムでは取り上げないものの、多くの支持を集められるゲームだろう。一方、マイナータイトルに注目をするのであれば、Goat Simulator(Coffee Stain Studios)は外せない。まぁ、推しはしないが。

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斑鳩(株式会社トレジャー)はアーケードにて2001年に稼動をした弾幕STGの金字塔である。そして、我々が知りうる限り、これほど支持を集められたSTGは他にない。赤と青の2属性を切り替える特有なプレイ感覚、パターン必須な高難易度にして見とれてしまうような弾幕。完成度は極めて高かった作品が、遂に今年になってSteamで販売されることとなった。元が10年以上前のタイトルなので、Goty記事にするのは厄介な問題が発生してしまうものの、これから先も愛されるタイトルの1つだろう。

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Outland(Housemarque)もまた、オリジナルは2011年にリリースされたゲームである。このゲームは様々な点が先の斑鳩からアイデアを拝借しており、それを更に昇華させた後発らしさが感じられる。色合いが絶妙だけではなく、手に汗握るボス戦闘や練られたトラップ、テンポも悪くない。純粋な探索ゲームとしても優秀で、中々に上手い仕掛けが心を振るわせてくれる。

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日本のゲームから1作品を取り上げるのであれば、CrimzonClover(四ツ羽根)はとても好感が持てたSTGである。プレイヤーが選択できる機体は4種類だが、どれも高火力で敵を爆殺できる快感が備わっている。敵弾を避けるよりも、即効で破壊する興奮は見事に表現がされていて、とても解り易い。重要なポイントとしては、初心者を救済する難易度でも、本質さを失っていないことだ。この腕前に関わらず、同じ楽しさを提供しているセンスは、この作品だけの特権だ。

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Transistor(Supergiant Games)、許してくれ。君くらいの品質であるのなら間違いなく大賞を易々と得られただろう。ただ、あまりにも直感的でないアップグレード画面がどうしても好きになれなかったんだ。それを除けば、CivとDMCをミックスしたかのような、スタイリッシュなアクションと計画を練る楽しさ - は十分にユニークであるし、不思議に落ち着くSF世界や音楽、芸術面ではほころびさえ見つからない。



さて、あまり長すぎてもダレるだけなので、さっさと表彰をしよう!!私が選ぶ最もトロフィーを与えるに相応しいPCゲームは

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Wolfenstein: The New Order(MachineGames)

FPSが『Doomクローン』と呼ばれていた時期があった。この時代の先駆者はDoomであり、その先の英雄はQuake。しかし、それらの前に一時代を築き上げたのがWolfenstein 3Dであった。このタイトルは長いこと、少なくとも1999年くらいまで重要なタイトルであったし、古典的なFPSの中でも人気を保ち続けることが可能であった。ところが、ゲーム・テクノロジーが誰もが考える以上に進化をしたため、FPSジャンルは多くの枝分かれをした。ロケットジャンプをするよりもアメリカを救うストーリーを、ナチスを打ち倒すよりもアメリカを救う特殊部隊を、バールを持った物理学者よりもアメリカを救う核弾頭を、という具合に様々な作品が生まれた。だから、FPSの本質である『敵を打ち倒すことだけあればOK』…は公言できなくなってきている。実際、QuakeやDoomを望んだところで、私はクリアが出来ないだろう。あの強烈な難易度、理不尽さを、もう一度望むのか?嫌だね、我々は過去の名作には十分に敬意を払うが、今日プレイすることとは全くの別問題だ。しかし、The New Orderに関しては喜ばしいリブート作と言ってもいいだろう。

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アクション、ステルス、会話、ストーリー進行…このサイクルが高速で行われる様は、まるで The Chronicles of Riddickのようだ。まぁ、MachineGamesのメンバーは本当にRiddickを製作していたので、プレイ感覚が似ているのは偶然ではない。あのハイブリットFPSを再度プレイ出来るなんて!!道理で各パートのバランス感覚が素晴らしいわけだ。後半になっても安心感はあるから、とてもレビューが書きやすいタイトルだったし、実際、とても面白いのだ。

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アクションは豪快さが前面に出ていて、アサルトライフルやショットガンを用いて、敵を打ち倒す正規な喜びが得られる。現代風にスキル選択性を採用しているが、特に拘らなくてもプレイヤーの好きなように暴れることが可能なデザインであるのも嬉しい。もう少し進んだ話をすると、スキルは要求される行動を達成することでアンロックされるが、この制約が中々にプレイの幅を広げている。優れたMAPは、主にステルスパートにおいて楽しみを増大させてくれる。よくあるようなセンスの悪い開発者エゴに付き合うのではなく、「ちょっとステルスやってみようか」というプレイヤーの創意工夫を強く助ける1要素に留まっているのが素晴らしいではないか。だからこそ、探索をする楽しさもあった。

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ではストーリーはどうだろうか?これも素晴らしい出来だった。やや90年代TVドラマ風古典さは感じるが、全体的に引き締まっていて、主人公Blazkowicz大尉の長い長い復讐劇には共感が持てる。またナチスvsレジスタンスというありふれたテーマを、レトロなSFで仕上げたことにより、誇るべき世界観を持っている。マイナス要素としては、続編ありきなEDは辞めて欲しかった。また一部の移動シーンが、あまりにも苦痛で、もっと減らすべきである。ボス戦も面倒だし、せっかくの面白いアイデアであるワイヤーカッターも単調すぎてしまい、結果的に不必要な要素にまで成り下がっている。だが、全体的な品質は大変に高く、それに準じた評価を下すべきである。よって、午後のPCゲームは、Wolfenstein: The New Orderに対して表彰を行うことにしました。さぁ、Blazkowicz大尉。このトロフィーは君にこそ相応しいんだ、遠慮なく受け取ってくれ。銀色なんだけどさ!!


… … …



Wolfenstein: The New Orderは傑作だが、大賞の器じゃない。なぜならば、名門Wolfensteinシリーズの作品であるのなら、これくらいの品質を持ってリリースされるのは当たり前だからだ。言ってしまえば、The New Orderは予測可能な範囲の中では、優れたタイトルである。「ああ、実に良くできた作品ですね」ではなく、「なんだこれ?マジかよ」というレベルには達していないというのが私の考えだ。だから、大賞に選ばれるべきは、脳に強烈に焼きつくような体験が得られなければならない。想像以上の体験が必要だ。

今年も序文が長くなってしまい申し訳ない。そろそろ発表しよう。
2014年、午後のPCゲームが選ぶ最優秀PCゲームは、とんでもなくクソグラフィックなタイトルです。

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Nidhogg(Messhof)

吐き気がするほど、汚らしいグラフィックスである。我々は苦労の末に3Dを巧みに使いこなしているというのに、そして優れた物理エンジンが見せかけのリアルを提供しているというのに!!まるでAtari2600でリリースされたかのような、或いはそれ以下の技術で製作された時代遅れの、周回遅れの、世紀違いの、クソ・グラフィックスだ。これは否定しようもない重大なマイナス・ファクターであり、腹立たしさすら覚えてしまう。恐らく1000年前のPCゲーマーですら、馬鹿にするだろう。

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恐るべき事に、私の脳はすぐさまNidhoggの体験をプロテクトして保存した。2014年でココまでぶっ飛んだタイトルが思い浮かばないためにね。それどころか、本作はここ5年間を見ても相当に異質なタイトルであり、ユニークというレベルを超えたオンリー過ぎるプレイ感覚があるのだ。まず、このゲームは右に行くことが目的である。敵が道を塞いでいたら殺害して右に行け、敵を避けつつ右に行け、障害物はジャンプして右に行け、ともかく右に行けばゴールがあるから、右に行け。そうすればクリアが出来る。…が、実際のところ、右に行くことは容易くはない。ゲーム全体を包み込んでいるのは、一撃死というシリアスさ。プレイヤーも敵も、剣の一撃で死ぬ。ルール上では何回でも死ねるが、その分だけ敵が左にある敵ゴールに近づいてきてしまう。なんとしても阻止しなければならない。

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一瞬の選択…Nidhoggはコレだけのために、全てを捨て去ってしまった。ユーザーフレンドリーなUIも感動的なストーリーも、綺麗なグラフィックスさえも不必要だったのでゴミ箱に投げ入れたとしか思えない。そのため、長所の個数はとても少ないものの、長所の質が異様なのである。まるで日本刀のように、ヤバイ光沢を保っていると言い換えてもいい。この真剣さは、攻撃パターンは上段、中段、下段、剣投げの4種類で構成されているが大きい。一撃で死ぬということは、前進するのにも逃げるのにもジャンプするのにも、そして攻撃でさえも、死が付きまとう。守りに入れば安全だと思って、消極的な攻撃をしても死ぬ。この重すぎる選択を、超高速で要求しているため、本質的には格闘ゲームに近いものがある。そして、このたった一つしかないメリットが、あまりにも清らかな体験を与えてくれるのだ。

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緊張しています、完璧には伝達されない言葉だ。困ったことに、連続して緊張できます、ヤバイですというのが本作のプレイ感覚である。非常にシンプルなアクション性の中に、とんでもないシリアスさを命一杯に詰め込んだデザインであるので、多くのプイイヤーは驚いて腰を抜かしてしまう。一見するとチープなようで、実際にプレイをしてみると底が見えないために、得体の知れなさに恐怖を覚える。これは、とても重要なポイントで、ゲームはシンプルであればあるほど楽しさを提供するのは難しくなっていき、逆に複雑なデザインのゲームは、面倒さを引き起こす。そのため、多くのタイトルはその中間を目指すことになる。最もシンプルな名作ゲームは、その殆どが既にアイデアとして完成されているから、新規に創造するのは大変な困難が予想される。実際、新規にシンプルで面白いゲームは、もう絶滅したといっていい。私も長いこと忘れていたが、こういう得体の知れないセンスこそ、本質的に求められているエンターテイメントだ。

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考えれば考えるほど、欠点が気にならなくなっていく。クソ・グラフィックスの中で、どうしてこれだけの内容が思い出に残るのだろうか。まさに美学の果てに辿り着いた『模範解答』なタイトルであり、これ以上の議論は無意味に近い。2014年の最優秀タイトルはNidhoggにこそ相応しく、またこれから先に出てくるであろう全てのタイトルにも、こういった美学を徹底的に追求をして欲しいと願う。素晴らしいゲームは、大抵の場合において、歪んでいない。Nidhoggはたったそれだけの事ができたに過ぎない。


World Guide to Whisky 山崎12年

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               これまで と これからの選択

【午後のPCゲーム:ビールコラム特別企画 スペシャル・ウイスキー】

昔々あるところに…といっても1万3千年前まで遡る、遠い遠い過去の話である。我々の祖先がまだ狩猟生活者として生きながらえていた時代。彼らは時として長い旅路に駆り出されることがあった。移動先に豊富な獲物がいれば、しばらくは安泰な生活が期待できるが、それが長くないことも明白であった。獲物を求めて長い距離を移動する生活は、突如として終わりを迎える。自分たちで食糧を生産するという行為は、人類史に残る偉大な一歩である。この耕作により、1人の人間で何人分もの食糧を生産することが可能となり、また食料の長期的な保存もできるようになった。農業を大規模に行うためには、組織化が必要であり、細々とした集団は巨大な集団となり、いつしか国家と呼ばれるようになった。そこで明確な富が定義されると共に、財産を守るために、或いは他国から奪うために、戦争が起きるようになった。作物こそが、文化の礎であり、成長剤ともなった。恐らく、最初の耕作はメソポタミア地方だったと言われている。

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今回は序文が長いです、ごめんなさい。

昔々あるところに…あまりにも昔だが、少なくとも先ほどよりは時代が進んだ地球のどこか。私が物語を作るとしたら、このように書く。
『ある巨大な国家は、近くの小国を力で屈服させると、さらに巨大な領土を手に入れた。彼らは農作を大規模に推し進めると共に、貯蔵の重要性も十分に理解をしていたので、沢山の穀物倉庫を建設した。ところが貯蔵庫の見張り役が、不真面目であったためにトラブルが絶えなかったのだ。仕事中にサボるのは当たり前、時として大麦の入った大壷を倉庫に入れずに放置する事さえあった。しかし、ある時、彼は自分のミスを隠す必要に迫られた。そう、数ヶ月前に倉庫に入れるのが面倒で外に置いた大麦入りの大壷…今度のミスが発覚すれば間違いなく彼はクビだ。急いで壷を見つけて中身を捨てようとした瞬間、壷中の液体に興味が沸いた。壷の中は大麦と雨水が混ざり合い、とんでもない状態になっていたが、甘い香りが彼の鼻を刺激した。なんだろう、この水は?…暫くして巨大国家は摩訶不思議な飲み物を販売し始めた。』
最初の文明、シュメール文明では既にビールを生産しており、しかもこの時点で国民的な飲み物であった。よって、ビールの生産方法が確立されていたのである。その後、バビロニアやアッシリア、エジプトでも同様にビールは生産された。
もう少し時代が進んだヨーロッパでは、新たな勢力が登場する。ワインである。大麦と葡萄の2派に分かれたヨーロッパであったが、これは気候の差が大きい。大麦生産がしやすかったベルギー、チェコ、英国ではビールが発達しやすかったし、ギリシャ、イタリア、フランスでは葡萄の栽培に力を入れたためにワイン国家となった。しかし、まだ蒸留酒は表舞台に出てこない。アルコール度数を引き上げるには、あるテクニックが必要だったのである。

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ウイスキーの登場には長い時間が必要だった

昔々あるところに・・・地中海東岸に(現シリアに近い)フェニキアという国家があった。全盛期は地中海全域に影響力を持つほどの力があり、こと商売に関しては天才的なセンスがある民族である。これより昔に、『混合物を一度蒸発させ、後で再び凝縮させることで、沸点の異なる成分を分離・濃縮する行為』は既に知られてはいたが、フェニキア人たちは大変に上手に使いこなしていた。古代の人たちにとって、一度蒸発した液体が、再び元も姿に戻る蒸留は、まるで魔法のように思えたに違いない。その魔法を日常的に、かつ高度に、そして商売に活かしていたフェニキア人たちには驚かされる。まず彼らは、蒸留により海水から真水を得ることを知った。これは不純物を意図的に取り除く事の重要性を、何か他のことに使えないだろうかという欲求から発達していくことになる。例えば、医学への応用だと、薬の濃度を高めることにより強力な製品へと生まれ変わり、また香水をより華やかなものへと変化させることも易々とやってのけた。商売上手なフェニキア人たちは、あっと言う間に潤い、更なる富のために蒸留を行い続けたのである…勿論、アルコールもリストに入っていた。フェニキア人たちがどこまでアルコール蒸留に通じていたかは解らないものの、今までの結果から考えるに、上手い事やっていたのだろう。そして、その蒸留法をテキスト化して商売しようと考えたのかもしれない。一説によれば、フェニキア人の教えは、地中海を中心に、スペインを経由して西ヨーロッパ、そしてスコットランドへと波及したのだという。

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蒸留法を教えてやろう

昔々のスコットランド…『コノ、教科書ヲ買エバ金持サ!!』という怪しげな商人から買ったかもしれない。タイトルは『猫でも簡単にわかるフェニキア流の蒸留法』、きっとボッタクリ価格だったはずだ - をまじまじと読み込んだスコットランド人たちは、ぶちキレ寸前だった。なんだよ、この教科書は?意味の分からない単語で一杯だし、そもそも地中海の連中が何をしようと俺らは関係ないじゃないか!!クーリングオフ制度がなかったので、スコットランド人は返品できず、途方に暮れていた。まぁ、とりあえずアルコール飲料を造ってみるかぁ…というノリだったのかもしれない。後に巨大な利益を生むことになるスコッチではあるが、この背景には彼らの長きに渡る経験・知恵と地形的な優位さが合わさった結果でもある。まず、この地域では大麦派であったこと、しかも非常に良質な大麦の生産地として知られたいた。どうやら、スコットランド人は大麦の栽培を昔から得意としていたらしく、その評判は他国にまで届いていたほどだ。さらに水も良かった。ベネ・ネヴァス山には6ヶ月以上も雪が残り、それらが溶けて多くの地域に水を与えた。無数に分かれた川に、良質な雪解け水。水の量も申し分ない。一般的には詳しく語ることがないが、ウイスキー生産には安定した水の量が必須条件となる。仕込み水から洗浄水まで、とにかくウイスキーには大量の水が必要となるのだ。実は、この条件に合致する地域は、あまり多くはないので、その分も含めてスコットランドは他国よりも優位に立てた。さらに、海藻という追加武器もある。ウイスキーに海藻?と思うかもしれないが、これはユニークな味付けをするさいに重要な要素となりえる。例えば、薬品に近い味で有名なラフロイグだとかは、スコッチのもうひとつの顔でもあり、他を寄せ付けないものがある。

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スコッチはウイスキーの頂点に君臨した

昔々から現在に至るまで…スコッチウイスキー、アイリッシュウイスキー、アメリカンウイスキー、カナディアンウイスキーそしてジャパニーズウイスキーを総称して5大ウイスキーと呼ぶ。
アイリッシュはピートを使用しないために、スモーキーフレーバーがなく飲みやすさは抜群だ。アメリカンはバーボンやテネシーなどの独特な色合い、カナディアンは軽快な風味が特徴だ、ジャパニーズ・・さぁ、ようやく本題に入ることが出来ます。いやー今回は本当に長い序文でした!!じゃあ話を本格的に始めますが・・・ ・・・
・・・ (文章量が膨大によりカットしました) ・・・ 
2014年、英ウイスキーガイドブック「ワールド・ウイスキー・バイブル2015」において、山崎シングルモルト・シェリーカスク2013が世界最高のウイスキーに初めて選出された。これは長いこと強大な位置に居たスコッチを押しのけての快挙となる。この発表に海外は驚き、様々な意見がネット上を飛び交った。「日本のウイスキーレベルは近年、非常に高いから当然の結果だろう」という意見から、「米でも食ってろ」だの「日本ウイスキーはネットで購入できるか」だの「日本でウイスキーを製造していたことを始めて知った」だの。盛り上がっている日本ウイスキーだが、さらに国内では連続テレビ小説「マッサン」が大人気の影響もあり、ありとあらゆる店から有名な銘柄が売り切れてしまった。私の行き付けの酒屋も、びっくりするほど売れ行きが良く、私に販売する分の山崎がないというのだから。全く困ったんだ。幸運にも山崎12年を入手(本当は飲むのを忘れていただけ)したので、紹介をしようと思う。私が選ぶ日本代表のウイスキーは山崎だ、だからどうしてもコイツが必要だったのである。



ストレートで飲んでみよう。
琥珀を溶かしたのだろうか?その色は実に健康的なウイスキーそのもの。やや明るいのが山崎の特徴だ。
香りはジンジャーのようで、やや草っぽさも入り混じった大地のようである。あのスコッチ、マッカランと比べると平均的かもしれない。だが、味は一級クラスだ。この山崎12年は、相当にドライな味付けであるが、長い長い余韻、まるで満月の夜の3時間のような感覚が得られる。日本のウイスキーはピートが少ないのが普通だが、山崎は確かなスモークが遅れてやってくるので、私は大好きなタイプだ。舌に撃ち込まれた感覚もあるが、血液の中に入り込んでくるかのような、染み込んでくる様子もしっかりあり、鼻から出るアルコール香りも十分だ。良い酒だ。断トツではないが、格別に素晴らしい。
またこれは余談だが、山崎12年はストレートで飲むことをおススメする。とにかく、こんなに美味いストレートは久しぶりだ。

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私はマッカランを愛するが故に、山崎を持ち上げることは出来ない。許して欲しい、私にとってのマッカランは何時までも世界一で居て欲しい酒なのだ。そして、日本が世界一になったとはいえ、いずれスコッチが引き摺り下ろしに掛かるのも解っている。彼らと我々とでは、あまりにもウイスキーに掛けた時間が違いすぎる、向こうは数世紀、こっちは100年くらいの歴史差がある。でも、これから美味しいウイスキーを飲もうとする人々は幸せだ。何だって選択肢が2つしかない。スコッチかジャパニーズか。日本製は少しお高いものの、世界一に輝いた品質だ。それくらい目を瞑れるでしょ?

午後のPCゲーム"Play"of the year 2014

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本年も様々なゲーム記事を掲載をしましたが、その中から『私が最も印象に残ったゲーム記事』を決めます。Game of the yearではありませんので、純粋に出来の良いゲームタイトルを決定するのではなく、逆にクソ過ぎて印象に残った、意味が解らなくて印象に残った、マゾい、方向性が謎、記事作成に異様に時間と手間が必要…といった要素が重要になってきます。なので、無差別ランキングといった方が正確かもしれません。では、少しの間、本年の思い出を語りましょう。



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Need For Speed Rivals(掲載時期2014-02-12より NFS:Rを平和にプレイ 1 他)

デジタル・バイオレンスの極みとは、欲望の限り破壊活動が行えることである。特に芸術への冒涜は、最大級の背徳行為と見なしていい。1億円を超えるようなスーパーカーをサーキット以外で走行させるなんて、常識人が知ったらショック死してしまう。Dodge SRTをジャンプ台に突っ込ませて、着地失敗。ハハハ、見ろよ、ボンネットがグチャグチャだ。 Ferrari F355 は激突でぶっ飛び、横転しながら破壊されている。とんでもないデジタル・バイオレンスゲームだ。このゲームが『ヤバイ』のは、オープンワールドなレースサーキットでは、荒地だろうが道路だろうが、常に破壊が日常化しているということ。その感想は一言では言い表せない無念さと、興奮とが入り混じっている!!

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Call of Duty 2(掲載日2014-06-20 Replay:Call of Duty 2)

Replay:Call of Duty 2を掲載するにあたり、実は何回も何回もプレイをした。それは単純にコイツをプレイするのが楽しかったからであり、決して思い出補正ゲームではないと確信が持てた瞬間でもあった。引き込まれるような演出は、古典的ではあるものの、もっと多くの人に体験してもらいたいとの気持ちもあった。このフィルム時代の映画は、プレイヤーだけではなく、ゲーム製作に携わる会社も、もう一度プレイをすべきだ。まるっきりなコピーを作れとは言わない、むしろ要らない。ただ、FPSが安っぽくなる前の傑作は、何年経っても大作のままだ。今あるCoDは一体、何年後まで覚えている人がいるのかな?1年か2年、或いは3ヶ月かもしれない。長期間にも耐えうるタフさこそ、CoDに備わっているべきである。

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Red Orchestra 2(掲載期間 2013-03-18から現在まで Red Orchestra 2をプレイしよう 他)

非常に手間と時間の掛かるゲーム記事で、これまでの記事を統合すると、レビューが2本は書けてしまうくらいだ。リアル系FPSが絶滅しそうな現状において、活気のあるRO2を何とかすくい上げようと始めた連続コラムではあった。が、回を追うごとに長文化、更新頻度が非常に遅くなっている。当ブログでも1年以上に渡り掲載されている同一タイトルはコレだけだ。マイナータイトルなので、読んでくれる人も居ないと思っていたが、各記事のコメントや閲覧状況を考えるに、私の想像よりも更新を待ち望んでいる人が多数いるようだ。一応、予定上では来年の3月に終了する。予定上では

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Borderlands 2(掲載時期2014-07-23より Borderlands 2 Gaige その1 他)

今年プレイをしたタイトルで、最も魅力的なゲームキャラクターはGaigeで決まりだ。本作で選べるキャラクターの中ではダントツに若いGaigeは、非常に頭がよく美人で、そしてパンドラ一番のお尋ね者だ。強力な火力、強烈な性格、凶悪なビルドでHandsome Jackに立ち向かった。常時高火力と引き換えに弾丸は真っ直ぐ飛ばなくなる…などの『何かのアドバンテージを得る代わりに、何かを失う』という独特なスキルが多い。そのため、プレイをしていても幅が出やすく、成長に関しても十分に考える面白みがタップリだった。一部のMAPが辛いものの、全体的に高性能なキャラクターなので迷ったら最強の女子高生で旅立つのもアリだ。



もうそろそろ、私が最も印象に残ったゲーム記事を発表しよう。…正直に言うと、このゲームに関しては、もう2度と書きたくないので、さっさと終わらせよう。

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                 The Stanley Parable
          (掲載日2014-07-03 The Stanley Parable ショートレビュー)

The Stanley Parableのレビューを書こうと思うのなら覚悟をする必要がある。だってゲーム内でプレイヤーを馬鹿にし、製作者の言いなりにならないと、或いはご機嫌を伺わないといけないのだから。それを守らないと、ゲーム内で説教をされる。私は購入者なのに、何で製作者に怒られないといけないんだ?よって、この理不尽な部分を肯定すれば、全てのPCゲーマーを敵に回すことになる。一方で、こういったタブーを明確にしつつ、ブラックユーモアで上質に包み込んだ作品を見下せば、今度はレビュアーとしてはクソになる。読者の支持か、自身のプライドか。勇気のある【私以外の】レビュアーの皆さん、レビュー掲載を期待しています。

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本当にどうしようもないゲームだ。主な登場人物は2人だ、語り手(ゲーム製作サイド)とStanley(プレイヤーサイド)、語り手は我々に、あらかじめ決定された正規ルートに誘導しようと必死だ。階段は上に行け、下の階層には行くんじゃないぞ!!ってな具合にね。五月蝿いなぁ、私はお前の命令なんかには従わないよ。こうやって正規ルートからズレていくと、ついにゲームそのものが成り立たなくなる事もあるだろう。このゲームには複数のルートと、それに準じた演出とEDがあるために、何回かの試行錯誤が必要となる。だいたい1回のプレイは10分程度なのだが、EDに行き着くまでの過程が練られており、飽きさせないような工夫も多い。

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これほど素晴らしい/クソなゲームにも関わらず、言語設定が英語のみなのが知名度の低さに繋がっているように思えてしまう。英語自体はさほど難しくは無いのだが、語り手が早口で喋るシーンも多く、文章量は非常に多い。一応、明確な欠点を申し上げると、言語が英語のみ…くらいしかない。もうちょっと貶しておくと、登場人物に小鬼が出てこないだとか、ギネスビールが飲めない、ゾンビと戦えない、Gaigeのスキルアップが出来ない、これだけ叩いておけば私の立ち位置も安泰だろう。と、このくらいThe Stanley Parableは際どい内容であり、メタ発言も当然のように多く、そして濃い体験でもあった。

深く考え事をしてしまうような方は、今すぐにプレイするべきである。貴方は、与えられたエンターテイメントを再考するだけの勇気がある。そのような体験に、例え説教が入ったとしていても、それは問題にならない。むしろ、よくココまで作りこんだと賞賛をすべきであろう。確かに値段以上の価値がある稀有なタイトルなのである。正直に告白をすると、私はThe Stanley Parableのようなゲームが市場に溢れることを望まない。こういった作品は、たった1つあれば十分だ、コピー品なんて不必要だ。しかし、このゲームが無い世界には興味が持てない。唯一無二の存在意義があるゲーム、それを私の最終評価とし、同時にこれ以上に掲載に神経を使ったタイトルは存在しないために、大賞作品とした。

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Author:ばりー
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