The Swapper ショートレビュー

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子供の頃、1つの画集に心を奪われた。
その画家が描いた作品はまるで1時間を1秒以下までに圧縮したかのような魔力を持ち、1つ1つの色に魂が込められたかのように…私には生きているようにさえ感じられた。
その画家の人生が波乱万丈で、生涯の殆どを弟からの支援で乗り切り、精神的に追い詰められ、自殺をしたことを後に知った。
魂は脳で生産されるものだ、だから画に精神的な事柄、つまり電気的な情報が複雑に飛び交うような現象は起きない。
それは十分に理解をしているものの、それをどこぞの少年に言ったのなら
「なんでそんなに深く考えるんだよ?」
なんて言われるに決まっている。
私の魂も随分と変化してしまったものだ、それでも私はオリジナルである限り在り所は1つだけ。
それすらも解らなくなった時代に生まれてこなくて本当に良かったよ。

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様々なゲームをプレイしてきたが、The Swapperのような強烈なテーマ性がある作品は10年に1つのクラスだろう。
Swapper装置は自身のコピーを複数呼び出し、そのコピーはプレイヤーの動きをトレースする。
また、コピーに主導権を移す事も出来、この2能力を用いて謎を解明していく。
オリジナルからコピーに魂を乗り移らせ、そして元オリジナルを使い捨てにして進むプレイに罪悪感を感じることは無い。
なぜならコピーに精神は宿っていないから、いくら殺そうが倫理的に問題はないはずだ。
そもそも殺さないと先に進めないのデザインなので、最後に生き残った主人公がオリジナルなのだ!!
…そう言い聞かせて無人惑星ChoriⅤと無音宇宙ステーションTheseusからの脱出を目指す。

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パズルは後半戦から高難易度化していくものの、異様な完成度を誇る。
似ているパズルは1つも存在をせず、アイデアも十分に機能している。
悲しいピアノが流れ、『誰もいなくなった』ステージを懸命に捜索をするプレイは心を動かすものへと変えている。
MAPデザインも素晴らしく、スイッチやトラップに溢れた美学は、まだ見ぬ未開のエリアへの不安と期待を与える。
ただひたすらに美しい。

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ラストシーンはゲーム史に残る。
これまで自分で自分を殺し続けてもなお正当化してきたプレイヤーにとって、最後の選択はあまりにも重い。
これはゲームという媒体で、プレイヤーが世界に介入する手法を用いた哲学であり、それが見事にマッチした稀有な例だろう。
こんなにもプレイヤーに選択を要求したEDがあっただろうか?
そして、どうしてこんにも心に残るのだろうか。
幾らかの意地悪なシーンがあったとしても、The Swapperの評価は大きくは変わらない。

ゴッホ、貴方の作品には魂が感じられました。
そしてもう一度、私に魂を教えてくれたのはゲームだった。
魂を入れ替えた先にどのような結末を迎えたのかを知りたい方は、せひプレイしてほしい。

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