Layers of Fear ショートレビュー

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ホラーゲームはコントの亜種である。舞台セットが用意をされ、その中で登場人物たちが【冷静に考えれば解決が出来るのにも関わらず】てんやわんやしてプレイヤーを楽しませるのである。つまるところ、作り手のセンスに我々が丁寧なツッコミを入れる事で、初めてホラーゲームとして成立をする。むしろ名作と呼ばれるホラーゲームは、ツッコミ所が多い。例を挙げれば、警察署のレイアウトが実用的でない、工具が強い、ロッカーに隠れれば万事解決、等々。これらのツッコミこそゲームデザインそのものを決定する。

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精神に異常がある芸術家が、作品を完成させるために必要なモノを求めて屋敷を彷徨う。最大の特色は、現実と虚構の区別が出来なくなってしまった主人公の視点を通じて、屋敷を探索する点である。虚構の世界では現実性が著しく欠如した理屈に合わないシーンが連続して起こる。天井から上に世界が広がり、長い通路を振り返ればオブジェクトの配置が変っている、壁に飾られた絵画が変化をしていき、終いには吹っ飛ぶ。ドアを開けた先に映る部屋は一見すると普通だ、しかし次に開けた先が現実とは限らない。この一連の流れは、コント亜種的な面白さを追及したものではなく、人間の奥底に潜む不条理さを芸術性へと変化する心境に似ている。少なくとも私はホラー・コントによる古典的な恐怖心は抱かなかった。

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よく解らない - しかしゲームが確実に進行していく事に精神的な揺さぶりをかけてきている。主人公が思い出の品を手に取ると、物語に関係する事柄が判明していくが、それでも考察が必要となってくる。見事なのが、2週目へ誘うプロットで、ゲームが終わってもスタッフロールが流れることが無い。(スタッフロールはある特定の場所にて見る事になるだろう)作品内で強制的にゲーム的な演出であるスタッフロールを流さないことで、いかにも虚構の世界が実在するかのようなリアリティを与えている。これがとても重要で、嘘の表現を誰かが見るかもしれないという主張に説得力がある。しかも虚構世界で描かれる不条理の芸術は、素晴しく【虚構的】であり強く心に残った。

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FPSにおいて暗さは悪である。視認性が悪くなり、アイテムの見逃し、迷子を誘発し、ストレスの根源となりかねない。これを逆手に取った秀作は数こそ少ないものの存在をし、Layers of Fearを含めても問題ないだろう。ゲームプレイは短いが、不条理と常識が層となって演出される様子は、ただひたすらに美しい。そういった意味で、本作は古典的なコントを楽しむようなユーザー向けではない。注力されたのは、扉を開けた先に常識があるのか、ないのか、だ。


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