コラム:2016: A Space Odyssey!!

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月面で発見された謎の石板モノリス。これこそ遥か昔にサルに知能を与え、進化を助長したモノである。月面のモノリスを調査していくうちに、土星近くにも同様の石板があることが発見される。そして人類初の有人往復航行をしている宇宙船にて人工知能HAL 9000が乗員を次々に殺害をしていくトラブルが発生する。暴走する人工知能、謎の石板モノリス、そして船員ボーマンは最後に何を見たのか。言わずと知れた傑作SF小説『2001年宇宙の旅』は原作、映画ともに素晴らしい出来栄えで、科学主義者アーサー・C・クラークと完全主義者スタンリー・キューブリック監督らしさが広がっている。
さてSF関連の名作は、大抵の場合で小説か映画が多い。ソラリス、ニューロマンサー、幼年期の終り、ハイペリオン、アンドロイドは電気羊の夢を見るか?、ハローサマー、グッバイ、あなたの人生の物語などなど。(映画は詳しくないので語れません)では、ゲームはどうだろうか?何か素晴らしいSF作品はあるのだろうか。うーん、あるかな。

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一応、SF作品からの登場キャラクターである。

SFとしてゲームタイトルを観る、という試みは大変なことだ。ゲームを評価するうえでの1デザインとしてSF要素を評価するのではなく、純粋にSF感だけを取り上げることになるため、いかにもテーマの主軸が直ぐに外れそうだからだ。尤もゲーム媒体である以上、小説や映画にはない特有のメリットである『プレイヤーの操作介入』は強く意識すべきだ。意識したうえで、いつもと違う視点から考えてみるのも悪くないかもしれない。ゲーム難易度が歪だったり、操作性がクソで、ロード時間が長くても、SFとして優れていれば良いのだ!!PCゲームの記事で何を言っているのだろう、と罪の意識を少しだけ感じつつ話を進める。SFとして評価するにも、テーマが沢山ありすぎて、何かに絞る必要性があるだろう。例えば、『千葉の闇テクノロジーは最先端』とか。

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企業間における戦争を描いたSyndicate

高度に電脳化された社会 -サイバーパンク-
SFの花形といえば、電脳世界だ。高度に情報化されたヴァーチャル世界で暗躍するハッカーだとか通信技術が行きわたり過ぎて恐ろしいほどの管理が行われている作品も多い。この手の話題だと映画『マトリックス』が有名かもしれないが、元はといえば小説『ニューロマンサー』がサイバーパンク作品の原点である。悲しい事に、サイバーパンクなゲーム作品はあまり多くない。むしろ私はSyndicateくらいしか思い浮かばない。Deus Exも選択肢に入りそうだが、やはりSFらしいアクション性を考慮すると、Syndicateのほうが適任である。なにしろスピード感がある作品だ、ちまちまと隠れてハッキングを行うようじゃあ未来社会は生き残れないのだ。敵との戦闘において、一切のもたつきなくハッキングしていく様は体感するSFアクションそのもの。ストーリーは落胆してしまうものの、都市デザインや世界観も悪くない。

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Borderlandsシリーズに登場をするClaptrap

忠実な機械 -ロボット-
間違いなくアイザック・アシモフ著『われはロボット』が代名詞になるだろう。幸運なことに、ゲーム業界はロボットだらけなので代価ロビィに困らない。単純にプレイヤーを襲ってくる敵ロボットから人心を持つ仲間まで幅広い。AIも含めるのであれば、System ShockのSHODANも該当するし、PortalにおけるGLaDOSは印象に残るキャラクターだ。特に続編では、高性能AIなのにWheatleyと口喧嘩したり、挙句にジャガイモ給電で動作する様には笑った。個人的にはゲームにおけるSFデザイン性を考慮してGLaDOSを取り上げたいところではあるが、彼女はHAL 9000っぽいところが少しだけある。つまり我々を裏切る可能性が高い。そう、GLaDOSもWheatleyも忠実な機械ではないのです。つまり、人間(プレイヤー)にとって忠実なロボットを決めるとなると・・・出来るなら、もっと優秀なスペックを持つロボットのほうが適任かもしれません。例えダンス機能が搭載されてなくても。

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人類は地下世界に押し込まれて・・・Metro: Last Light

人類の最後 -終末・破滅-
有名なのはピエール・ブール著『猿の惑星』あたりか。ブライアン・W・オールディス著『地球の長い午後』も文明の滅亡っぷりが凄まじい。ゲーム業界も、毎年のように文明が崩壊している。FalloutWastelandGrim DawnMad MaxRageS.T.A.L.K.E.R.、そしてMetroだ。この作品は同名SF小説が原作としてあり、それをゲーム化したものだ。先に挙げたFalloutシリーズ等よりも、行動制限における厳しさがゲームデザインの根幹にあり、その部分がまさに終末・破滅的である。地上に出れば強力なミュータントが闊歩し、汚染された空気が人類を地上から追いやる。一方、地下世界は各勢力による抗争が激化しており、乏しい資源をさらに争う悪循環が続いている。さらに地下世界にもミュータントが入り込み、種としての栄光は完全に失墜してしまった近未来が舞台だ。ややホラーを意識したカットもあるのだが、それ以上に廃墟が織りなす哀しみの光景は息をのむほど。もう少し、地下世界を描いて欲しかったところだが、それを考慮しても優秀な世界観である。

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空中都市コロンビアを訪れた私立探偵 BioShock Infinite

歴史改変 -パラレルワールド-
これは代表作を決めるのは難しい。敢えて挙げるのならフィリップ・K・ディック著『高い城の男』だろうか。この作品の中では、第二次世界大戦で日本・ドイツに負けたアメリカが描かれている。ディック作品の対抗馬として提出をするのであれば、どれも1級デザインで固められたBioShock Infiniteしか思い浮かばなかった。まずストーリーが抜群に素晴らしい。考察を必要とするタイプの物語ではあるものの、長い長い旅路をしっかりと纏めてくれた。違う世界を - つまるところ1作目との兼合いに持って行けた部分も練られており、シリーズファンへのサービスも忘れていない。ただし、1作目をプレイしていないと全くついていけない会話シーンも多く、特にDLCであるBurial at Sea Ep1,Ep2は不要だったように思えて仕方がない。ゲーム性も本編のコロンビアがとても良く出来ていただけに、やや心残りがある。ただ、海外ゲームにも関わらず、大変に素晴らしい日本語化がされているゲームで、特に主人公ブッカー・デュイットの演技は忘れられない。万人にお勧めできる珍しいFPSなのも好感が持てる。

・・・

アーサー・C・クラークのSF小説『幼年期の終り』がTVドラマ化したようです。全然、知りませんでしたよ、ええ。という悔しさの感情から久しぶりに長文を掲載しましたが楽しめたでしょうか。休みの期間中に読書をするのも1つの"プレイ"だと思いますので、是非とも名作を手に取ってみてください。

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