World Guide to Beer Modern Times bright rustic saison

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第84回 【技術革新1】

フランスは困っていた。
巨大な帝国は世界の中心として君臨はしていたものの、18世紀半ばから英国と長期的な戦争に突入をしたからだ。オーストリア継承戦争、七年戦争、フランス革命戦争、そしてナポレオン戦争と休む間もなく戦争をした結果、兵站問題が目立ち始めた。拡大する戦線に対して、戦闘で死亡する兵士と餓死した兵士の割合が逆転をしたからだ。戦争に負けるわけにはいかなかったフランスは、新たな食料保存法を発見した者に1万2000フランの賞金を与えると発表した。この問題に取り組んだニコラ・アペールは、人類史に残る伝説の料理人として名を残すこととなった。彼は、ある程度調理した食料を瓶に入れ、コルク栓と封蝋で密閉したのである。彼の親はワイン職人であり、ワインが空気に触れると質が低下することを知っていたため、それを料理に応用したのである。アペールの保存食量はフランス軍でテストされ、記録によれば4か月間も海上輸送された試供品は、問題がなかったとされている。その上、アペールはプロの料理人だ、味も軍用ビスケットとは比べ物にならないほど美味だったらしい。世界初の缶詰はガラス製であったが、これを横目で見ていたのが敵国である。なるほど、フランスは保存食量を大幅に向上させた。イングランドのピューター・デュランは割れやすいガラス製ではなく、ブリキ版から成る入れ物に食料を保存した。これが現代の缶詰のスタンダードとなった。フランスとイギリスの缶詰の味勝負では、恐らくフランスに軍配が上がっただろうが、輸送の面ではイギリス製が圧倒的であった。後に缶詰はアルミニウム製に代わり、戦場以外の場面でも大いに活躍をするようになった。この発明は一般的にアペールの功績と見なされており、彼は生涯に渡り缶詰食料の味の研究をし続けたという。

ビール名がModern Timesという事で、近代に発明された品物を紹介いたしました。同ビールはシリーズ化していますので、この論調は後4回続きます。よろしくね。Modern Timesは2013年に醸造を開始した新しい醸造所であるが、ビール好きの間では噂になっている実力派だ。ネットのビール評価Ratebeerでは好意的な意見も多く、私も飲むのが楽しみだ。今回は、bright rustic saisonという銘柄になり、スタンダードな位置づけになっている。

飲んでみよう。
平均的なビール・テイストと予想していたが、良い意味で裏切られた。まず、やや乾燥した味わいであり、後味はかなり軽い。ベルジャンスタイルということだが、確かに草原らしさもある。しかし、何かが主張して「俺強いだろう?褒めて褒めて」というウザさが全くない。清楚なビールと呼べる品であり、かなり新鮮味があった。金属製のビール缶だが、この銘柄に関してはアペール考案のガラス製で売られていても全く違和感がない。これでは簡単に英国は真似が出来ないだろう。

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スタートラインにぴったりなビール

次回『技術革新2』

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