7000拍手 記念


拍手7000

7,000拍手を達成していました。
・・・という事で、急いで記念記事を製作していますが、色々と時間が必要でして・・・

沢山の拍手を有難うございます。
久しぶりに文字だけの寂しい記事になってしまいましたが、初期と比べると文字数が多くなってきているので、たまには短く終わるのも良いでしょう。
(※3月中にアップします)


雑記

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アイオワ「アンテナ、汚れてないかしら?」

世界最大の航空ショーは米国で開催されるMiramar Air Showだが、もう1つ世界最大規模の航空ショーがある。それは英国で開催されるRoyal International Air Tattoo(通称:RIAT)だ。ただし、此方は軍用機がメインであり、主に欧州各国の空軍、軍用機の会社が多数に参加する軍事色が非常に強い祭典である。2015年に開催された時、各国の関係者は、極東から参加した珍しい連中が、これまた珍しい哨戒機を持ち込んで飛行させたことに興味を持った。海上自衛隊が次期配備予定の哨戒機P-1を英国で飛ばした。これが初飛行となるP-1は、哨戒機としては変わった機体であったため注目を集めたという。その大部分を哨戒機専用として新規設計された飛行機で、多くの国が採用している”旅客機ベースの哨戒機"にはなっていない。対潜大好きな英国と米国も哨戒機は民間の旅客機ベースが基本で、それ専用に制作したという点で珍しかった。哨戒機は戦闘用の飛行機ではなく、その内部に精密機器をぎゅうぎゅうに敷き詰めて、海上の船から海中の潜水艦を発見・追跡する専用機である。そのため見た目が酷く地味だが、機密性の高い軍用機であり、殆どの国で重要視されている。搭載されたレーダー装置で敵の位置を割り出したり、その素性や行動も把握できる空飛ぶ監視カメラのような存在なのかもしれない。英国の空をレーダー機器満載の航空機が飛んだ。意外かもしれないが、英国はレーダー装置で国を守った経験がある。
・・・

1940年、英国は滅びかけていた。
ドイツ軍がフランスに侵攻をした際に、その猛攻を防ぎきれずにフランス本土最北端の港都市ダンケルクまで後退をしていたからだ。既に前線は壊滅状態で、戦う余力も無い40万人の将兵が取り残されていた。背後はドーバー海峡であり、これ以上の敗走は出来ない事態に陥っており、かといって本国からの戦闘増員も期待できない絶望的な戦況だった。迫りくるドイツ軍を前に、英国政府はダンケルクに取り残された兵士を本国へ輸送する大作戦を決行。自国にある全ての船を総動員(ヨットから漁船まで!!)して、ダンケルクからの撤退に成功。ただし、運び込めたのは兵士だけ。銃火器から戦車、その他戦闘に必要な道具は全て現地に置いていくほかなかった。という事で、英国は40万人もの兵士の奇跡的に撤退させることが出来たが、殆どの火器を失ってしまった。その直後、フランスは陥落し、ドイツの占領下となる。いずれドイツ軍がドーバー海峡を越えて英国本土を爆撃してくる事はチャーチルも理解していたし、これを防ぐために時間稼ぎをする重要性も理解をしていた。ところが、期待の英国空軍は、兎にも角にもモノ不足・金不足の二重苦でドイツ軍と戦える状態ではなかった。そもそも開戦時でさえ、英国空軍は800機ほどしか航空戦力を保持しておらず、ドイツ空軍に大きく数の差を開けられていた。何せドイツ空軍は3,000機以上、最新鋭機も多く、非常に良く訓練された軍隊だったので、正面から戦っても勝てる見込みは薄い。そうなればドーバー海峡の制空権は完全に敵側に落ちてしまい、強力な機甲師団が英国に乗り込んでくる。でも兵士に渡す小銃は、ダンケルクに置いてきてしまった。完全に負け戦である。装備で負け、量で劣り、練度で差が開けられている。フランス占領を手早く終えたドイツ軍は、早速に空軍をドーバー海峡確保のために向かわせた。既に英国は死に体であるのは明白だったが、どういうわけか海峡上空では制空権が確保できずにいた。当初、ドイツ空軍は、やけにタイミング良く、まるで幸運を味方にしたかのような絶妙の攻撃チャンスを掴み続ける英国空軍が不思議でならなかった。ところが、海岸沿いにびっちりと並べられた対空レーダー網を見ると・・・いや、まさかね。レーダー如きで空軍の進行は止められないだろう。

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ドイツ軍がレーダー装置をガラクタ扱いしていたのには理由がある。
実際にガラクタだったのだ。初期のレーダーは出力が弱く、その探知精度に大きな疑問が出ていた。しかし先見の明があった英国は、レーダー技術を向上させることに熱心で、問題の解決に奔走するとともに海岸沿いに最新鋭のレーダー観測システムを配備していた。非常に粘り強く戦う英国空軍に焦りを見せ始めたドイツは、ようやくレーダー基地を攻撃し始めた。しかし、そうなることも想定されたシステムであったので、数日後には修復されるほどの工事作業でカバーされている。更に英国は、このレーダーシステムを大きく向上させた地上要撃管製を導入すると、飛躍的に有利になった。回転式のアンテナに、空域を二次元表示できる対空システムの登場により、英国空軍は”近づいてくる敵"を素早く特定すると、直ぐ様に必要な数だけ戦闘機を出撃させた。無駄のない防空システムである。近代的なレーダー戦術の登場により、ドイツは後退せざるを得なくなった。だが、英国の秘密兵器は、このレーダー戦術のほかにもう1つあった。マグネトロンである。大戦中、戦局を変えるほどの兵器は指折り3つしかない。ペニシリン、原子爆弾、レーダー。マグネトロンは、レーダー性能向上の秘密装置であり、実際に戦況を変えるほどの威力があった。この不細工で単純な機械は、一本のガラス管に陰極と陽極が設置されている。後に改良が施されると、その本体は円筒状の空洞が複数設けられるようになった。この装置の陽極側に高電圧電源を接続すると、陰極から外側の陽極に向かって電子が放出される。それ自体は問題ないのだが、この時、電子は磁場によって進路が”空洞の中で円を描くような流れ"になる。それによって強力なマイクロ波が発生し、これをレーダーに使用するのである。

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レーダーとは何か?
極論をするとエコーとドップラー効果を利用する電磁波技術である。軍用レーダー機器の事は全く知らないが、レーダーの原理は知っているのでネタにする。エコーを利用すると、標的までの距離が解る。当然だ!!ここで話をもっと簡単にするために、電磁波ではなく音波を例にとって考えてみよう。音を出す機械があったとしよう。その機械から音が発射された時刻を覚えておき、標的に反射して戻ってきた時刻を知る事が出来れば、音速の値を忘れていなければ距離が解る。当然だ!!音は何かに当たれば反射する性質があるから、物体に音が当たって四散したとしても、一定の"音"は元の場所に戻ってくる。エコーでしょ?やまびこ、って言った方が解り易いかもしれない。これで標的までの距離は理解できた。しかし、標的が動いていたとしたら、その速度も知りたいところだ。ここでドップラー効果が出てくる。音というのは、必ず周波数がある。同然だ!!音は振動をしているのだから、高音になれば振動数は上がり、低音になれば振動数は下がる。しかし、音波がそれ自体が圧縮されることがあり、この時は波長が短くなる。つまり、貴方が定位置に居て、近づいてくる救急車のサイレン音は波長が短い(圧縮された)が、遠ざかる際には引き延ばされてしまうので、波長は長くなる。そうなると、定位置に居た貴方は、近づいてくるサイレン音は元の音色よりも高音に聞こえ、遠ざかるサイレン音は元の音色よりも低く聞こえる。ドップラー効果によるものだ。で、これの何がレーダーに役立っているのかを考えてみてほしい。解らない方がいたとしたら、こう考えてください。『標的が動いていた場合、エコーによって戻ってきた音波は、確実に発射した音波とは音色が異なっている。標的が近づいてきた場合に返ってくる音色は高音であり、逆に遠ざかる場合の音色は低音なのだから』
そう、レーダーとは当たり前の自然現象を利用しているだけなので、私以外の人間でも説明できちゃいます。でも、この例え話は音波の場合で、レーダーに用いられるマイクロ波は電磁波なので適応されないのでは?
いいえ、されます。何故ならマイクロ波でもエコーはするし、ドップラー効果が確認できるから。つまり音波でも電磁波でもレーダーに応用できるのですが、利便性を選択するのならマイクロ波になります。(音波を使用するのは、むしろソナーの方)そして強力なマイクロ波を生み出すマグネトロンが、レーダー技術に革命を起こしました。

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ドイツ軍はレーダーを軽視した。
だってエコーで返ってくる信号が微弱過ぎてキチンと表示されないじゃないか。何せ返ってくるマイクロ波は他の信号に影響を受けていますから、アンテナでキャッチしたとしても微弱な上に他からの影響を受けて綺麗な信号にはなっていのです。そもそも高出力のマイクロ波なんて出せませんよ。しかも、レーダー装置は大掛かりで、敵からの注目も集めやすいですから軍事的に評価されない装置です。期待されていたマイクロ波の波長も長いですから、敵機をはっきりと捉えることもできません。(信号の波長は、標的よりも短くなければ反射が起きにくい性質があるため)電力を大量に喰うのも頂けえませんな。まぁ、要は役に立たないのです。・・・とドイツ軍が思っていた矢先、英国は小型で使い勝手の良く、かつ高出力のマイクロ波を出すことが出来るマグネトロンの実用化に成功をした。これにより英国は、戦闘機から船舶に至るまで、高性能レーダーだらけで固めることになる。このマグネトロン・レーダーの心臓部を大量生産したのは、アメリカ合衆国であり、このノウハウを十分に積んでいた。そのため、太平洋戦争では、大量の高性能レーダーが艦隊に装備されており、日本軍に勝ち目はなかった。ドイツも日本も戦争末期になって、ようやくレーダーの重要性に気づいたが、気付くのが遅すぎた。補足をすると、ドイツも日本も決してレーダー技術が劣っていたわけではなく、軍上層部がレーダーに関して無関心であったことが大きい。むしろ日本のレーダー技術は先見性があり、有名な発明で言えば八木アンテナなどがある。しかし、終戦に近づくにつれ、巨大戦車だの巨大戦艦だので一発逆転を狙うようになると、実用性の高いレーダーを配備できるだけの余力さえも無かった。太平洋戦争の敗因は、アメリカ側の圧倒的な物量による戦術である、という方が居るが、これはドイツ空軍的な考えである。正確には、高い工業能力によって、常に兵器の質が一定に保たれ、かつ生産能力が高い状態が保持できた。そして戦闘前、戦闘中でさえ索敵性能があまりに違い過ぎているために、そもそも事前準備段階でも大きな差が出ている。質・量・情報の3要素で負けているわけであり、量だけで負けた戦争ではない。

・・・

2018年12月20日に日本海において韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊所属の哨戒機P-1に射撃管制用レーダーを照射した。この事件は政治問題に発展しているが、韓国海軍の事情はどうあれ、かなりの異常行動である。レーダーそのものは、日本海上を徘徊し尽くしているを思われるが、攻撃用のレーダーという点で相当の危険行為であり、攻撃ボタン1つで哨戒機は撃墜された可能性が高い。該当の海軍の規律を疑うが、特に日本の場合だと事情が違う。日本は海洋国家のため多くのイージス艦を保有している。日本は防空用として配備しているので、レーダー能力が極めて高く、広い射程でモノを言わせる艦だと言える。しかし、実はレーダーそのものに弱点があり、海面すれすれで飛んできたミサイルや戦闘機を探知することは不可能なのである。これは、レーダーの性質上、どうしてもイージス艦上部にレーダー装置を取り付けねばならない設計上の問題ともいえる。そこで、イージス艦を保有する国々は、その部分を補うために高性能な哨戒機を随伴させる。哨戒機が海上や海面をくまなく探査し、その調査結果を海上に浮かぶイージス艦とデータリンクすれば死角は少なくなる。よって哨戒機の撃墜は、日本側にとっては100歩譲れない事態なのである。日本は、北朝鮮からの弾道ミサイル、中国からの戦闘機、ロシアからの潜水艦、などでイージス艦に頼らざるを得ない状況であり、意味も無く最新鋭艦隊を維持しているわけではない。さらに日本は潜水艦大好き国家なので、かなり図体が大きい艦も保有している。海の中の戦いは、やはり仲間からの情報が大事で、そうなると哨戒機の出番となる。たかがレーダーくらいで・・・と感じる方が居たら、1940年頃のマイクロ波を知らないドイツ軍高官か、或いは太平洋戦争の結果を知らない無教養としか思えない。どうにしろ大馬鹿野郎である。

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レーダーも万能ではない。
有名な話に、木製の飛行機はレーダーに映らない、というものがあるが、これは誤りである。韓国の海軍レーダー性能は知らないが、通常のレーダーでも木製の飛行機であれ、ヨットであれ発見する事が出来る。ただし、オール金属製に比べると、電波を反射する量がはるかに少ないので、レーダーの有効距離がかなり狭まるのは事実である。その理屈を踏まえて、2018年12月20日、韓国海軍は、あの海域で何をしていたのか?韓国側は、北朝鮮の遭難した漁船を韓国の艦船が救助していたとしているが、日本海の真ん中で救難信号も出ていない北朝鮮船を偶然見つけた事は、かなり違和感がある。そもそも、木製(に見える)北朝鮮の漁船を、レーダーで捕らえたから近寄ったというのも確率は低いだろう。遭難船一隻のために海軍の駆逐艦や海洋警察庁の大型警備艇が2隻も同時に出動するのは不自然でもある。つまり、偶然にもレーダーで漁船を捕らえたのではなく、『初めから遭難した漁船の正確な位置が解っていた』ので、大掛かりな布陣で出港をしたと見ると話が解り易い。では、誰が遭難した漁船の位置を韓国側に通達したのか?一番に得をするのは、常に燃料不足な北朝鮮である。あまり考えたくは無いのだが、”そういう密約”があったために、わざわざ駆逐艦が出る羽目になった。当たり前だが、駆逐艦のような軍艦がしょっちゅう出回っていれば、近隣国の海軍は理由を探るだろう。そうでなくても、中国海軍は増強をしているし、ロシア海軍も名だたる軍隊である。韓国にはアメリカ軍が駐屯しているし、日本海は海上自衛隊が目を光らせている。4カ国の海軍は装備・練度もあるので、そういう不審な動きをしている韓国を常に察知していると考えるべきである。世界一の諜報機関を有するアメリカは、その内情を知っていた可能性すらある。それを防衛省に通達していても同盟関係上、それは自然な事である。
私は韓国は知らないし、防衛関係者でも無ければ、レーダー開発者でもない、北朝鮮の漁船に乗った釣りおじさんでもないので、あまり価値のある文章は書けない。だから、これは妄想ということで終わる方が良いかもしれない。そういう見方もありますけど・・・みたいな感じで、1月雑記を終わります。
最近、雑記も長文ですねぇ・・・本当は短く纏めるのが美しいのですが。

謹賀新年

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あけましておめでとう御座います。
旧年中は格別の御厚誼を賜りまして有難う御座いました。本年も午後のPCゲームを宜しくお願い申し上げます。
2019年は"余計な行為に取り組まない"事を念頭に、自分の身の丈に合った取捨選択ができるような一年でありたいと想っております。

平成31年1月3日 管理人"ばりー"

年末のお報せ -2018年版-

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萃香「作業が遅れているようだな(キレ気味)。状況を報告して!!(激おこ)」
長門「報告します。資格の更新作業、役所関係、仕事スケジュールが重なり12月の・・・」
萃香「そんな事は聞いていない!!(理不尽)明日までに代案を作成して!!(無茶ぶり)」
長門「・・・解りました」
アイギス(年末の予定ついて話そうと思いましたが、これは後の方が良さそうですね)

残り少なくなった2018年の予定ですが、私自身のスケジュール問題があり、ブログの更新作業に注力できそうもありません。仕事についてもそうなのですが、今年は身内の冠婚葬祭が多く、その関係であまりゲームプレイや酒記事が書けませんでした。それに加え、個人的なスケジュールも重なり、12月に関しては更新できない可能性が非常に高いことが解りました。毎年、game of the year記事を何とか書き上げてきたのですが、本年に関しては先の事情により掲載はできないと思います。代案としては、これまでの受賞作品を振り返る記事を2本作成中ですので、それでお茶を濁そう・・・という感じにはなっております。また、これも時間があればですが、2019年3月くらいには、やはりきちんとした2018年ゲーム優秀作品記事は掲載する予定です。ただし、これについては『予定上では』と強く念を押します。自分で言っておいてアレなのですが、今年は本当に色んなことが重なってしまい、正に鬼のような忙しさなわけです。

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今年はどれだけ書けるか解りませんが、出来る限りの作業は致しますので、たまに訪問してくだされば幸いです。予定では、2019年1月下旬までは慌ただしいので、更新頻度の低下に関しては御周知ください。ああ、そういえばビール記事も掲載できませんでしたね・・・100回記念は次の機会になりそうです。私にも優秀な秘書ロボットが居ればと想う今日この頃です。

雑記

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プリンツ「無敵のドイツ軍です」

今は昔、日ノ本の国に一等の刀鍛冶あり。
見事な刀を打つに、噂は千里を走れば国の強者どもが欲しがり欲しがり。されど数は少なし、日を経てようやく手にした刃は噂以上の逸品。氷にも似た物打ち、美しく沿った鎬に驚くばかり。刃は決して鈍らず、妖怪を一刀できるが如くの切れ味なれば、なるほど、流石は職人芸の域。刀鍛冶、三途の際に弟子に秘伝の製法を教え、ついに黄泉へと渡る。弟子、師の教えを守り、変わらず極上の刀を打つも、師と同じくして三途の際に弟子に教えたり。時代は移り、最後の弟子が想うは何であったか。真相は解らねど、その者は誰にも製法を伝えずに先代の待つ黄泉へ渡る。徳川公が太平の世を築けば、鈍らずの刃は井戸端物語にもならず。そうして、日ノ本の刀は必要となくなれば、存在は妖となって、真実かどうかさえも判別できなくなった。再びに時が流れるは・・・此処は異国の地。ドイツ軍の出撃の日でした。

・・・

1918年、ドイツ軍はパリから100kmに位置するソアソンからパリ市内そのものを砲撃した。
当時、射程が100kmを超える大砲を運用する軍隊はドイツ軍だけであり、その作戦に投入された巨大大砲"パリ砲"は大戦時に投入された極秘兵器だった。砲身は34mもあったとされ、100kg近い砲弾を100km先のパリ市内に次々と着弾させたため、フランスは大混乱に陥いる。見えない位置からの超精密射撃に恐怖したフランス軍は、対抗策を練るも、戦時中にパリ砲を見つけることは出来なかった。最終的にパリ砲は300発ほど射撃したとされるが、驚くことに半数以上がパリ市内に着弾をしており、これによる死者は250人以上と見積もられている。大戦果を上げたパリ砲であったが、その運用はかなり大変だったらしい。あまりに強力な装填薬を使用したため、発射するたびに砲身はひどく削れた。砲身寿命は50発程度であったため、替え砲身は7~8本近く随伴したと思われる。当時、これほどまでに圧倒的な大砲技術を有していたドイツ軍は、その技術が敵国に渡ることを非常に恐れ、終戦間際にドイツ軍によって完全に破壊されため、この大砲そのものは現在でも残っていない。その能力は異質で、敵国の首都を砲撃するために製造されただけあり、その最大射程130kmだったとも言われており、正に秘密兵器の類であった。さて、一方的にやられてしまった連合国側は、この大砲に強烈な憎しみを持つと同時に、どうやって大砲そのものを製造したのかを探った。当時、連合国側は、ドイツ軍の大砲以上に射程が出せず、とにかく苦戦をした。何とかして大砲のコピーをしようと画策もしたが、殆どの場合で失敗をした。

・・・

当時の常識 - というよりかは何時の時代でも本質的には変わらないのだが、大砲のような兵器は熱との戦いでもある。先の長砲身を誇るパリ砲で射撃を行った場合、まず砲身が熱を帯びる。その状態で連続的に射撃を行うと、砲身が熱で反るのである。34mもの鉄筒が高熱で真っ直ぐに立てないとなると、それは非常に危険な状態だ。水をかけて熱を取るなどと考えない方が良い。そもそも、戦場で体よく冷水など大量に使用できるはずもなく、基本的には自然冷熱だ。パリ砲の運用は良く解らないが、恐らく1時間ごとに射撃できる数を厳しく制限していたはずだ。そうしないと、砲身が熱でダメになってしまい、この作戦は遂行できなかっただろう。連合国が血眼になって探ったのは、パリ砲を始めとしたドイツ軍特有の強力な火砲技術だった。パリ砲の他にも巨大大砲を製造しており、似たような目的で投入された巨砲デッッケ・ベルタは、重要要塞リエージュ攻略のために出撃をした。この戦いでもドイツ軍はベルギー兵士を圧倒する大砲で勝利をしている。第一次世界大戦で巨大大砲の威力を知ったドイツ軍は、これを大変に気に入り、次々と巨大な大砲を計画しはじめる。巨大な大砲が大活躍!!・・・となれば次に考えるのは『さらに巨大な大砲』である。当たり前だが、モノには限度というものがある。大きくなればなるほど運用には問題が出てくるし、製造には難題が付きまとう。しかし、ドイツの兵器会社クルップは、そういった問題点を見事にクリアしていった。連合国は、ドイツ軍と大砲勝負になると、殆どの場合で劣勢になってしまった。まず射程が違い過ぎる、その上、精度も敵国の方が優れているとなれば。

・・・

モリブデン(元素記号: Mo)
の歴史は悲惨である。
一言でいえば不遇の金属元素だった。1778年に発見されたのだが、あまり役に立たない金属だったため需要は極めて少なく、ゴミ扱いされていた。第一次世界大戦が勃発し、欧州が戦火に包まれていた頃でさえ、アメリカはモリブデンよりも鉄資源の行方を追っていた。敵国の鉄資源の総量を知る事は戦術的に重要な事であり、高品質な鉄の輸入状況を知るために、各地へ情報員を派遣し調査を行っていた程である。それと同時に自国の鉄資源の把握もぬかり無く行っており、当局は常に戦況と資源の関係性を巡っていたわけである。一方、コロラド州では役にも立たないモリブデン鉱脈が次々と見つかり、それらを発見した鉱山所有者はため息が出た。ゴミ、ゴミ、ゴミ金属しか出やしない・・・こんな不要金属は買い手がいないし、棄てるしかない。採算の取れないモリブデンは常にやっかい者扱いであったが、ある時・・・アメリカン・メタルという会社がモリブデンを大量に買い始めたとき、鉱山所有者は大喜びをしただろう。役にも立たないモリブデンを購入してくれる会社が一社だけ現れたのだ!!これは早いうちに全て売ってしまおう。そういうわけでコロラド州に眠るモリブデンは『良く解らない会社によって大量購入され、アメリカから何処かに大量輸送』されていた。アメリカ政府にとって、そんな些細なゴミが自国から輸出されようが戦略的に価値は無く、どうでも良かった。しかし、ドイツ軍の大砲に散々に打ち負かされていた英国は、その大砲をついに接収し、怒りの頂点を超えた敵国兵器解体研究を行った。そして、ついに解ったことはドイツ軍の大砲にはモリブデンが添加されていることだった。一体、何処産のモリブデンなんだ?優れた諜報機関を有する英国が、その回答を得るのに時間はかからなかった。黒幕はドイツ鉄鋼企業メタルゲゼルシャフト社であり、この会社のアメリカで活動をするための別名がアメリカン・メタルだったわけだ。アメリカン・メタルは上手にアメリカ政府の目を盗み、せっせと本国へモリブデンを送った。そのモリブデンは、ドイツ最高の兵器会社クルップへと持ち込まれ、巨大大砲になって前線に送り込まれていたのである。真相を知ったアメリカ政府は大慌てでモリブデンの流出を止めようとしたが、気づくのが遅すぎた。
そう、ドイツ軍は鉄にモリブデンを添加した合金『モリブデン鋼』の存在を世界大戦前夜に発見し、軍事機密として秘匿していたのである。そのため、連合国はモリブデンの価値を知らずに大戦に突入することとなり、多くの兵士がドイツ軍の大砲で戦死した。

・・・

鋼鉄の強度を高める方法はいくつか存在する。
ドイツ軍が発見したモリブデン添加は、専門的に説明をするのであればモリブデンの原子が鉄原子に比べて大きい事が要因である。そのため高エネルギー状態になるのに時間が掛かる。そして電子の数も多いので、吸収する熱量も比例して大きく、結果として結合が強い合金になる。このモリブデン鋼は大砲の砲身に使用するには大変に都合が良く、熱に強く、そして固い。つまりはパリ砲のような巨大大砲にはうってつけな合金なのである。この事実に遅れて到達をしたアメリカは、次の世界大戦ではモリブデンの戦術的価値を異常に引き上げ、枢軸国に対し経済封鎖を行っている。そのため、ドイツはあっという間にモリブデン不足に陥ってしまい、高品質な大砲を製造をするのが難しくなった。これを回避するために、ドイツでは別の代用金属探しが本格化し、最終的にタングステンを巡る戦いに発展した。怒り狂った連合国は、あの手この手でドイツの鉄鋼資源を封鎖する作戦を決行するが、やはりドイツ人は上手いこと追撃を逃れ、せっせと高品質な大砲を製造している。
さて、ここから一気に話は昔へと戻る。そもそも、このモリブデン鋼を歴史上で最初に投入したのは、ドイツ軍ではない。モリブデンそのものを理解し、兵器の大量生産段階において添加したのはドイツ人だったが、モリブデン鋼そのものははるか昔から認識されていたようである。今は昔、日ノ本の国に一等の刀鍛冶あり

・・・

詳しい話は解らない。
私は刀マニアではないので、この鍛冶屋が何処の誰かは知らないが、鈍らない刀は実在したようだ。ここで問題なのが、この鍛冶屋一門は、日本では産出されないモリブデンをどのような手段で安定的に入手していたのかという素朴な疑問である。日本刀のモリブデン添加に関しては、既に製造技術が失われているようで、恐らく永久に解らないままだろう。だから、この一門がどうやって仕事をしていたのかは想像で語るしかない。私が考えるに - こういうシナリオだったのかもしれない。

ある日、その刀鍛冶は中国で採れる鉄鉱石を入手した。
恐らく身内に貿易商がいたか、或いは政治的権力者が協力してくれたのかもしれない。その鉄鉱石には日本では産出されないモリブデンが混ざっており、その鉄鉱石を刀の製造に取り入れた。通常の日本産の鉄に混ぜたのか、或いはある段階で振りかけたのか、そういった製造方法は一切に不明だが、兎に角、この刀にはモリブデンが混じった。そのため、他業者が真似できないような刀の性質を生み、本当に鈍らない刀になった。これは専売特許だったのかもしれない。この秘密は一門の秘伝とした方が良さそうだ。もしかしたら、このテクニックそのものは中国人が発見していたのかもしれないが、あまり広くは普及しなかったか、又は本当にこの刀鍛冶が最初の発見者だったか。何代も続いたモリブデン刀は、何かが原因で廃業せざるを得なくなった。もしかしたら疫病で職人が倒れたのかもしれない。同業の妬みで殺されたのかもしれない。だが、こうも考えられる。モリブデンの供給が止まったのだ。貿易商の行方不明、突然の契約不履行に焦る刀鍛冶。何時まで待ってもモリブデンは入手できない。その間にも入り続けるオーダー。顧客の欲しがる刀は、そんじょそこらの刀じゃない。だから、最後の刀鍛冶は先代の遺産を守るために思い切って廃業したのかもしれない。律儀にも、その秘密を全て風呂敷に包んで三途を渡り、待っていた先代達にこういった。「刀家業は私の代にて廃業しましたが、一切に秘密は漏らさずに此処に参りました」と。実際には、どういう状況であったかは誰にも解らないし、これから先も明かされることが無い。

・・・

その後、モリブデンの評価は劇的に上がり、現在ではその性質がきちんと理解されたため、日常生活でも用いられている。しかし、古巣の軍事とは切っても切れない関係は続いており、その例は列挙しきれない。例えば、米軍では正式採用されている小銃の銃身にはクロムモリブデン鋼を用いている。これは熱に強く、衝撃にも耐えうる合金の性質からきている。また、オクタン価など石油の品質向上と硫黄除去の目的でモリブデン系触媒が使用されることもある。
義務教育では深くは教えてくれない金属元素だが、モリブデン1つとっても血塗られた歴史があり、これに限らず科学と戦争は密接な関係がある。それが悪いか良いか、という二元論でしか考えられない方は学問には向いておらず、物事は多角的な立場で推論すべきであると考える。こういう部分を事実として見れるかどうかの教育方針は極めて重要であり、貴方がアメリカン・メタルのような人間とやりとりをする際にも手助けをしてくれるだろう。
信じる事よりも、疑って生きる方が事実は見えやすくなる。事実を知らずに生きるのも選択肢だが、そういう考えに私は価値が見いだせない。

・・・という社会的に深そうなテーマの雑記だったが、ここでもうひとつ疑問が出てくる。
そもそも、モリブデン鋼を使用したくらいで、100km先の標的に着弾させるような大砲が運用できたのか?
No 出来ない。パリ砲の運用には、直ぐそばに計算手がいたのだ。彼らは優れた計算能力を持つ軍人であり、間違いなく物理学も叩き込まれていたはずだ。ドイツ軍に散々にコテンパンにされていた英国だったが、実は弾道物理学に関しては一級だった歴史があり、本当はドイツよりも優位に立てるはずだった。という事で、次回は『私の書く時間があれば』あまり教科書では触れることが無いと思われる弾道物理学について軽く触れようと思う。時間があれば、と念を押しておこう。最近は雑記も深く?なってきているので大量生産は難しいのですよ。

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