
2011年にXbox360,PS3,PCで発売されたゾンビアクションゲーム
開発はカプコン
本稿はPC版のレビューとなります。
以下Dead Rising 2: Off the RecordをDR2OTRと表記します。
私にとってDead Risingの登場は衝撃的であった。
なにせ画面上に無数のゾンビが動きまわり、主人公フランクに襲い掛かってくるのだ。
敵の数が多いゲームは他にもあるが、Dead Risingはゾンビの数が異常に多く驚かされる。
MAPのあちらこちらで生存者がフランクの助けを待っており、手を貸してより多くの生存者を助けることで経験値が貰えレベルアップした。
オープンワールド系式なのだが制限時間があり、限られた時間内で救助、ボス撃破、イベントをこなさなくてはならなかったため1周目よりも本質を理解した2周目以降のほうが楽しめるゲームだった。
武器も銃器類をメインに戦うのではなく、
そこら辺にある道具を凶器に変えるという発想が新鮮であったし、なにより笑えた。
これがハンドガンやマシンガンでゾンビを撃退するゲームであったのなら『見慣れたゲーム』で終わる所を
『オープンワールド、制限時間、大量のゾンビ、大量の武器、レベル制』の5つを上手くミックスして馬鹿馬鹿しいが、決して陳腐ではない上質のアクションゲームに仕上げていた。
Dead RisingはXbox360でのみしか販売されていないが興味があるのならプレイしても損はしないと豪語できる。
そして2010年に待望の続編Dead Rising2が発売された。
これが実に微妙な作品だったのでガッカリしてしまった。
悪い作品ではない
ただ惜しい部分が多すぎて結果的に微妙な作品止まりで終わってしまっている。
もっと面白くできる潜在性を秘めていながら、ファンからはソッポを向かれた作品になってしまい、
稲船氏がカプコン在籍中に制作した最後の作品となったため、それ以降の続編についてはどうなるのか解らないと思っていた矢先、DR2OFRが発売された。
【Dead Rising2との相違】Dead Rising2との相違点は以下に記述
以下DR2OFR wikiから引用
追加&変更要素&削除要素
新エリア Uranus Zoneの追加ロード時間の短縮(反面、セーブデータの読み込みが長くなった)
カメラ要素の復活ゾンビの量の増加
サンドボックスモード(時間制限なし)の追加ストーリーの修正・変更
新サイコパスの追加
新サイドケース、サバイバーの追加
新たな敵の追加
新しい武器・アイテムの追加
新しいコンボカードの追加
新しい体術の追加(フランク・チャック共に)
新コスチュームの追加
ビビらせポイントの追加
這いずりゾンビの追加
既存コスチュームの一部デザイン変更
一部の攻撃アクションの変更
一部のアイテムの外見の変更
アイテム・雑誌の配置の変更
スケボーの大幅強化
サイコパスのライフ表示の仕方の変更(太く長くなり、見やすくなった)
サバイバーの位置、場所、発生日時の変更
ステイシーの顔の変化
TIRモードの削除
フランクの体術の一部削除(1より)
・Football Tackle
・Roundhouse Kick
・Hammer Throw
ゾンビ以外の敵に対する掴み系の体術不可(case westより)
某サイコパス(1人)の削除
かなり多くの追加要素があるのだが大きのは
赤字で書かれた項目
MAPは前作と変わらずだが追加エリアの存在が大きい
この追加エリアUranus Zoneがかなり大きめなエリアなので遊べると感じた。
またこのエリアは遊園地なのでアトラクション系のオブジェクトが多く、カジノ街な全体のイメージとかけ離れずにアクセントを与えている。
又地味に嬉しい点としてロード時間が短縮された。
ロード回数が多いゲームなので有り難い
カメラの追加によってDR2OTRは楽しみが初代に近いものになり、ファンにとっては嬉しい事この上ない
そもそも何故カメラ要素を前作で排除したのか理解できない。
TIRモードの削除は実質マイナスではなく、本音を言えばTIRモードが無くても問題はない。
サンドボックスモードに関しては後の項目で書かせてもらう。

馬鹿馬鹿しいアイテムは今作でも健在
【このゲームは理想に近づけたか?】追加要素が多いにもかかわらず、DR2とプレイ感は似ている。
もともとMAPの大半はDR2のモノを使用しているし、ストーリーも後半まで殆ど変わらないので新鮮味は薄い。
ただ、DR2で感じた制限時間によるストレスは無くなったといっても良い。
この
嫌がらせ的な制限時間が緩和されたことによりオープンワールドの中で比較的に自由行動を取れるようになった。
この絶妙な『
制限時間はあるが、その中での自由行動』がDR2OTRにはあるためプレイ感はDR2なのだが面白さは初代に近い印象を受ける。
これが本作の大きな魅力であることは間違いない。
なぜならDR2はMAPは素晴らしかったのだが自由に動き回れるだけの時間がなかった。
自由時間が少ないので試行錯誤する機会も少ないし、素晴らしいMAPを散策できなかった。
その事から解放されたのである。
確かにMAPはDR2からの使い回しが多いが、やはり優れたMAPデザインセンスであることを再認識させてくれる。
主人公をフランクに戻したのも嬉しいことだ。
やはりこのシリーズはフランクというキャラクターに支えられている部分もあり、彼がゾンビを倒すのとチャック(DR2主人公)がゾンビを倒すのとでは嬉しさが違う。
総じてDR2よりDead Risingしてる。

生存者とポーカーをするフランク 呑気に賭け事をするのもいいだろう
【学習しろ】良い部分も多いが、悪い部分の数も多いのが本作の特徴だ。
具体的に言うと
バグが多すぎる。
致命的なバグから軽微なモノまで揃いもそろっている。
回避できるものから回避できぬモノ(運任せ)までのバグのセールス状態だ。
パッチ等は現在のところ配布されていないので直す気は無いらしい。
実はこのシリーズは総じてバグが多く、またいつバグるのかよく解らない点が多い。
バグの原因の1つはゾンビとアイテムの多さだろう。
だからゾンビとアイテム数を減らせばバグも減ると思われるが、そうなってくるとこのゲームの根幹が揺らいでしまう。
だからといってバグだらけのゲームを売るのは宜しくない。
またストーリーが練られていない。
もともとストーリー重視のゲームではないのだが、それでも酷いシナリオである。
ゲーム部分は理解できぬイベントがあり、特に後半戦がダルい。
ネタバレになってしまうので詳しくは伏せるのだがラスボス(真のラスボスではない)がQTEなのが理解できない。
このQTEが後半の雑魚戦でも発生する可能性があり、ゲームのテンポを悪くしている。
チートを公式で販売したことも許せない。
許せないというか、もはや呆れてくる。
そのチートコードも顔が大きくなるだとかの類で客から金を取るコンテンツには到底思えない。
買わなければいいだけの話なのだが、そういった姿勢が多くのユーザーの反感を買うことは分かっていたはずである

剣を手にゾンビを真っ二つ 敵は腐るほどいる
【サンドボックスは必要だったのか】結論から言えば要らないモードである。
このシリーズの楽しさは
制限の中でいかに自由を得るかに尽きる。
制限時間内で素晴らしいMAPを闊歩し、自由行動と義務行動を両立させるシフトバランスに魅力を感じるゲームなのだ。
それを制限時間無限でMAPを歩いたのでは意味がなくなってしまう。
たしかにMAP研究をする上では役に立つだろう。
またこのモードで得られたお金は本編でも活用することが出来る。
よってゲーム中盤で大金が必要になる場面があるのだが、そういったときに手詰まりにならないような配慮なのだろう。
だが、このモード自体は刺激が無いし、取ってつけたようなチャレンジもウンザリする。

大型ピックアップで暴れることも可能だ
【誰のための完全版か】DR2が良かったのは初代には無かったアイデアを詰め込んだことにあった。
例えば『お金』を使ってアイテムや生存者を説得したり、『道具合成』で新しい武器を作れたりと夢があった。
ただ根本的なゲームバランスが良くなかったためにストレスが貯まる作品になったのだ。
DR2OTRはそういったストレス部分を緩和させ、従来の面白さを追求しようとした。
結果、面白くなった。
ただ誰のための完全版なのかと考えると分からなくなってくる。
DR2を徹底的にプレイした者にとってDR2OTRは新鮮味が薄く、買う意味が無い。
本来、DR2OTRは上記の人のために作るべきである。
ただ、いかんせん追加要素の数の割には新鮮味が追いついておらず、買う意味は低いように思える。
前作を中途半端にプレイした人が楽しめる完全版それが本作の立ち位置だろう。
70点