ELDEN RING ショートレビュー

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霊馬トレント。
謎多き少女メリナが褪せ人に遣わした馬である。笛一つで実体化し、そして必要がなければ消える。道中、褪せ人は多くの戦地に赴いた。朱き毒に汚染されてしまった大地。兵士と怪物が争い、魔法学園と貴族が覇権を競い、王都を超え、そして地下世界から山頂も踏破した先に天空の領地まで。その過程で怪しげな人物と会話もしたし、敵対もした。神に背いた魔女ラニは成り行きで助けてあげた。パッチを誤って殴り殺してしまったこともあった。ネフェリ、そう、あのネフェリは最後まで協力関係を築けた。糞喰いは円卓に居座り動く気配は無かった。抱いたらHPの最大値が減ってしまう女の最後を知っているかい、グラングには襲われ、ミリセントは未だに行方を追っているが、恐らくはもう会えないのだろう。トレントは最初から最後まで、褪せ人に寄り添った。だから大半の結末が悲しみに満ちていることも理解していたはずである。そして次なる目的地へは毒沼でさえ疾走し、恐れることなく英雄ラダーンに突撃、崖から谷へ、湖畔から森林を飛び、神殿から都市は歩き、兵を抜け、竜を追い、空に放り出されて、褪せ人を救った。狭間の地で王になる者は、トレントに感謝をするだろう。エルデンリングを集める旅において、トレントほどの脇役は居ない。このゲームは優秀な馬と"その場その場で適当な行動を連発しまくっちゃう"褪せ人の二人三脚だった。我がチームのアイドルこと召喚クラゲちゃんとトカゲちゃんも加わり、狭間の地は賑やかな終幕をする。

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オープンワールド部分を強化したDARK SOULS。
この一行が全てだろうが、128時間に及ぶ旅路は、その広大さに圧倒されっぱなりだった。女王マリカの後継者を巡る戦争によって荒れ果てた地を舞台に、世界を元通りに修正する責務を課せられた"褪せ人"は旅を続ける。立ち塞がるはマリカの跡目を狙う後継者デミゴットたち。ELDEN RINGは広大なフィールドに、それぞれの勢力図、そして相関図とトラブルを限界まで敷き詰めた夢のようなオープンワールドである。当然、壊れかけた教会に行けば、誰かに襲われるし、誰からも救いを求められ、そこから小さなイベントが開始される。序盤から行ける範囲に制限が少なく、最初の目的地に設定された王都ローデイルより前の地域は全て踏破可能である。この文章が如何に狂っているのかを例えるのならば、古き良きロックマンは”ワイリーステージ以外は"すべてシームレスで移動できて、そこらへんに居座るボスを撲殺しては、次なる武器やアイテムの強奪先を探し求めるような感覚に近い。剣と魔法のタムリエル大陸で暴走をしていたドヴァキンとの違いも明白で、戦闘アクションは比べるまでもなくELDEN RINGが圧倒する。ただし細かな戦闘部分はDARK SOULSの面影を追った時点で幻滅をしてしまうだろう。似たような操作性、見慣れたUIに言葉を変えただけのステータス画面。敵の攻撃をローリングで避ける攻防は見慣れたものであったし、ソウルがルーンになり、篝火が祝福になっただけで何もかもが近かった。目ざといファンならば、過去作の中でも突出した出来栄えを誇ったダクソ3のボス戦と比較をしてしまうのは仕方がない。ELDEN RINGのボスは高体力で複数体のボスを相手にするシーンがとても多い。誰もが絶望をした二体同時ボス、竜狩りオーンスタイン&処刑者スモウどころの話ではない。ボスが強雑魚を召喚するわ、馬に乗ったヤベー奴が二体同時に出てくるわ、倒しても倒しても登場しまくる阿保ボス代表格、爛れた樹霊。高難易度と理不尽の区別が間違っており、後述する遺灰などを一切に使用しないソロプレイでの完全クリアは過去一番に難しい。故に似ているアクションが多いダクソと比べてしまうとボス戦に粗が多く、かなりの苦痛が伴う。ただし、それを補う戦闘アクションが異常に強く、その具現化に制限が少ない。要は入手したアイテムや武器が高性能なモノが多いので、全部投入すれば楽に進められるというゲーム性に変化をしたということである。これを受け入れれば、先のデメリットは実験場所の提供に過ぎない。それほど強敵を倒す手段で、プレイヤー側は迷ってしまうほどだ。

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オープンワールドの面白さを勘違い作品たちを全て駆逐してしまう冷徹な完成度である。地域ごとのフィールド構成は大きく変わるので、新しいフィールドの進め方は過去とは異なる。つまり、一分前では鉄板であった攻略方法は通用しなくなる。褪せ人が最初に送り込まれたエリアはリムグレイブという草原が主体である。清々しい程の青空、奇麗な夜景。哨戒をする騎士たちや野生動物。関所には強敵が待ち受けており、入手できるアイテムは小さな効果のモノが大半を占める。それでも十分に広く、そして冒険の始まりには相応しい平和が流れている。一方で、ここから道なりに東に進むとケイリッドというエリアに行ける。強烈な難易度を誇るフィールドで、しかもリムグレイブ以上に広い。恐ろしいのは、クリアをするために踏破する必要性が一切にないMAPのくせに、とてつもなく作り込まれており、恐ろしい程にイベントが一杯なのだ。この難しいエリアへ行くための防波堤は無い。行こうと思えば、ゲーム開始直後でも歩いて向かうことが出来る。勿論、主人公の相方となるメリナやトレントと出会う前にケイリッドに向かって、そこを平定しても問題は無い。このことから逆算をすると、クリアするために訪れなければならないエリアとダンジョンは恐らく10もない。その過程に居座る大量のボスを無視しても支障がなく、網の目のように張り巡らされた洞窟ダンジョンや地下帝国ですら全て無視してもエンディングは見ることが出来よう。本作を代表するボスキャラクターであるマレニアなど挑まなくても問題は起きえないのだ。効率を気にするのであれば、あのエリアに赴く必要性は無い、あのアイテムを探すのは時間の無駄だし、ラニを救うために行動をするようなお人好しになるのは御免だったし、そのための行為で、全てのプレイヤーが、どうしようもない迷子に苛まれ、腹が立つほど強いボス戦に巻き込まれ、それを超えるために強い武器を探す別の旅に出かける。それでもなお、ケイリッドですら踏破するのに30時間以上はかかる。序盤から行ける東エリアだけで異様な攻略時間が発生する。自分自身に言い聞かせ続けた。今自分がいるエリアは行くべきじゃない、あのドラゴンの先を知りたいという気持ちを抑えるんだ、と自制心を呼び戻して、来た道を戻ればいいじゃないか。Hahahaha、馬鹿を言うなよ。トレントは行きたがってるぞ。ドラゴンは見つけたら殲滅しろ。一匹も生かしておくなよ。

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連続する創意工夫は中盤から一気に加速する。今回は、武器システムに変更点が多い。まず、武器ごとに特殊能力を付加できるようになった。戦技と呼ばれるシステムだが、これは武器ごとに与えられる必殺技の自由度が大幅に上がり、武器性能がイマイチでも強い戦技を付与してあげると化けるのである。逆に武器スペックが高くても戦技が固定式だと、想定以上の火力を出すことが出来ないケースもある。この多様多種な戦技を、種別が多い武器に選んで付与してあげられるシステムは非常に面白く、攻略の自由度に貢献をしている。加えて遺灰システムも重要なポイントであろう。今回の長旅を支えるNPC召喚システムだが、各地にアイテム化している遺灰を入手することで、必要な時に協力NPCを呼び出して一緒に戦ってくれる。この遺灰も種類が多く、それぞれに特殊な能力がある。序文で登場をしたクラゲも遺灰の一つで、最序盤で入手可能な浮遊する零体クラゲである。このクラゲは遺灰の中でも少し変わった特性があり、専用のイベントも用意されているなど愛されキャラでもある。なお、序盤だけしか活躍できない遺灰と思いきや限界まで強化するとハイパータフネスクラゲと化し、大物に壁ハメされても生き残る。遺灰には固有のHPが設定されており、これが尽きると次回まで再召喚できない。このため遺灰のHPは非常に重要で、特に後半戦は打たれ弱い遺灰は一部を除き役に立たない。尤も支援型の遺灰であるディーネ、遠距離特化のラティナ、特殊な遺灰の代表格である写し身の雫あたりは、HPの上下では語れない強さがあり、やはり例外は多い。或いは、可愛いだけが取り柄の特攻野郎たち、陸ほや、蛇人なんてのも居る。トカゲちゃんは可愛いので、是非とも召喚してほしい。これらの要素が折り重なった狭間の地は、強敵と戦うシーンが多いものの、一方的な蹂躙のテスト会場になっている。戦技、遺灰、武器と魔法の多さ、どれも高性能で組み合わせでさらに強くなる。更に今回はレベルアップも非常にしやすく、どんどん成長していく様子が本当に面白い。先に述べた凶悪なボス戦も振り返れば悪いものではない。敵が二体同時ボスならば、こちらも凶悪なNPCを召喚して、強力な戦技で壁ハメすれば瞬殺だからだ。これは誇大広告ではない。具体的に言えば、出血武器二刀流、写し見の雫を召喚後、バフあり戦技乱発で後半のボスも10秒くらい瞬殺できる。逆にコレが通用しないボスが苦労する。その場合・・・勿論、抜け道は存在する。沢山に、ね。

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非常に多くのダンジョン、隠しエリアを有するゲームデザインだが、極一部に強烈な死に覚えゲーMAPがあり、かなり不快だった。これもプレイヤー毎に意見があるだろうが、空中アスレチックは本当に腹が立つ。小さな足場から足場にジャンプして移動をするようなダンジョンがあり、これが判定の問題で落下死が多発する。足場にプレイヤーが着地する判定が謎で、何故か着地後に横に滑るようなアニメーションが入り、そのまま落下死する。この動作は即死判定の甘さに依存しているのだろうが、これがノーミスで連続させるようなダンジョンが存在するのである。一応、クリアには関係のない部分なので強く責めはしないが、本作における数少なきミスデザインだと感じた。また細かなことを伝えれば、ファルムアズラという後半戦から、敵のHPがえげつないほどに上昇する。通常の雑魚でも、ダクソ3に登場をする黒騎士以上のタフネスさを誇る。その体力で、ボス並みの火力を有しているのが常で、HPが1500以下のプレイヤーは一発即死圏内の戦いを強いられる。尤も本作は魔法が強いので、遠距離でちくちく攻撃していれば安全に進められるのだが、敵数も多くなるので計画的な攻略が必須になる。いくら戦技や遺灰が強力でも、その使用に多くの消費エネルギーが必要となるので、常時垂れ流し攻略は不可能に近い。そのため、ダクソ・シリーズでも見られたタンクビルドで突破、被弾上等の装備構築での殴り合いは、かなり難しい。少なくても私は無理だと判断し、後半からはビルド構成を変え、現行verでは最適解と思われる出血刀二刀流で、敵が攻撃モーションに入る前に確殺する攻略方法にした。これ以外の方法を思いつくために各地を巡り装備品を収集したり、レベルアップを繰り返したが、行きつく先は高体力の敵を瞬殺するためには、出血攻撃、冷気属性+出血の二パターンしか見いだせなかった。精査したわけではないのだが、この二属性は旧作と比較しても相当に優遇されている印象で、他の武器属性が控えめに設定されているように感じた。もう少し光が当たるような武器が多ければ、もっと良かったのだが。

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世界観は言うに及ばず素晴らしく、今回はストーリーも非常に良かった。
ダクソ・シリーズでは世界観の背景が分かり難い部分があったが、今回は全てが明らかにされなかったとはいえ、進行に関するストーリー展開は優しいものだった。文章を読まなければ理解できないのは、ボスとして登場をする者たちの間柄が複雑なことくらいだろう。特に魔女ラニというキャラクターの立ち位置が深く、メインヒロインであるメリナの立ち位置を脅かすほど強烈なものとなっている。その影響で登場をする機会が非常に少ないメリナは不遇である。一応、会話をするイベントが用意されているのだが、見落としやすい点は否めず、きちんと再登場をする後半に至っては「何なんだ、この人・・・」すら漂う。フィールドに点在するNPCが多い上に、比較的に濃いメンツなので楽しめる作風に貢献をしているのだが、メリナが重要な雰囲気があるのに、空気だったというのは悲しい。その一方で、圧倒的な存在感を放つ魔女ラニの個別ストーリーは、もはや本編に匹敵するほどの異質さを感じる。ラニのイベントの作り込みは、言うならば全て行く必要のない隠しエリアや難関エリアを踏破しなければ達成できないような腕試し的な依頼が多い。もともと事の始まりであったエルデンリングの破壊に関しては、本筋では良く分からないまま終了する。このリングが欠落したことで、世界の法則が徐々に薄れてきており、争いの最前線となったのである。魔女ラニは、このリング破壊騒動の当事者であり、ある意味で最大級のトラブルメーカーにも関わらず、彼女を放置してもクリアが出来てしまうデザインに問題があるかもしれない。開発会社は過去にも同じようなストーリー展開を得意としているので、特段に気にはしなかったが、メリナがあの扱いで、ラニが手厚すぎるというのは違和感が半端ない。むしろラニがメリナのように、クリアするためには強制的に協力しなければならないポジションであったのなら、もっと面白くなったのではないか。あまり突っ込んでしまうと、メリナの存在が更に空気になることが明白なので困ったものである。メリナの扱いは、多くのプレイヤーにとっても困惑でしかなく、この素晴らしい世界観に置き去りにされてしまった点が、とても目立つ。

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最初に告げた通り、クリア時間は128時間。
攻略サイトなどは一切に見ずに、出来るだけ抜けが出ないように細かく探索したつもりであったが、それでもNPCイベントの完遂は難しく、何とか魔女ラニを最後まで終えられたことは奇跡に近かった。この細部まで作りんでいるにも関わらず、プレイヤー全員に分かり易い手順書を渡さないのは、FromSoftwareらしい意地悪とも高品質とも捉えられる。総じて、とてつもない作品に触れた気持ちでいっぱいである。行く先々で、固有の敵キャラに怯え、それらを一掃して満足感に浸れば、次の道端で休憩中の新手はヤベー連中しかいない。復讐の殺戮の果てに、これが日常的な風景であることの驚嘆に帰還しえる。ずっと続く道に終わりが見えない。何者かが道を塞いでいて、使い道の分からないアイテムがインベントリに溢れ、人形になってしまったラニを抱えて走り回り、メリナの説法にイラつき、再会したアレキサンダーとは決別の時だった。どのイベントも並行して進んでおり、時間が経過すれば美しすぎる夜景に世界が覆われる。芸術的な風景は、アノール・ロンドの1.5倍増し。その内部構造は3倍以上に複雑化し、特に高低差の迷路は、迷子の果てに目的地への到達がある。行けない場所などない、今は行けないだけの封印された魔法の壁。ダークファンタジーから明るい黄金の魔法ワールドへの転換は、これまでの展開とは違って・・・いいや、正直に言えば、ELDEN RINGの方が気に入っているくらいだ。ともなれば、子供向けになったかというわけでもない。不敵に笑う協力者ヴァレー、傀儡の魔術師は野心を隠さず、そして大地は血と腐敗の暴力は増していく。お馴染みの裏切りは多く、敵対したくはない奴との戦いも多く描かれる。その過程も、見逃さなければ十分に説得力があり、決してグラフィックスだけのゲームではない。このプレイ内容で130時間以内にクリアが出来たことは嬉しさよりも、まだ未発見であった何かに対する執着を大きくするだけである。全てを踏破したい、そう思える品質を有した傑作である。

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The Elder Scrolls V: Skyrimを第二位に格下げする日が来てしまった。
この場において、これ以上の誉め言葉は存在しない。私自身、このような作品にリアルタイムで出会えたことは幸運であり、多くのゲーマーは生涯に渡り忘却はできない領域に達している。Skyrimを超えるというのは、そういう次元であり、これほどの大傑作に比類するアクションゲームがあれば教えてほしいくらいである。しかしながら、ELDEN RINGが最高のゲーム作品だとは決して言わない。公言をしないのは、私なりのThe Elder Scrollsに対する慈愛であり、読者には察して頂きたい心境でもある。

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